
ニュルンベルガー・ブラートヴルスト
Nürnberger Rostbratwürste/Nürnberger BratwürsteNuremberg grilled sausages
ニュルンベルクで作られる、細く短い豚肉のソーセージ。羊の腸に詰め、塩、胡椒、マジョラムで味をつける。焼いたものを皿に並べたり、パンに3本挟んだりして食べる。小ささをめぐる鍵穴の伝説も知られる。
7〜9cmの小さな、町のソーセージ
ニュルンベルクの細く短い焼きソーセージ。名前と製造地が結びつく。
ニュルンベルガー・ロストブラートヴルストは、豚肉を細い羊の腸に詰める、ニュルンベルクの名物だ。保護協会が掲載する規格では、長さ7〜9cm、生の重さ20〜25g。小さな一本が何本も並ぶ姿が特徴になる。
同協会は、決められた配合でニュルンベルク市内において製造されたものが、この名前を名乗れると説明する。2003年にEUの地理的表示として登録された名称だ。ベルリンで提供される場合も、名前が指す製造地はニュルンベルクになる。

焼き目とマジョラム、パンには3本
基本の香辛料は塩、胡椒、マジョラム。小さなパンにも収まる。
マジョラムは、このソーセージの特徴として保護協会の規格に挙がる香草だ。胡椒とともに豚肉に混ぜられ、細い腸の表面に焼き目がつく。写真では、ポテトサラダやザワークラウトを添えた皿に、小型のソーセージが並んでいる。
小さな丸いパンに3本を挟むものは「ドライ・イム・ヴェグラ」と呼ばれる。写真のパンにはマスタードも添えられている。保護協会の年表は、この出し方をニュルンベルクのクリスマス市と結びつけて紹介する。皿の本数は店や注文によって変わる。


小さな一本を、パンに3本。豚肉とマジョラムの香り。町の食堂にも、クリスマス市の焼き台にも。
豚肉を挽き、細い羊の腸に詰める
滑らかな練り生地を足さず、中くらいの粗さの肉を使う。
保護協会の工程紹介では、豚肉を味付け前に挽き、香辛料を均一に混ぜてから、水に浸した羊の腸に詰める。薄い腸をねじって短い一本ずつに区切り、つながった状態から切り離す。
掲載規格は、滑らかなソーセージ用練り生地を加えず、塩漬けによる発色もしないと説明する。基本の塩、胡椒、マジョラムに、オールスパイスやメース、レモンなどを少量使うかは肉屋ごとの違いになる。脂肪を完全に含まない食品という意味ではない。

1313年ごろの品質の決まり
市の規則に残るソーセージの品質管理。小型化には値段の事情も語られる。
保護協会は、1313年ごろの市参事会の規則を、ニュルンベルクのソーセージの伝統を示す記録として紹介する。市立博物館の解説も、1313〜1314年の市の記録を挙げ、専門の肉屋が作り、市場で品質を調べられたと説明する。
市立博物館の解説では、今の小ささは16世紀の売れ行きや採算の問題と結びつく。品質を落とさず、値段を変えずに一本を小さくする工夫だったという。1313年に現在の寸法のソーセージが発明された、と同じ意味ではない。

保護協会が掲載する規格
焼いた後の重さではない
保護される地域名と製造条件
鍵穴を通すため、という言い伝え
小さな一本には、鍵穴と囚人の物語もある。保護協会も伝説として紹介。
門が閉まったあとに着いた旅人へ、鍵穴から食べ物を渡すために小さくなった。牢獄の壁に開けた穴から囚人を養うためだった。そんな話を、保護協会は「伝説と言い伝え」のページで並べている。小さなソーセージならではの楽しい説明だが、確認された発明の理由としては扱わない。
同じページには、1554年に投獄された市の裁判官ハンス・シュトローマーが、38年の間に約28,000本を食べたという話もある。1709年の版画集の図には、巨大なソーセージを大勢で運ぶ行列が描かれている。一本は小さくても、この町では物語の題材にもなる。

