アメリカ・アラスカ州フェアバンクス ―― オーロラを追う7日間
不死鳥は、午前3時に現れた。
フェアバンクス・オーロラ完全ガイド
成田を出て、シアトルで乗り継いで、マイナス30℃の街へ。犬ぞり、チェナ温泉、氷の博物館。そして最後の夜、空に翼が広がりました。食べたもの22品も、食べた場所・食べた時間のとおりに並べて、写真112枚で出発から帰国まで全部ご案内します。
い ま こ こ
オーロラには、ときどき「かたち」が出ます。カーテン、渦、光の柱。そのなかでもっとも有名なのが、翼を広げた鳥のかたち――フェニックス(不死鳥)と呼ばれるものです。天文写真の世界では、アイスランドで撮られた一枚がNASAの「今日の天体写真(APOD)」に何度も掲載され、伝説になりました。同じ形は、条件がそろえばアラスカの空にも出ます。
この記事は、その「かたち」を見に、日本からアラスカ州フェアバンクスへ行く旅の記録です。成田空港の出発ロビーからはじまり、シアトル乗り継ぎ、マイナス30℃の到着、街歩き、犬ぞり、チェナ温泉、そして深夜のオーロラ待ちまで、順番にぜんぶ連れて行きます。
結論から言うと、フェアバンクスは世界でもっともオーロラを見やすい街のひとつです。理由は3つ。オーロラ帯(オーロラオーバル)の真下にあること、内陸で晴天率が高いこと、そして街から30分も走れば真っ暗な丘に着けること。3泊すれば高い確率で見られる、と現地の観光局が言い続けているのはこのためです。
- 行き先
- アメリカ合衆国 アラスカ州フェアバンクス(Fairbanks, AK)と周辺(チェナ温泉/ノースポール/マーフィードーム)
- ビザ
- 日本人はESTA(電子渡航認証)で観光90日まで。申請料は40.27ドル=約6,300円(2026年1月改定・2026年8月時点)。パスポート残存は滞在日数+α
- 行き方
- 成田・羽田→シアトル 直行約8時間40分〜9時間/シアトル→フェアバンクス 約3時間45分〜4時間。乗り継ぎ含め片道14〜17時間
- 時差
- アラスカ標準時(AKST)は日本より18時間遅い。日本の正午=前日18時。冬は時差ボケが夜型になり、オーロラ待ちにはむしろ好都合
- ベスト時期
- 8月下旬〜4月上旬。なかでも2月〜3月は晴天率と活動度のバランスが良い。12〜1月は最も暗いが最も寒い
- 寒さ
- 1月の平均最高約−17℃/平均最低約−23℃。放射冷却で−40℃まで下がる日もある。2月は最高−11℃・最低−19℃前後
- 食事
- 外食は日本の1.5〜2倍。ただしアラスカ州には州売上税がなく、フェアバンクス市も市売上税なし。上乗せはチップ18〜20%だけ
- 総予算
- 1人 25〜40万円/5泊7日。航空券が12〜20万円、ツアー代とホテルで10万円前後
- 換算レート
- 本記事は1ドル=157円で計算(2026年8月時点)。金額は2026年8月時点の目安としてお読みください

第 一 章
成田を発つ。
荷物の半分は防寒着
出国審査まで60分/ESTAは出発72時間前までに/預け荷物は防寒具で1個埋まる
い ま こ こ
アラスカ行きの荷造りは、他のどの旅とも違います。服を選ぶのではなく、層(レイヤー)を数える。肌着・中間着・アウターで3層、下半身も3層、手袋は薄手と厚手の二重、靴下も二重。これで預け荷物のスーツケースは半分埋まります。
成田空港第1ターミナルは北ウイングと南ウイングに分かれていて、アメリカ路線は航空会社によって場所が違います。出発の3時間前に着いて、チェックイン、荷物預け、保安検査、出国審査。ここまでで平均40〜60分。混む朝の便なら、もう少し余裕を見てください。



ESTAは出発の72時間前までに申請しておきます。料金は40.27ドル(約6,300円)。承認は数分で下りることが多いものの、まれに数日かかるので、航空券を取った日に済ませるのが安全です。有効期間は2年、またはパスポートの有効期限まで。
もうひとつ。アラスカの冬に必要なのは「氷点下20℃対応」ではなく「氷点下30℃対応」の装備です。日本で揃えると高くつきますが、フェアバンクスにはツアー会社の防寒具レンタル(上下+ブーツ+手袋で1泊あたり20〜40ドル=約3,100〜6,300円)があるので、現地調達も選択肢になります。



第 二 章
シアトル乗り継ぎ。
最初の一杯はチャウダー
飛行時間 約8時間40分〜9時間/入国審査60〜120分/乗り継ぎは3時間以上を推奨
い ま こ こ
日本からフェアバンクスへの直行便はありません。ほぼ全員がシアトルかその他の米本土の都市で乗り継ぎます。シアトル・タコマ国際空港(SEA)はアラスカ航空の本拠地で、アラスカ各都市への便が一日中出ているので、乗り継ぎ地としては最も自然な選択になります。
大事なのは、アメリカの入国審査(イミグレーション)と税関は最初の到着地で行うということ。つまりフェアバンクスではなくシアトルで済ませます。ここで荷物をいったん受け取り、税関を通り、再び預け直す。この一連で60〜120分。乗り継ぎ時間は最低3時間、できれば4時間見ておくと安心です。



