タイ・バンコク ―― 三大寺院をめぐる
暁の寺と、涅槃の寺。
バンコク寺院めぐり完全ガイド
全長46mの黄金の寝釈迦、川面に立つ陶片の塔、エメラルド仏の王宮。屋台のパッタイからマンゴーもち米まで食べながら、朝から夜まで歩きます。
い ま こ こ
バンコクの寺は「静かに拝む場所」ではありません。金色がぎらぎら光り、色ガラスが跳ね返り、線香の煙と観光客の歓声が混ざる。どこを向いても情報量が多すぎて、最初は目が疲れます。それでいい。ここはそういう街です。
この記事は、成田を出るところから、夜のワットアルンをライトアップで見上げるところまで、ぜんぶ順番に連れて行きます。
- 行き先
- ワット・ポー(涅槃寺)/ワット・アルン(暁の寺)/王宮・ワット・プラケオ(エメラルド寺院)
- ビザ
- 日本人は60日以内の観光は査証免除(2026年8月時点)。パスポート残存6か月
- 飛行時間
- 東京から直行 約6〜7時間。時差はマイナス2時間(日本の12時=現地10時)
- 総予算
- 1人 8〜15万円/3泊4日。航空券が5〜10万円、現地は驚くほど安い
- 寺の予算
- ワットポー300B・ワットアルン200B・王宮500B(合計1,000B=約4,500円)
- 服装
- 肩と膝を隠すのが必須。タンクトップ・短パン・ミニスカートは入場拒否。サンダルは可
- ベスト時期
- 11〜2月の乾季(涼しい)。3〜5月は酷暑、6〜10月は雨季でスコール
第 一 章
スワンナプーム着。
ガラスの空港から街へ
入国20〜40分/SIMは到着階で数百円〜/市内へはエアポートレールリンク45B(約200円)
い ま こ こ
飛行機を降りて最初に驚くのは、空港の天井の高さです。スワンナプーム国際空港は白い鉄骨とガラスの巨大な筒。歩く距離も長く、入国審査まで10分ほど歩きます。



市内へはエアポートレールリンク(ARL)が最安・最速。地下1階から乗って終点パヤタイまで約27分・45バーツ(約200円)。渋滞のバンコクでタクシーに乗るより確実です。


入国したら、まず空港で一杯。到着階のフードコートでタイティー(チャーイェン)50〜70B(約230〜320円)。オレンジ色の甘い紅茶にコンデンスミルクを重ねたもので、一口目は驚くほど甘く、氷が溶けるにつれてちょうどよくなる。長時間フライトで乾いた体に、この甘さが効きます。
腹が減っているならカオマンガイ(60〜80B/約270〜360円)。鶏の茹で汁で炊いた米に、しっとりした蒸し鶏。米一粒ずつに鶏の脂がまとわりつき、生姜と唐辛子の効いたタレをかけると一気にタイの味になります。空港のフードコートでも侮れない味です。


第 二 章
市内の足。
高架鉄道・船・トゥクトゥク
BTS 17〜62B/チャオプラヤー・エクスプレスボート 16〜32B/トゥクトゥクは交渉制(近距離100B前後)
い ま こ こ
バンコクは慢性的に渋滞しています。だから移動は高架鉄道(BTS)か船が正解。特に三大寺院はすべて川沿いにあるので、船が観光そのものになります。


寺院めぐりの主役はチャオプラヤー・エクスプレスボート。オレンジ旗の便が最も本数が多く、一律16バーツ(約70円)。サートーン船着場から乗って、ワットポーは「ター・ティアン」で降ります。





移動の合間に買うもの。BTSの駅やコンビニで水(10〜15B/約45〜70円)を必ず確保してください。バンコクは歩くだけで汗が止まりません。
船着場の屋台には切ったフルーツの袋詰め(20〜40B/約90〜180円)が並びます。青いマンゴーやパイナップル、グァバに、唐辛子と砂糖と塩を混ぜた粉が付いてくる。これをつけて食べるのがタイ式で、甘さと辛さと塩気が一度に来て、汗をかいた体が生き返ります。


第 三 章
ワット・ポー。
全長46mの、寝ている仏
入場300B・8:00〜18:30(涅槃堂は16:00頃まで)・ター・ティアン船着場から徒歩5分
い ま こ こ
堂に入った瞬間、視界が金色で埋まります。全長46m、高さ15m。大きすぎて全体が一度に目に入らない。頭のほうから足のほうへ、壁沿いを歩きながら少しずつ見ていくしかありません。
この涅槃仏は、釈迦が入滅する場面を表したもの。頬に手を当てた穏やかな顔で、こちらを見ています。1832年、ラーマ3世の時代に造られました。