食堂、酢の煮汁、ソーセージ博物館
焼く皿だけでなく、酢と玉ねぎの煮汁で食べる型も見える。
写真のザウレ・ツィプフェルは、酢と玉ねぎの煮汁を使う料理の例だ。焼き色をつけた皿とは違い、淡い色のソーセージに玉ねぎが重なる。ポテトサラダと黒パンが添えられ、焼く食べ方との違いが見える。
ニュルンベルクには専門の食堂や、ソーセージを扱う肉屋がある。保護協会の年表は、2021年11月19日にブラートヴルスト博物館が開館したと記す。市立博物館は、先立つ2014年の「9cmのニュルンベルク」展を紹介する。食べ物が、町の歴史を伝える展示にもなっている。


基本情報
- 国・地域
- ドイツ南部、ニュルンベルク
- 現地名
- Nürnberger Rostbratwürste、Nürnberger Bratwürste
- 材料
- 豚肉、塩、胡椒、マジョラムなど。細い羊の腸
- 規格の大きさ
- 長さ7〜9cm、生の重さ20〜25g
- 食べ方
- 焼いて皿に、パンに3本挟むなど
- 名前の保護
- 2003年のEU地理的表示。定められた配合で市内製造
- 小ささの物語
- 鍵穴から渡す話などは伝説
出典
- Schutzverband Nürnberger Bratwürste「Zutaten & Herstellung」(7〜9cm、20〜25g、豚肉と羊の腸、肉の粗さ、製造工程)
- 同「Qualität」(市内製造、塩・胡椒・マジョラム、肉屋ごとの香辛料の違い)
- 同「History」(1313年ごろの規則、2003年の地理的表示、クリスマス市とパンに3本、2021年の博物館開館)
- 同「Sagen & Legenden」(鍵穴、囚人、ハンス・シュトローマーの話。伝説として使用)
- 同「Weltgenusserbe」(地理的表示と地域名、肉とマジョラム。宣伝上の品質の最上級表現は採用しない)
- Museen Nürnberg「Heiß und würzig! Museum für die Bratwurst」(1313〜1314年の市の記録、16世紀の小型化、2014年の展覧会。協会設立年は年表と食い違うため断定しない)
写真(9枚)
- 1. ニュルンベルクのクリスマス市(クリストキンドレスマルクト)の焼き台に並ぶロストブラートヴルスト(2009年) / Schlurcher / CC BY 4.0 / 原典
- 2. ニュルンベルクで出されたロストブラートヴルストとポテトサラダ。小型のソーセージが並ぶ / amanderson2 / CC BY 2.0 / 原典
- 3. ニュルンベルクで供されたロストブラートヴルストとザワークラウト。錫の皿に盛る(2011年) / Eviyani Lubis / CC BY-SA 2.0 / 原典
- 4. パンにロストブラートヴルスト3本とマスタードを挟んだ「ドライ・イム・ヴェグラ」(2007年) / User:Jarlhelm / CC BY-SA 3.0 / 原典
- 5. ニュルンベルク旧市街の食堂アルトシュタットホーフで供されたロストブラートヴルストとザワークラウト(2012年) / Bernt Rostad / CC BY 2.0 / 原典
- 6. ドライ・イム・ヴェグラの屋台でロストブラートヴルストを焼く様子(2008年12月) / karaian / CC BY 2.0 / 原典
- 7. 1709年の版画集『ニュルンベルクの飾り』より、長いブラートヴルストを担いで町を練り歩く肉屋の職人たち / Johann Alexander Boener / Public Domain / 原典
- 8. ニュルンベルク旧市街のブラートヴルスト食堂「ブラートヴルストホイスレ」のテラス(2024年) / Jorge Franganillo / CC BY 2.0 / 原典
- 9. 酢と玉ねぎの煮汁で煮た「ザウレ・ツィプフェル」とポテトサラダ、黒パン。ニュルンベルク(2019年) / Matti Blume / CC BY-SA 4.0 / 原典
実写8枚と1709年の版画集の図1枚の原典・作者・CCまたはパブリックドメインを確認。ニュルンベルクでの料理と食堂の例で、ベルリンの紹介店での写真ではありません。掲載用に縮小・WebP圧縮し、表示時に自然な明るさを整えています。

