シュヴァーベン風ポテトサラダと焦がし玉ねぎを添えたマウルタッシェン(2012年)
ドイツ(シュヴァーベン)肉とほうれん草を包み、スープでも焼いても麺・パスタ

マウルタッシェン

Maultaschen/Schwäbische MaultaschenSwabian filled pasta

肉や野菜の具を卵入りの麺生地で包む、ドイツ南西部シュヴァーベンの料理。ブイヨンに浮かべる、焦がし玉ねぎをかける、切って焼くなどの食べ方がある。修道士が肉を神様から隠したという起源伝説でも知られる。

概要
01

卵入りの麺生地に、肉とほうれん草

シュヴァーベンの詰めパスタ。薄い生地の中に、肉や野菜の具がまとまる。

マウルタッシェンは、ドイツ南西部のシュヴァーベン地方と結びつく料理だ。肉を細かく挽いて練ったブレート、ほうれん草、玉ねぎやパンなどの具を麺生地で包む。四角く折る形と、巻いた形があり、小型のスープ用もある。

バイエルン州の郷土食品紹介は、ほうれん草を含む具を特徴に挙げる。「Schwäbische Maultaschen」という地域名付きの名称は、2009年10月からEUの地理的表示として保護されている。一般的な料理名と、保護される名称には区別がある。

シュトゥットガルトのレストランで供されたシュヴェービッシェ・マウルタッシェン。焦がし玉ねぎをのせる(2010年)
味と特徴
02

スープ、焦がし玉ねぎ、切って焼く

同じ包みをブイヨンに浮かべる、玉ねぎをかける、焼く。仕上げで表情が変わる。

ゆでた包みをブイヨンに入れると、麺生地の表面がつるりとし、具の肉やほうれん草がスープと合わさる。バターで色づけた玉ねぎをかける「ゲシュメルツト」では、玉ねぎの甘さや焼けた香りが加わる。表紙の皿にはポテトサラダも添えられている。

バイエルンの観光局は、最初にブイヨン入り、次の皿に玉ねぎをかけた包みを食べ、翌日は残りを卵と焼いてサラダに添える流れを紹介する。切って焼いた断面は、スープに浮かぶ包みとは違う形になる。写真のサラダには輪切りにした包みが見える。

浅い鍋のスープの中で温めているマウルタッシェン(2014年)切って焼いたマウルタッシェンをのせたサラダの皿(2011年)

今日はスープで、明日は切って焼く。同じ包みを違う形で食べる。麺生地の中に、肉やほうれん草の具がまとまる。

材料と産地
03

生地をのばし、具を広げて、折り包む

生地と具を別々に作り、端を閉じてからゆでる。写真で工程を追える。

バイエルン州の公式レシピは、小麦粉に卵、塩、油、少量の水を合わせて麺生地を作る。具は豚ひき肉、ベーコン、ほうれん草、玉ねぎ、卵、パン粉などを混ぜ、パセリ、胡椒、ナツメグで味を整える。これは家庭での一つの配合で、すべての製品の規格を示すものではない。

同レシピでは、生地を一辺約7cmの四角に切り、卵黄を塗って具を半面に広げ、残りの生地を折る。端を押して閉じ、塩水で12分ゆでる。写真には、長い帯に具をのせて折り包む別の作り方もある。数値はこのレシピの例で、包みの大きさによって調理時間は変わる。

家庭の台所でマウルタッシェンの麺生地をめん棒で伸ばす(2013年)伸ばした生地の上に、肉とほうれん草のフィリングを帯状に広げる(2005年)フィリングを生地で折り包む工程(2005年)
歴史と由来
04

肉を神様から隠した、修道士の話

マウルブロン修道院に伝わるのは、断食中の肉を生地で隠すという愉快な物語。

修道院の紹介ページは、修道士ヤーコプの物語を語る。薪を集めて帰る途中、逃げる盗人が落とした袋を拾うと、中には貴重な肉があった。四旬節の断食中で食べられないが、捨てるのも惜しい。そこで肉を刻み、野菜に混ぜ、生地の小袋に隠して出したという。

神様にも仲間にも肉を見せない工夫から、「ヘルゴッツブシャイサーレ」、神様をだますものというあだ名になったとされる。写真のマウルブロン修道院は、この物語の舞台だ。面白い起源説だが、修道院での発明を確認した記録ではない。