税関を出ると、そこはもうアメリカ北西部です。最初の食事はここで済ませておくのが正解。この先アラスカに入ると、深夜まで開いている店が一気に減ります。
迷ったらクラムチャウダー。太平洋岸北西部の定番で、アサリ(クラム)とジャガイモ、ベーコン、玉ねぎを牛乳と生クリームで煮た白いスープです。ボストン式と呼ばれるこの白いタイプは、シアトルではくり抜いた丸パン(サワードウ・ブレッドボウル)に注いで出てくることが多い。
ひと口目は「思ったより薄いな」と感じます。生クリームの重さより、アサリの塩気とベーコンの燻香が先に来るからです。ところが底のほうへスプーンを進めると、ジャガイモが溶けてとろみが増し、後半は完全に濃厚になる。パンの器は最後に食べる――スープを吸って、外側はサクサク、内側はぐずぐずになったところが、この料理のいちばんおいしい部分です。空港のフードコートで13ドル=約2,040円。ターミナル内のシーフード店なら、朝6時から夜10時ごろまでやっています。
そしてコーヒー。シアトルは全米屈指のコーヒーの街で、空港の中だけでも十数軒の店があります。注文するならドリップコーヒー(Drip / Brewed Coffee)。エスプレッソ系より安く、量が多い。深煎りで酸味が少なく、苦味に少しスモーキーな香りが乗る、いわゆるシアトル系の味です。3.5ドル=約550円。ミルクと砂糖はセルフで、カップは日本のMサイズより一回り大きいと思ってください。


シアトルの空港は大きく、メインターミナルからN・S・A・B・C・Dの各コンコースへ地下シャトルや連絡通路で移動します。アラスカ航空のフェアバンクス便はC・Dコンコースから出ることが多く、税関を出た場所からは10〜15分歩きます。




第 三 章
機窓に、もう緑が出ている
シアトル→フェアバンクス 約3時間45分〜4時間/夜便なら窓側を確保
い ま こ こ
シアトルからフェアバンクスまでは約3時間45分〜4時間。アラスカ湾を越え、山脈を越え、真っ白な内陸へ入っていきます。夜の便に当たったら、座席は窓側を選んでください。運が良ければ、着陸前にもう窓の外が緑に光ります。
オーロラは高度100〜300kmで光っているので、巡航高度1万mの飛行機からは「下から見上げる」のではなく「ほぼ横から見る」ことになります。地上から見るときのカーテン感は薄いかわりに、地平線に沿って延々と伸びる帯として見えます。機内では読書灯を消し、窓ガラスにカメラを押し当てて撮ると、反射を抑えられます。


着陸間際、客室乗務員のアナウンスが入ります。「現在の地上気温は華氏マイナス20度です」――摂氏に直すと約−29℃。ここで機内がざわつくのが、冬のフェアバンクス便の恒例です。




第 四 章
着いた夜は、
魚のフライとピザで済ませる
入国済みなので手続きなし/空港から市内まで車で15分・タクシー30〜40ドル
い ま こ こ
フェアバンクス国際空港(FAI)は小さな空港です。ターミナルは実質ひとつ、荷物受取所も1〜2レーン。シアトルで入国を済ませているので、ここでは何の手続きもありません。荷物を取って、外に出るだけ。
そして外に出た瞬間、はじめての人はたいてい同じ反応をします。鼻の奥がツンと痛くなる。−30℃の空気を吸うと、鼻腔の粘膜が一瞬で冷えるからです。数秒で慣れますが、最初の一呼吸は忘れられません。まつ毛が凍って白くなるのもこのあたりからです。



市内までは車で約15分。タクシーで30〜40ドル(約4,700〜6,300円)、ホテルの無料シャトルがあればそれが一番安上がりです。レンタカーは1日60〜100ドル(約9,400〜1万5,700円)ほどですが、冬季は必ずエンジンブロックヒーター付きの車を借りてください。−30℃で一晩外に置いた車は、ヒーターなしではまず始動しません。駐車場を見ると、どの車のフロントグリルからもコードが伸びて、ポールに刺さっています。あれがその電源です。
ホテルに荷物を置いたら、もう夜の8時。フェアバンクスの店は早い――多くのレストランが21時、遅くても22時には閉まります。この時間から入れるのは、ダウンタウンのパブか、深夜までやっているピザ屋くらいです。
まず頼んだのがハリバット・フィッシュ&チップス。ハリバットはオヒョウ、北太平洋でとれる巨大なカレイの仲間で、アラスカを代表する白身魚です。日本でいえば大きなヒラメ。ビール衣をつけて揚げてあり、衣はぱりっと軽く、中の身は箸を入れた瞬間にほろっと層状に崩れます。脂は少なく、味そのものは淡白。だからタルタルソースとレモンをたっぷり使い、モルトビネガー(麦芽酢)を回しかけて食べるのが現地流です。酢をかけると急に輪郭が出ます。27ドル=約4,240円。同じ店でタラ(コッド)版なら2〜3ドル安くなります。
もうひとつ、ピザ(12インチ・約30cm)が24ドル=約3,770円。生地は厚すぎず薄すぎず、チーズがたっぷりで塩気が強い、いかにもアメリカの田舎町の味です。特筆すべきはその存在価値のほうで、フェアバンクスでは「深夜まで開いている」というだけで貴重。オーロラツアーから午前2時半に帰ってきた夜、テイクアウトしておいたピザを部屋で温め直して食べる――この旅では2回それをやりました。






