コンコエ

世界の料理図鑑 ギニア

コンコエ

konkoé コンコエ Konkoe

燻製にしてから煮ます。生では使いません。

真っ黒に燻された魚を、トマトとパーム油のソースで煮込む。

ギニアの食卓でいちばん存在感のある一皿です。

そしてこの魚は、しばしば「淡水のナマズ」と説明されますが、海の魚です。

現地名
konkoé(スス語)
読み
コンコエ
魚の正体
Carlarius 属3種。ハマギギ科(Ariidae)
生息域
海産。淡水のナマズではない
分類
燻製魚の煮込み
地域
ギニア(コナクリ)、沿岸部
担い手
スス、その他沿岸の民族
加工
燻製にしてから流通する
価格
1匹3.5〜5万GNF(2022年・実測)
大サイズ
20万GNF(2024年・実測)

01一口目に来るもの

まず燻製の香りが来ます。

生の魚を煮た料理とは、出発点が違う。

煙の香りが身の芯まで入っていて、それがソースのトマトとパーム油に溶け出しています。

身は締まっていて、生の魚のようにほろりとはほどけません。

噛むと繊維に沿って裂ける。

日本の食べ物でいえば、鮭とばを煮込んだような方向、と言えば近いかもしれません。

コンコエ
コンコエのソース。黒いのは燻製の色

02淡水のナマズではありません

konkoé はスス語の魚名で、FishBase では Carlarius 属の3種に対応します。

これはハマギギ科(Ariidae)で、海に棲む魚です。

ところがフランス語で silure(=淡水のナマズ)と言い換えられることが多く、ギニア国内の新聞でもこの取り違えが起きています。

一方でコナクリの魚商本人は、取材に対して「le mâchoiron」と註記しています。

mâchoiron はまさにハマギギ科を指すフランス語です。

つまり、売っている人は正しく呼んでいて、書く側が別の魚の名前に置き換えてしまっている。

コンコエ
コンコエのソース。別の盛り付け
コンコエ
魚を燻す作業

燻製が前提です

コンコエは、燻製の状態で市場に出ます。

生の魚を買ってきて作る料理ではありません。

燻製にした時点で保存が効くようになり、内陸まで運ばれます。

コンコエ
市場に並ぶ燻製魚
コンコエ
燻製魚の山
コンコエ
器に入れた燻製魚
コンコエ

第 二 章

値 段 が わ か る 魚

20kgの箱で40万GNF

03この魚には実測の価格があります

今回調べた12品のなかで、コンコエは価格資料が最も良質でした。

ギニアの報道(2022年)によれば、20kgの箱が40万ギニアフラン、1匹あたり3万5千から5万ギニアフラン。

別の報道(2024年)では、大が20万、中が10万、小の山が2万5千から5万ギニアフラン。

いずれも記者が市場で確認した数字です。

2年のあいだに値上がりしていることも読み取れます。

ギニアフランは1,000 GNF ≒ 18.2円(2026年8月31日取得)です。

コンコエ
ソースを添えた燻製魚
コンコエ
魚を売る店先

20kgの箱が40万ギニアフラン。1匹あたり3万5千から5万ギニアフラン。ギニアの報道(2022年)より

04種類を並べてみる

ギニアで使われる燻製魚と、その周辺を整理します。

名前正体備考
コンコエCarlarius 属3種ハマギギ科。海産
silure(誤用)淡水のナマズ別の魚。取り違え
mâchoironハマギギ科魚商が使う正しい呼称
ボンガニシン科と推定種の同定ができませんでした
燻製魚一般複数種西アフリカ沿岸で広く流通
塩蔵魚複数種燻製とは別系統の保存法
コンコエ
燻製魚の売り子
コンコエ
コナクリの市場(歴史写真)
コンコエ
かつての西アフリカの市場

05失敗する五つの場所

一、生の魚で作る。燻製の香りがないので、別の料理になります。

二、燻製魚を戻さずに煮る。塩辛く、固いまま仕上がります。

三、煮込みすぎる。身が崩れて繊維だけが残ります。

四、パーム油を精製油に替える。色と香りが出ません。

五、燻製の焦げを落とさない。苦みがソース全体に回ります。

コンコエ
伝統的な調理道具
コンコエ
調理のための材料

06いくらで食べられるか

コンコエは、今回の12品のなかで唯一、報道による実測価格が二つの年で取れた品目です。

一皿の値段ではなく、魚そのものの値段です。

コンコエの価格(現地報道による実測値)価格
20kgの箱(2022年)400,000 GNF(約7,280円)
1匹(2022年)35,000〜50,000 GNF(約637〜910円)
大(2024年)200,000 GNF(約3,640円)
中(2024年)100,000 GNF(約1,820円)
小の山(2024年)25,000〜50,000 GNF(約455〜910円)
為替1,000 GNF ≒ 18.2円(2026年8月31日取得)

07どこで食べるか

ギニアは首都コナクリを含む全土が日本国外務省の危険情報レベル2です。

マリ国境がレベル3。

レベル2は「不要不急の渡航は止めてください」で、渡航中止勧告ではありません。

コナクリのマディナ市場は西アフリカでも有数の規模で、燻製魚の売り場がまとまってあります。

日本での再現は、この魚が手に入らないため難しい。

鮭とばや燻製の白身魚で「燻製魚を煮る」という構造を再現することはできますが、同じ魚ではありません。

コンコエ
市場に並ぶオクラ。コンコエのソースにも使われる

08豆知識

ハマギギ科(Ariidae)の魚には、口内保育をする種が多く知られています。

オスが受精卵を口の中に入れて守り、そのあいだ餌を食べません。

食用魚として大量に獲られている一方で、繁殖行動としては手厚い。

ただしコンコエと呼ばれる Carlarius 属3種すべてがそうかどうかは、本調査では確認できませんでした。

魚の同定について:konkoé はスス語の魚名で、FishBase では Carlarius 属3種(ハマギギ科・Ariidae)に対応します。海産です。フランス語で silure(淡水のナマズ)と言い換えられることが多く、ギニア国内の報道でもこの取り違えが見られますが、誤りです。コナクリの魚商自身は「le mâchoiron」(=ハマギギ科)と呼んでいます。写真について:コンコエのソースそのものが写っているのは冒頭の数枚です。他の燻製魚の写真はガーナ、ナイジェリアなどで撮影されたもので、コンコエではありません。市場の写真には歴史写真(20世紀前半)が含まれます。味と食感について:取材班は実食していません。味の記述はすべて推定です。分量について:分量つきの一次レシピは確認できませんでした。価格について:表の数値はギニアの報道(2022年・2024年)による市場実測値で、一皿の価格ではありません。ボンガという別の魚については、種の同定ができませんでした。渡航について:ギニアはコナクリを含む全土がレベル2、マリ国境がレベル3です(2025年7月1日発出、2026年8月31日確認)。

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写真はすべて Wikimedia Commons より。各画像の作者とライセンスは以下のとおりです。

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