マウルブロン修道院の中庭側の建物。マウルタッシェン起源伝説の舞台とされる(2017年)
1831年料理の文献記録

Genusserbe Bayernが紹介する記録年

2009年EUの地理的表示に登録

地域名付きのSchwäbische Maultaschen、10月

広がり
05

1831年の記録と、伝説の食い違い

文献に見える料理と、修道院の起源伝説を分けて読む。

Genusserbe Bayernは、最初の文献記録を1831年と紹介する。ヨハネス・クリストフ・フォン・シュミートが、シュヴァーベンの詰めた麺として記したという。これはその年に発明されたという意味ではなく、料理を記述した記録の年だ。

州立城郭庭園管理局の2026年の解説は、マウルブロン修道院の文書に発祥の裏づけがないと説明する。シトー会では四つ足の動物の肉は断食期以外も禁じられ、断食中は生地に使う卵も認められなかった。物語をそのまま史実にすると、当時の規則と食い違う。

ドイツの世界遺産協会も、起源伝説の食い違いを指摘しつつ、魚を「川の野菜」と呼ぶなど修道院での規則の解釈を紹介する。料理の発明を証明する話とは別に、食をめぐる工夫を語る文化として伝説を楽しめる。

フェルバッハの飲食店「Zum Kuckuck」で出された自家製マウルタッシェン。ブイヨンの皿とポテトサラダ
仲間と変わり種
06

野菜の具と、名前だけ同じ甘い料理

肉なしの包みもある。同じ名前でも生地と具を見れば違いが分かる。

バイエルンの観光局のレシピには、肉とベーコンを地域の野菜に置き換える提案もある。切り口の緑色だけで、肉なしと判断することはできない。肉入りにもほうれん草が混ざるため、具の内容は料理名や説明で確かめる。

一方、ドイツ語版Wikipediaが紹介するバイエルンのカルトッフェルマウルタッシェンは、じゃがいもの生地にりんごなどを詰めて焼く甘い料理だ。名前は似ているが、卵入りの麺生地をゆでるシュヴァーベンの包みとは別の料理になる。

切り分けたマウルタッシェン。ほうれん草を含む緑がかったフィリングが見える(2025年)大鍋で加熱中のマウルタッシェンと穴あきレードル(2012年)

基本情報

国・地域
ドイツ南西部シュヴァーベン地方
現地名
Maultaschen、Schwäbische Maultaschen
生地
小麦粉などと卵の麺生地
具
肉のブレート、ひき肉、ほうれん草、玉ねぎ、パンなど。野菜の具もある
食べ方
ブイヨン、焦がし玉ねぎ、切って焼く
地理的表示
Schwäbische Maultaschenは2009年10月にEU登録
起源
未確定。マウルブロン修道院の話は伝説

出典

写真(11枚)

  • 1. シュヴァーベン風ポテトサラダと焦がし玉ねぎを添えたマウルタッシェン(2012年) / Brücke-Osteuropa / CC0 1.0 / 原典
  • 2. シュトゥットガルトのレストランで供されたシュヴェービッシェ・マウルタッシェン。焦がし玉ねぎをのせる(2010年) / Brücke-Osteuropa / CC0 1.0 / 原典
  • 3. 浅い鍋のスープの中で温めているマウルタッシェン(2014年) / Dr. Bernd Gross / CC BY-SA 4.0 / 原典
  • 4. 切って焼いたマウルタッシェンをのせたサラダの皿(2011年) / 4028mdk09 / CC BY-SA 3.0 / 原典
  • 5. 家庭の台所でマウルタッシェンの麺生地をめん棒で伸ばす(2013年) / strandkorbtraum / CC BY-SA 2.0 / 原典
  • 6. 伸ばした生地の上に、肉とほうれん草のフィリングを帯状に広げる(2005年) / Flominator / CC BY-SA 3.0 / 原典
  • 7. フィリングを生地で折り包む工程(2005年) / Flominator / CC BY-SA 3.0 / 原典
  • 8. マウルブロン修道院の中庭側の建物。マウルタッシェン起源伝説の舞台とされる(2017年) / H. Zell / CC BY-SA 3.0 / 原典
  • 9. フェルバッハの飲食店「Zum Kuckuck」で出された自家製マウルタッシェン。ブイヨンの皿とポテトサラダ / Benreis / CC BY-SA 4.0 / 原典
  • 10. 切り分けたマウルタッシェン。ほうれん草を含む緑がかったフィリングが見える(2025年) / Marsilar / CC BY-SA 4.0 / 原典
  • 11. 大鍋で加熱中のマウルタッシェンと穴あきレードル(2012年) / Brücke-Osteuropa / CC0 1.0 / 原典

実写11枚の原典・作者・CC利用条件を確認。シュヴァーベンなどの料理、家庭での製作、伝説の舞台の例で、ベルリンの紹介店の写真ではありません。掲載用に縮小・WebP圧縮し、表示時に自然な明るさを整えています。

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