第 五 章
朝はサワードウ。
昼は4時間しかない
12月の日照 約4時間/朝食は7時から/博物館 大人22ドル
い ま こ こ
冬至前後のフェアバンクスは、日の出が午前11時ごろ、日の入りが午後3時前。昼が4時間弱しかありません。しかも太陽は地平線すれすれを横に滑るので、一日中「夕方」のような光が続きます。写真を撮る人には、実はこれが最高の条件です。
だから朝は早く動きます。とはいえ外はまだ真っ暗なので、最初にやることは朝食です。そしてフェアバンクスの朝食には、この街ならではの一品があります。
サワードウ・パンケーキ。サワードウとは、イーストを使わず、粉と水を発酵させて作る「種(スターター)」のこと。19世紀末のゴールドラッシュの時代、アラスカとユーコンに入った採掘者たちは、この種を懐に入れて凍らせないように守りながら旅をしました。だからアラスカでは、古株の住人のことを今でも「サワードウ」と呼びます。種を持っていた人、という意味です。
味は、ふつうのパンケーキとはっきり違います。甘くない。かわりに、かすかな酸味がある。ヨーグルトのような酸っぱさではなく、パンの耳を噛んだときの奥のほうにある酸味です。生地はもっちりと重く、外側は鉄板で薄く焼き固められてざらつきがある。そこにバターをのせ、メープルシロップをたっぷりかけると、酸味と甘みがぶつかって急にごちそうになります。16ドル=約2,510円。ダウンタウンのダイナーで朝6時〜7時から出しています。
同じ皿の系統で、地元産のブルーベリーを生地に混ぜ込んだワイルドベリー・パンケーキが18ドル=約2,830円。アラスカのブルーベリーは粒が小さく、栽培種より酸味と香りが強い。焼くと果汁が生地ににじんで紫の筋になり、噛むと ぷちっと弾けて酸っぱい汁が出ます。甘いシロップとの相性はこちらのほうが上です。
そしてもう一皿、アラスカン・ブレックファスト(22ドル=約3,450円)。目玉焼き2つ、豆の煮込み、ハッシュブラウン、そしてトナカイのソーセージが付きます。トナカイ(レインディア)のソーセージは豚肉と合い挽きにしてあり、脂は少なめ。皮はぱりっと張っていて、噛むと肉汁より先に燻製の香りが立ちます。味は牛と豚の中間で、獣くささはほとんどない。塩気が強いので、卵と一緒に食べるとちょうどよくなります。アラスカの朝食にはたいてい選べるので、ベーコンではなくこちらを頼んでみてください。



腹ごしらえが済んだら街へ。ダウンタウンはコンパクトで、市庁舎、旧アラスカ鉄道の駅舎、観光案内所(モリス・トンプソン文化ビジターセンター)あたりが徒歩圏です。ただし気温が−25℃を下回る日は、10分歩くごとにどこかの建物に入って温まる、という歩き方になります。
その「温まる場所」として最強なのがカフェ。フェアバンクスにはドライブスルー専用の小屋カフェが点在していて、車の窓を開けずに受け取れる仕組みになっています。座って飲むならマフィン+ラテのセットが9.5ドル=約1,490円。マフィンはこぶし大で、上面が砂糖でざらつくほど甘い。ラテは日本より濃く、ミルクの温度が高めです。
カフェラテ単品なら6ドル=約940円。ただしオーロラ待ちの前に飲むかどうかは考えどころで、深夜0時から3時まで屋外に立つことを思うと、カフェインより保温ボトルにお湯を入れておくほうが実用的だったりします。





屋内の見どころで外せないのがアラスカ大学北方博物館(University of Alaska Museum of the North)。大学構内の丘の上にある白い建築で、オーロラの科学展示、先住民文化、アラスカ産の巨大な動物標本まで一気に見られます。入館料は大人22ドル(約3,500円)/65歳以上18ドル(約2,800円)/6〜17歳16ドル(約2,500円)/5歳以下無料。滞在の目安は2時間。
移動は路線バス(MACS Transit)も一応ありますが、本数が少ないため、実際にはタクシー・配車アプリ・ツアー会社の送迎を使うことになります。冬に徒歩で長距離移動しようとしないこと――これは現地の人が必ず言う注意です。






