
オッソブーコ
Ossobuco alla milanese/oss busMilanese braised veal shanks
骨付きの子牛すね肉を輪切りにして煮込む、ミラノの料理。中央の骨に残る骨髄もすくって食べ、レモンの皮やパセリを刻んだグレモラータで香りを添える。サフランのリゾットと一皿に出す組み合わせが知られる。
骨の穴まで、ごちそうになる
子牛のすね肉を骨ごと輪切りに。中心の骨髄が、名前にも味にもつながる。
オッソブーコは、骨付きの子牛のすね肉を煮込むミラノの料理だ。肉の中央に丸い骨があり、その穴に骨髄が入っている。ロンバルディア州の料理紹介は、ミラノの言葉「オッス・ブス」を「穴のあいた骨」と説明する。
骨は食べ終わって残る部分というだけではない。州の紹介では、加熱した骨髄が煮汁の味と質感に関わり、残った骨髄も専用の小さな道具ですくって食べる。肉とソース、骨の中身まで一皿の楽しみになる。

濃い煮汁に、レモンの皮とパセリ
やわらかい肉に重なるグレモラータの香り。刻んだ薬味が仕上げを変える。
弱火で煮込むと肉は骨から外れやすくなり、煮汁は肉や野菜の味を受け止める。仕上げのグレモラータは、パセリ、にんにく、レモンの皮などを細かく刻んだもの。レモンは果汁だけでなく、皮の香りを使うところが特徴だ。
ロンバルディア州の配合にはセージとローズマリーも入る。La Cucina Italianaのレシピではパセリ、にんにく、レモンの皮を最後に加える。グレモラータの材料も作り方によって少しずつ違い、すべてが一つの配合に固定されているわけではない。


丸い骨の中まで、ごちそうになる。やわらかく煮た肉、骨髄、レモンの皮の香り。黄色いリゾットが煮汁を受け止める。
輪切りの肉を焼き、ふたをして煮る
肉の縁を切り、焼き色をつけてから弱火で煮込む。骨を残した切り身が主役。
La Cucina Italianaの2026年のレシピは、切り身の厚さを約3〜4cmと紹介する。肉の外周に切れ目を入れ、薄く小麦粉をまぶして両面を焼く。玉ねぎ、にんじん、セロリをバターで炒め、白ワインやブロードを合わせてふたをして煮る。
同レシピの煮込み時間は約1時間半。一方、2025年の玉ねぎを使う別レシピは、弱火で途中に裏返しながら合計約1時間煮る。切り身や配合による差があるため、時間はそれぞれの作り方の例として見たい。州の紹介も、小麦粉をまぶす工程を唯一の必須条件とはしていない。


アルトゥージも、ミラノの得意料理と紹介
料理書の第358番「オッソブーコ」。トマトもレモンの皮も登場する。
フォルリンポーポリ市が公開するアルトゥージの料理書のデジタル版には、第358番「Osso buco」がある。書き出しは、ロンバルディアの名物だからミラノの人に任せたい、からかわれるのが心配なので控えめに説明する、という少し気後れした調子だ。
その作り方は、玉ねぎ、セロリ、にんじんとバターで肉を調理し、小麦粉を練ったバターで煮汁をまとめる。水とトマトの汁または濃縮品で煮て、最後にレモンの皮とパセリで香りをつける。昔の料理書の中にも、トマトを使う型が見える。
同市の書籍紹介によると、『料理の科学と美味しく食べる技法』の初版は1891年。その後も増補を重ねた本なので、現在のデジタル版の番号や内容をそのまま初版の掲載状況と同一視しない。料理の発明年や、最初に作った人物はここからは決められない。

現在の公開デジタル版「Osso buco」の番号
その後の増補で内容と番号は変わる
黄色いリゾット、白いピュレ、ポレンタ
ミラノの組み合わせはサフランのリゾット。付け合わせにも違いがある。
サフランで黄色くしたリゾット・アッラ・ミラネーゼは、オッソブーコのよく知られた組み合わせだ。表紙の皿では、黄色い米に骨付きの肉と煮汁が重なる。米と肉を一緒に出す、一皿でまとまる食べ方になる。
州の紹介にはポレンタとの組み合わせもあり、肉料理として出す場合の付け合わせにはグリーンピース、さやいんげん、じゃがいものピュレも挙がる。写真の白いピュレやポレンタは、同じ骨付きの肉を違う形で受け止める例だ。