第 六 章
パイプラインと、サンタの村
パイプライン展望所は無料・24時間/ノースポールまで車で20分
い ま こ こ
フェアバンクスから北へ車で15分ほど走ると、道の脇に銀色の巨大な管が現れます。トランス・アラスカ・パイプライン。北極海に面したプルドー湾から南岸のバルディーズまで、全長約1,300kmを縦断する石油パイプラインです。展望所(Trans-Alaska Pipeline Viewpoint)は無料・24時間開放で、真下まで歩いて触れます。
面白いのは、この管がわざとジグザグに敷かれていること。理由は2つあって、ひとつは地震のときに横揺れを吸収するため。もうひとつは、温度差で金属が伸び縮みするのを逃がすためです。まっすぐ敷くと、冬と夏で長さが変わって壊れてしまう。
支柱にも仕掛けがあります。柱の上に付いた放熱フィンは熱サイフォン(ヒートパイプ)で、地中の熱を空気中に逃がして永久凍土が溶けないようにしています。凍土が溶けると地盤が沈み、管が折れるからです。



もうひとつの寄り道が、フェアバンクスの南東20分にある町ノースポール(North Pole)。北極点ではありません。1950年代に「サンタの村」として売り出した人工的な町で、街灯が杖の形をしていて、通りの名前が「サンタクロース・レーン」。ここにあるサンタクロースハウスは年中無休で、世界中から届いた手紙に返事を出しています。入場は無料。オーナメントが10〜30ドル(約1,570〜4,700円)、Tシャツが25ドル前後(約3,900円)。「北極点消印」を押した手紙を送れるのがいちばんの土産です。
この村の甘いものが、けっこう本気でした。ベリークリーム・パンケーキ(17ドル=約2,670円)。厚めのパンケーキの上にホイップクリームと、煮詰めたベリーのソースが山盛りでのっています。生地はしっとりして目が詰まり、クリームは軽い。ソースは砂糖よりベリー自体の酸味が勝っていて、甘さは日本の1.5倍あるのに、酸味のおかげで最後まで食べられる。クリスマス装飾に囲まれた店内で、外は−28℃。この組み合わせがずるいくらい効きます。








第 七 章
氷を彫る人と、
最北のブルワリー
世界氷彫刻選手権は毎年2月下旬〜3月/ライトアップは日没後
い ま こ こ
フェアバンクスの冬のもうひとつの名物が、世界氷彫刻選手権(World Ice Art Championships)。毎年2月下旬から3月にかけて開催され、世界中から彫刻家が集まります。使うのは近郊の池から切り出した「アラスカ・ダイヤモンド」と呼ばれる透明度の高い氷。
作品は昼と夜で完全に別物になります。昼は氷そのものの透明感、夜は内側から仕込んだ照明で色が変わる。見るなら断然、日没後です。会場は屋外なので、オーロラ待ちと同じ装備で行ってください。



そのまま体が冷え切ったら、屋内へ避難します。フェアバンクスには全米でも最北級のブルワリー(地ビール醸造所)があり、併設のパブで作りたてが飲めます。パイント(約473ml)で8ドル=約1,260円。
この街のビールは総じて麦の甘みが濃く、炭酸が弱めです。理由は単純で、寒い土地では冷えたビールを一気に飲まないから。ゆっくり飲んでも痩せない味に作ってある。定番のアンバーエールは、色は琥珀、香りはカラメルとナッツ、飲み口はとろりとして、後味に軽い苦味が残ります。キンキンに冷やさず、少し温度が上がったほうがおいしいタイプです。
合わせるならフィッシュタコス(3ピースで21ドル=約3,300円)。白身魚のフライをトルティーヤに包み、紫キャベツのスラー(コールスロー)とライムを効かせたソースをかけたもの。魚の衣はさくさく、スラーはしゃきしゃきで冷たく、ソースは酸っぱい。揚げ物なのに口の中がさっぱりする組み立てで、甘みの濃いエールと交互にやると止まらなくなります。パブの営業はだいたい11時から22時、金土は23時ごろまで。アルコールは21歳以上、注文時にパスポートの提示を求められます。



第 八 章
犬ぞりは、思ったより速い
半日ツアー 120〜200ドル/ユーコン・クエストは毎年2月開催
い ま こ こ
アラスカで犬ぞりは観光アトラクションである前に、公式の州スポーツです。フェアバンクスはその中心地のひとつで、2月にはユーコン準州ホワイトホースとの間を結ぶ長距離レースユーコン・クエストのスタート/ゴール地点になります。
体験ツアーは半日で120〜200ドル(約1万9,000〜3万1,000円)が相場。犬舎の見学、ハーネスの付け方、そして実際に数kmを走ります。集合は朝8時前後――つまり、まだ真っ暗なうちに出発です。
走り出すと、まず音がないことに驚きます。エンジンがないので、聞こえるのは犬の息づかいとランナー(ソリの滑走部)が雪を擦る音だけ。そして速い。平坦な雪原なら時速20km前後で、顔に当たる風は体感でさらに10℃低く感じます。フェイスマスクは必須です。






戻ってきたのは午後1時。3時間も外にいると、体の芯が完全に冷えます。手袋を外した指がしばらく言うことを聞かない。そういうときに食べたのが、タラを使ったコッド・フィッシュ&チップス(24ドル=約3,770円)でした。
初日に食べたハリバット(オヒョウ)版との違いははっきりしています。ハリバットは身が厚くて層で崩れるのに対し、タラはもっと繊維が細かく、ふわっとほどける。脂が少ない分あっさりしていて、揚げたてなら衣の香ばしさが前に出ます。付け合わせのグリンピースをつぶしたペースト(マッシーピーズ)を一緒に食べると、青くさい甘みが加わって全体が落ち着く。値段はハリバットより2〜3ドル安く、正直こちらのほうが日本人の口には合うかもしれません。
そして朝食に食べそこねた人のために書いておくと、ワイルドベリー・パンケーキは午後でも出す店があります。犬ぞりから帰った体に、熱いパンケーキと甘いシロップはよく効きました。





第 九 章
白い森の道を、東へ。
途中のロードハウスで肉
チェナ・ホットスプリングス・ロード 約90km/片道1時間30分/途中に店は数軒
い ま こ こ
フェアバンクスから北東へ約90km。チェナ・ホットスプリングス・ロードは一本道で、ほぼ全区間が森のなかを走ります。片道1時間30分。信号も店もほとんどなく、途中でガソリンが切れると本当に困るので、出発前に必ず満タンにしてください。
沿道の木はトウヒ(スプルース)とシラカバ。−30℃の空気のなかでは、木の枝に霧氷(ホアフロスト)がびっしり付いて、森全体が白い珊瑚のようになります。晴れた日の午後、低い太陽がこれを横から照らす時間帯が、この道のいちばん美しい瞬間です。



アラスカの幹線道路沿いにはロードハウスと呼ばれる建物が点在しています。もともとは犬ぞりや馬車の時代に、旅人が一晩泊まって馬を替えた宿場。いまはレストランと給油所を兼ねた場所として残っていて、この道にも数軒あります。営業時間が短く、冬は週の何日かしか開けない店もあるので、寄るつもりなら電話で確認してから出るのが確実です。
ここの料理は、とにかく量です。サーロインステーキ&フライ(36ドル=約5,650円)を頼むと、手のひらより大きい肉と、皿の半分を埋めるフライドポテトが出てきます。肉は薄めに焼かれてよく火が入っていて、日本のレアな焼き方に慣れていると最初は「焼きすぎでは」と思う。ところが噛むと肉汁より先に、焼き目の香ばしさと粗い塩の粒が来る。アメリカ内陸のステーキはこの塩と焦げで食べさせる料理で、ソースはほとんど使いません。付け合わせのフライは太切りで、外はざらつき、中はほくほく。
もう一皿、ポークシュニッツェル(29ドル=約4,550円)。豚肉を薄く叩き伸ばしてパン粉をつけ、薄い油で焼いた中欧料理です。アラスカ内陸にはドイツ系・北欧系の移民の流れがあって、この手の料理を出す店が意外と多い。衣は日本のトンカツよりずっと薄く、ぱりぱりというよりカリッと乾いた感じ。肉自体は叩いてあるので繊維がほどけていて、噛む力がいりません。添えられたマッシュポテトとグレイビーをまとわせて食べると、塩気がまるくなります。


この道ではヘラジカ(ムース)とカリブーに出会うことがあります。とくにヘラジカは体高2mを超え、車と衝突すると本当に危険です。夕方から夜にかけて道路に出てくるので、暗くなってからは速度を落としてください。「動物注意」の標識は飾りではありません。




第 十 章
チェナ温泉。
髪が凍る湯と、鮭と鹿
日帰り入浴 大人20ドル/氷の博物館 大人15ドル/ツアー送迎 往復100ドル前後
い ま こ こ
道の終点、ミルポスト56.5にチェナ・ホットスプリングス・リゾートがあります。1905年に金鉱を探していた兄弟が見つけた天然温泉で、いまはアラスカでもっとも有名な露天風呂です。日帰り入浴は大人20ドル(約3,100円)/子ども17ドル(約2,700円)。タオルは有料レンタルがあります。
目玉はロックレイクと呼ばれる岩に囲まれた屋外の湯だまり。湯温は40℃前後、外気は−30℃。頭だけ出していると、髪の毛が数分で凍って白くなります。そのまま空を見上げていると、運が良ければ湯気の向こうにオーロラが出る――これが多くの人がここに来る理由です。ロックレイクは18歳以上のみ・水着着用。屋内には温水プールとジャグジーもあります。眼鏡は湯気で曇るので、コンタクトのほうが快適です。