トマトを入れる型と、入れない型
同じ料理名でも煮汁の色や野菜が変わる。フィレンツェ風には赤ワインも。
La Cucina Italianaの2026年のレシピには、少量のトマトのパッサータが入る。対して、同誌の2025年の玉ねぎを使うレシピと、ロンバルディア州の掲載レシピにはトマトがない。トマトの有無だけで、ミラノ風かどうかを単純に決めることはできない。
同誌が紹介するフィレンツェ風は、皮をむいたトマト、赤ワイン、セロリ、にんじん、玉ねぎを使う。写真の赤い煮汁や野菜たっぷりの皿は、オッソブーコの仕上がりの幅を示す例で、撮影地をフィレンツェと断定するものではない。料理名とともに、肉の部位、煮汁、仕上げの薬味を見ると違いが分かる。

基本情報
- 国・地域
- イタリア北部、ロンバルディア州ミラノ
- 現地名
- Ossobuco alla milanese
- 主な材料
- 骨付き子牛すね肉、バター、白ワイン、ブロードなど
- 仕上げ
- レモンの皮、パセリ、にんにくなどのグレモラータ
- 付け合わせ
- サフランのリゾット、ポレンタ、じゃがいものピュレなど
- 違い
- トマトの有無、野菜や薬味の配合
- 由来
- ミラノの郷土料理。発明年はここでは確定しない
出典
- Regione Lombardia「Ossobuco alla milanese」(名前、骨髄をすくう道具、グレモラータ、材料、付け合わせと小麦粉の工程の幅)
- La Cucina Italiana「Ossobuco alla milanese」(2026年6月3日の掲載レシピ。切り身の厚さ、約1時間半の煮込み、少量のトマトと仕上げ)
- 同「Come fare alla perfezione l’ossobuco alla milanese」(2025年2月18日、玉ねぎを使いトマトを入れない別の作り方、薬味)
- フォルリンポーポリ市/Pellegrino Artusi「358. OSSO BUCO」(公開デジタル版の本文。ミラノの料理との紹介、トマトとレモンの皮を使う工程)
- 同「Edizioni」(料理書の初版1891年、その後の増補と版によるレシピ数の変化)
- La Cucina Italiana「Come si cucina l’ossobuco. Non solo alla milanese」(2025年11月26日、トマトと赤ワインを使うフィレンツェ風などの比較)
写真(10枚)
- 1. サフランのリゾットに添えたオッソブーコ。骨付きの肉に刻んだハーブが散る / pier / CC BY-SA 4.0 / 原典
- 2. リゾット・アッラ・ミラネーゼを添えたオッソブーコ / Micaela & Massimo from Vaprio d'Adda (MI), Italy / CC BY 2.0 / 原典
- 3. 煮込んだオッソブーコの骨と骨髄 / Xfigpower / CC BY-SA 3.0 / 原典
- 4. レモンの皮、にんにく、パセリを刻んだグレモラータ / Popo le Chien / CC0 / 原典
- 5. 輪切りにした子牛のすね肉。中心に骨髄の入った骨がある / Mogens Engelund / CC BY-SA 3.0 / 原典
- 6. 輪切りの骨付き肉に香味野菜をのせた、調理途中のオッソブーコ / Monica Arellano-Ongpin / CC BY 2.0 / 原典
- 7. 鍋で野菜と一緒に煮込むオッソブーコ / Mogens Engelund / CC BY-SA 3.0 / 原典
- 8. マッシュポテトを添えたオッソブーコ / juantiagues / CC BY-SA 2.0 / 原典
- 9. グレモラータをのせ、ポレンタを添えたオッソブーコ / jules / CC BY 2.0 / 原典
- 10. にんじんとセロリを加えたトマト入りのオッソブーコ / Daderot / CC0 / 原典
実写10枚の原典・作者・CC利用条件を確認。料理の盛り付け、調理中の鍋、肉の部位、薬味の例で、ローマの紹介店の写真ではありません。掲載用に縮小・WebP圧縮し、表示時に自然な明るさを整えています。