湯から上がったら食事です。リゾート内のレストランは朝7時から夜9時ごろまで通しで開いていて、この一帯では唯一まともに食べられる場所になります。だから多少高くても、ここで食べる。
まずグリルド・キングサーモン(38ドル=約5,970円)。キングサーモン(マスノスケ)はサケ類でいちばん大きく、脂が最も多い種類です。切り身は厚さ3cmほどあり、皮目を強く焼いてある。フォークを入れると、断面から脂が透明に浮いてくる。身はしっとりして、噛むとほろりと剥がれる。日本の焼き鮭のような塩気はなく、ハーブとレモン、そして表面に振った粗塩だけで食べさせます。脂が濃いので、付け合わせの青菜と一緒に運ぶとちょうどいい。
もう一皿がベイクド・サーモン・ディナー(42ドル=約6,590円)。同じサーモンでも、こちらは切り身をオーブンで低めの温度でゆっくり焼いたもの。グリルが表面の香ばしさで食べさせるのに対し、ベイクドは中心までしっとりして、身がねっとりまとまる。付け合わせは輪切りのローストポテトと焼きピーマンで、ポテトは縁が飴色に焦げて甘く、ピーマンはほろ苦い。この苦味が鮭の脂を切ってくれます。海から遠い内陸の町でこれだけの魚が食べられるのは、州内の物流が魚を最優先で運んでいるからです。
そしてエルク(アカシカ)ステーキ(46ドル=約7,220円)。エルクはアラスカやカナダに生息する大型のシカで、赤身が非常に濃い肉です。見た目は牛のヒレに近いのに、脂がほとんどない。だから焼きすぎるとすぐ固くなるので、店はたいていミディアムレアで出してきます。噛むと、鉄っぽい旨みがはっきりある。獣くささは想像よりずっと少なく、「濃い赤身の牛肉」と言われたら気づかないかもしれません。ライスかマッシュポテトと一緒に、肉汁を吸わせて食べるのがおすすめです。



敷地内にあるもうひとつの名物がオーロラ・アイス・ミュージアム。一年じゅう氷でできた建物で、地熱発電の電力で内部を−6℃前後に保っています。氷のシャンデリア、氷のベッド、氷の騎士像。ツアーは11時・13時・15時・17時・19時の1日5回、所要約30分。
入場料は大人15ドル(約2,400円)/6〜17歳10ドル(約1,570円)/5歳以下は大人同伴で無料。氷のグラスで出てくるアップルティーニが20ドル(約3,100円)の追加で、こちらは身分証の提示が必要です。飲み終わったグラスは、床に叩きつけて割るのが作法になっています。
フェアバンクスからの往復送迎付きツアーは100ドル前後(約1万5,700円)〜。自分で運転するなら、往復3時間の雪道になることを計算に入れてください。







第 十 一 章
出発前に、肉を食べておく
ツアー 21:30発〜翌2:30着/料金 99〜179ドル/夕食は19時までに
い ま こ こ
オーロラ観賞は、9割が「待つ時間」です。ツアーの標準は21時30分ごろホテル発、翌2時30分ごろ帰着の約5時間。そのあいだ、暖房の効いた小屋と、外の−30℃を何度も往復します。
だから出発前の夕食は19時までに、しっかり食べておくのが鉄則です。夜中に空腹で立っていると、寒さの感じ方がまるで違います。体温を作るのは結局のところ食べたものなので、この日ばかりは重いものを選んでいい。
選んだのはリブアイステーキ(12オンス=約340g、52ドル=約8,160円)。この街の外食としてはほぼ上限の価格です。リブアイは肋骨まわりの肉で、赤身のなかに脂が網の目のように入っている部位。切ると断面から脂がじわっと出て、噛むと最初に甘い脂、次に赤身の旨みが来る。アメリカのステーキらしく味付けは塩と胡椒だけで、焼き目は強く、外側は黒に近い茶色。付け合わせのブロッコリーニ(茎の長いブロッコリー)は苦味があり、脂を切ってくれます。
ひとつ注意。アメリカのステーキの焼き加減は日本より一段階レアです。ミディアムを頼むと日本のミディアムレアくらいで出てくることが多い。しっかり火を入れたい人は「ミディアム・ウェル」と言ってください。


料金の相場は、マーフィードーム/クリアリー・サミットを回るガイド付きツアーが179ドル(約2万8,100円)、クリアリー・サミットのガラス張り観賞小屋(オーロラ・グラスハウス)が99ドル(約1万5,500円)〜。前者は移動しながら雲を避けられるのが強みで、後者は屋内から見られるのが強みです。ホテル送迎込み、定員14名前後の小グループが多くなっています。
持っていくもの。使い捨てカイロを4〜6個(背中・腹・靴の中)、予備のカメラバッテリー(−30℃では容量が半分以下になります)、三脚、魔法瓶。それと、レンズを外気に出したままにすると結露して曇るので、屋内に戻すときはカメラをビニール袋に入れてから入れる。これを知らないと、二晩目から撮れなくなります。






第 十 二 章
午前3時。
翼が広がった
KP指数3で十分/最も出るのは22時〜翌2時/気温は下がるほど有利
い ま こ こ
最初の夜は、うっすらとした灰色の帯が北の空に浮かんだだけでした。肉眼では「雲かな」と思う程度。ところがカメラを15秒開けると、モニターにはっきり緑が写る。オーロラは、人間の目より先にカメラが見つけます。暗い場所で人間の目は色をほとんど感じないので、弱いオーロラは白っぽい雲にしか見えないのです。
二晩目、22時すぎ。北の地平線の帯が急に太くなり、そのまま頭の上まで伸びてきました。ここからが本番です。緑のカーテンが左右に走り、下端がピンクに染まる。ピンクは高度が低い部分の窒素分子が出す色で、活動が強いときにだけ見えます。












そして三晩目、午前3時20分。ほとんどの人が引き上げたあとでした。北東の空でいったん消えかけた光が、数十秒で急に膨らみ、中心から左右へ、羽を広げるように伸びていきました。頭の部分にあたるところが明るく丸まり、下に長い尾が垂れる。誰かが「バード」と言い、別の誰かが「フェニックス」と言いました。
この形が出るのは、磁力線に沿った光の帯が、サブストーム(磁気圏の急激なエネルギー解放)の直後に一気に崩れるときです。カーテンの折れ目が同時に光ると、鳥のような輪郭になる。長くは続きません。実際に「翼」に見えたのは、2分ほどでした。
アイスランドで撮られた有名な「フェニックス・オーロラ」も、深夜3時30分、みんなが帰ったあとに現れたと記録されています。最後まで残った人が見る――オーロラの世界には、そういう身も蓋もない法則があります。






オーロラのルールは、それだけでした。

終 章
最終日。
この街は、なぜかタイ料理が強い
ランチ11時〜14時30分/夜は21時閉店が多い/辛さは注文時に指定
い ま こ こ
意外に思われるのですが、フェアバンクスはタイ料理店の多い街です。人口3万人ほどの内陸の町に、専門店が何軒もある。冬に−40℃まで下がる土地で、辛くて熱いスープが求められた結果だと言われています。理屈は分かる気がします。
最終日の昼、荷造りを終えてから食べたのがカレーヌードル(19ドル=約2,980円)。ココナッツミルクのカレースープに太めの米麺を入れたもので、上に香菜(パクチー)と揚げた薬味がのっています。スープは見た目ほど辛くなく、まずココナッツの甘みが来て、遅れて唐辛子の熱が喉に来る。麺はつるつるして、スープをよく持ち上げる。辛さは注文時に1〜5で指定できる店が多く、日本人なら2〜3で十分です。
そしてこの街の看板メニューとも言えるカオソーイ(20ドル=約3,140円)。タイ北部の名物で、同じくココナッツカレーのスープに、茹でた麺と、揚げた麺の両方が入ります。食べ始めは揚げ麺がぱりぱりで香ばしく、スープを吸うにつれてしんなりしてくる。この食感が最初と最後で変わっていくのが、この料理の面白さです。添えられた赤玉ねぎとライムを途中で足すと、味が一段引き締まります。−30℃の街で食べると、正直やたらと旨い。
締めにトムヤム(ボウルで18ドル=約2,830円)。レモングラス、こぶみかんの葉、ガランガル(南姜)で香りをつけた酸っぱ辛いスープです。ひと口目は酸味、次に辛味、最後にハーブの香りが鼻に抜ける。油分が少ないので、こってりしたものを食べたあとに飲むと胃が軽くなります。三晩オーロラを見て冷え切った体には、これが最後の仕上げになりました。



最後に、この旅にかかったお金をまとめます。5泊7日、2名1室、1人あたりの目安です。オーロラは「見えるまで待つ」ものなので、最低3泊、できれば4泊を現地に取ってください。1泊しか取れないと、曇っただけで旅の目的が消えます。
※ すべて2026年8月時点の目安で、1ドル=157円換算。料金・営業時間・ツアー内容は変更されることがあるため、必ず各施設の公式サイトで最新をご確認ください。アラスカ州には州売上税がなく、フェアバンクス市も市売上税を課していませんが、飲食店では会計にチップ18〜20%を加えるのが慣習です。アルコールは21歳以上、注文時に写真付き身分証(パスポート)を求められます。チェナ温泉の日帰り入浴は大人20ドル・子ども17ドル、アイスミュージアムのツアーは11時/13時/15時/17時/19時の1日5回・所要約30分です。
持ち物で本当に効いたもの。①−30℃対応のブーツ(借りてもいい、けれど絶対に妥協しない)②目出し帽かネックゲイター(顔が凍傷になるのは頬と鼻)③使い捨てカイロ多め ④カメラの予備バッテリーと、それを入れる内ポケット ⑤保温ボトル ⑥ビニール袋(カメラの結露対策)⑦リップクリーム(湿度10%台の世界です)。
やめておいたほうがいいこと。金属フレームの眼鏡(頬に貼りつきます)、綿の下着(汗が凍る)、そして「今夜出なかったから明日も出ないだろう」という判断。オーロラは3日連続で何もない日が続いたあと、4日目に突然出ます。
いちばん明るいのは、夜でした。
【写真について】本記事の写真112枚は、ウィキメディア・コモンズおよび各機関の公開画像(パブリックドメイン/クリエイティブ・コモンズ)を使用しています。写真の作者・ライセンス・掲載元は、写真クレジット一覧でご確認いただけます。
【主な出典】NASA Astronomy Picture of the Day「A Phoenix Aurora over Iceland」/Explore Fairbanks(フェアバンクス観光局)/Chena Hot Springs Resort 公式サイト/University of Alaska Museum of the North 公式サイト/U.S. Customs and Border Protection(ESTA)/Weather Atlas(フェアバンクスの気候データ)。
写真の出典
- Northern lights Alaska aurora borealis night landscape.jpg / Primmer, Rich and Rose, U.S. Fish and Wildlife Ser / Public domain / Wikimedia Commons
- Narita International Airport, Terminal 1, Departure Hall.JPG / Terence Ong / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
- Narita International Airport, Terminal 1.JPG / Terence Ong / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
- Narita International Airport, Terminal 1 2.JPG / Terence Ong / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
- Narita International Airport, Terminal 1, Restricted Area 11.JPG / Terence Ong / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
- Narita Airport, Terminal 1 (3040989992).jpg / Kentaro Iemoto from Tokyo, Japan / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Sea-Tac Airport Terminals A and B Aerial (53275357898).jpg / formulanone / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Narita International Airport, Terminal 1 (3788489249).jpg / Kentaro Iemoto from Tokyo, Japan / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Narita International Airport Terminal 1 (7622250472).jpg / Peter Rood / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Narita International Airport Terminal 1 Observation Deck (13002335664).jpg / William J Sisti from Morristown, NJ, USA / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Sizzling Plate Dinner Set with Soup and Bun.JPG / Ceeseven / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
- Cup of coffee on café table.jpg / Ssu / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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- SEA departure cterminal.jpg / AirportTerminalGuy / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
- An aurora borealis from a HC-130J Combat King II aircraft window enroute from Nome to Joint Base Elmendorf-Richardson, Alaska, Nov. 30, 2023.jpg / The National Guard / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
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- Footprints in the fresh snow at the Fairbanks airport.jpg / NASA / Jim Yungel / Public domain / Wikimedia Commons
- Fairbanks Airport at twilight.jpg / Young Juan / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
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- Ham and pineapple pizza, The Mill Pizza.jpg / Michael Rivera / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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- Headlights in Fairbanks.jpg / D. Sikes / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- PancakesWithSyrup.jpg / Renee Comet (photographer) / Public domain / Wikimedia Commons
- Pancakes with Walnuts.png / Anna31415 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
- English breakfast – bacon, egg, sausage, beans, mushrooms and tomatoes.jpg / Acabashi / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
- Muffin, Einsteins Coffee Murdoch Square, 2025 (01).jpg / Bahnfrend / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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- Alaska Pipeline, 2016 (216).jpg / Leonid Berger / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
- American-style pancakes at Wanda’s in March 2025.jpg / JIP / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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- Giantsanta.JPG / Beeblebrox / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
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- Crossing The Frozen Lake (250570193).jpeg / Markus Trienke / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
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- A caribou trots along the road to the Toklat seasonal cabins in Denali National Park and Preserve on June 29, 2019. (49496d94-c7e9-4a24-b1d7-e6600dabd223).JPG / NPS Photo / Emily Mesner / Public domain / Wikimedia Commons
- Moose In U.S. Fish and Wildlife Parking Lot – DPLA – c6cec933e6d9ecdefc66f360030f1e89.jpg / Department of the Interior. U.S. Fish and Wildlife / Public domain / Wikimedia Commons
- The dog yard at Denali, in winter (8ae0776d-1dd8-b71c-0788-34f0d4da0339).jpg / NPS Photo / Public domain / Wikimedia Commons
- BLM Winter Bucket List -11- White Mountains National Recreation Area, Alaska, for Trails Surrounded by Rugged Beauty and Northern Lightshow (15983523538).jpg / mypubliclands / Public domain / Wikimedia Commons
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- Liat Portal for Foodie Disorder – Grilled salmon with sweet potatoes.jpg / HaJunkiyada / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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- BLM Winter Bucket List -11- White Mountains National Recreation Area, Alaska, for Trails Surrounded by Rugged Beauty and Northern Lightshow (15985179447).jpg / mypubliclands / Public domain / Wikimedia Commons
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- Alaska Sunday Drive.jpg / Katgeuea / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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- Steak Dinner 1 (Unsplash).jpg / Alex Munsell alexmunsell / CC0 / Wikimedia Commons
- Engineer Lake public use cabin in the snow (51011290910).jpg / USFWSAlaska / Public domain / Wikimedia Commons
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- Dolly Varden Public Use Cabin in the snow (51079691728).jpg / USFWSAlaska / Public domain / Wikimedia Commons
- Dolly Varden Public Use Cabin in the snow (51079687538).jpg / USFWSAlaska / Public domain / Wikimedia Commons
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- The Aurora Borealis or Northern Lights shine above Bear Lake in Alaska 050910-F-MS415-023.jpg / SSGT JOSHUA STRANG / Public domain / Wikimedia Commons
- The Aurora Borealis or Northern Lights shine above Bear Lake in Alaska 050910-F-MS415-009.jpg / SSGT JOSHUA STRANG / Public domain / Wikimedia Commons
- The Aurora Borealis or Northern Lights shines above Bear Lake at Eielson Air Force Base, Alaska, on 18 Jan 050118-F-MS415-001.jpg / SRA JOSHUA STRANG, USAF / Public domain / Wikimedia Commons
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- Auroras and Friends – Flickr – brady193.jpg / Brady Riemenschneider / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
- Folded Aurora over Mountain.jpg / Eric Kilby / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Aurora in Norway1.jpg / Eric Kilby / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
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- Curry Laksa – Laksa King (2597729514).jpg / Alpha from Melbourne, Australia / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
- Old Town Lemak Laska – Old Town Kopitiam Mamak AUD9.90 (4998041162).jpg / Alpha from Melbourne, Australia / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
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