最大の見どころは足の裏です。長さ5mの足裏に、貝殻の螺鈿(らでん)で108の吉祥図が描かれています。象、花、宮殿、山——仏の悟りを表す図像が、びっしり。


堂の裏手には108個の鉢が並んでいます。20バーツで硬貨を買い、一つずつ鉢に落としていく——チャリン、チャリンという音が延々続くのが、この寺の音の記憶になります。






そしてワットポーはタイ古式マッサージの総本山でもあります。境内にマッサージ学校があり、施術も受けられます(1時間 約480B)。歩き疲れた足をここで直してから次へ向かうのが、賢いルートです。


第 四 章
昼めし。
屋台の椅子に座る勇気
パッタイ 50〜80B(約230〜370円)/トムヤムクン 80〜250B(約360〜1,130円)/水500ml 10B(約45円)
い ま こ こ
寺を出たら屋台です。バンコクの屋台は「安いから食べる」のではなく「そこが一番うまいから食べる」場所。プラスチックの椅子に座り、指をさすだけで注文できます。
まずはパッタイ(50〜80B/約230〜370円)。米麺をタマリンドと魚醤で炒め、卵とエビともやしを絡めた国民食。一口目に来るのは甘酸っぱさ——タマリンドの酸と椰子砂糖の甘みが先に立ち、魚醤の塩気が追いかけてくる。麺はもちもちで、干しエビの香ばしさが混じります。
そのまま食べてはいけません。テーブルの四種の調味料(砂糖・唐辛子粉・ナンプラー・酢漬け唐辛子)で自分好みに整えるのが正式作法。まずライムを搾り、砕いたピーナッツを散らし、生のもやしとニラを麺に絡めて食感を足す。ここまでやって完成です。



スープはトムヤムクン(屋台80B/約360円、レストラン150〜250B/約680〜1,130円)。エビの出汁にレモングラス、コブミカンの葉、ガランガル(南姜)。まず鼻に酸味とハーブの香りが抜け、次に辛さが喉に来て、最後にエビの甘い出汁が残る。ココナッツミルク入り(ナムコン)は白濁してまろやか、入らない澄んだタイプ(ナムサイ)は酸味が際立ちます。
辛さは「ペット・ノイ(少し辛く)」と言えば加減してくれます。何も言わないと、日本人には本気で辛い。


ご飯ものならゲーン・キアオ・ワーン(グリーンカレー)100B前後(約450円)。青唐辛子とココナッツミルクの緑のカレーで、甘い→辛い→また甘いの順に来る。ご飯にかけて食べます。
ソムタム(60〜80B/約270〜360円)は青パパイヤのサラダ。臼で叩いて作る音が屋台の合図で、しゃきしゃきした食感に、干しエビと発酵魚醤の強烈な匂い、そして本気の辛さ。辛いのが苦手なら「マイ・ペット」と伝えてください。





※ 2026年8月時点の目安(1バーツ=約4.5円換算)。屋台は現金のみ。氷入りの飲みものは今のバンコクではほぼ問題ありませんが、心配なら瓶や缶を。辛さの指定は「ペット・ノイ(少し辛く)」「マイ・ペット(辛くしないで)」。
第 五 章
ワット・アルン。
陶片でできた、暁の塔
入場200B(現金のみ)・8:00〜18:00・ター・ティアンから渡し船5B・所要3分
い ま こ こ
ワットポーの船着場から、対岸へ渡し船が出ています。片道5バーツ(約23円)、所要3分。この3分がバンコクで一番コスパのいい船旅です。近づくにつれ、塔の表面がざらざらしていることに気づきます。
高さ約70mの大仏塔(プラーン)。その表面を覆っているのは、すべて陶器の破片です。19世紀、中国からの貿易船が重しとして積んできた陶磁器を砕き、漆喰に埋め込んで花や葉の形にしました。ゴミから生まれた世界的名所です。


塔は途中まで登れます。階段は驚くほど急——ほぼ梯子です。手すりを掴んで登った先のテラスから、チャオプラヤー川とバンコクの街が一望できます。降りるほうが怖いので、後ろ向きに降りる人も多い。



「暁の寺」という名前ですが、実際に美しいのは夕方から夜です。西岸に立つので、対岸から見ると夕日を背負ってシルエットになる。日没後はライトアップされ、川面に金色の帯が伸びます。



第 六 章
王宮とエメラルド寺院。
タイでいちばん豪華な場所
入場500B・8:30〜15:30(入場は15:00頃まで)・服装チェックが最も厳しい
い ま こ こ
1782年、ラーマ1世が築いた王宮。敷地内のワット・プラケオ(エメラルド寺院)は、タイで最も格式が高い寺です。ここだけは服装チェックが本気で、膝が出ていると入口で止められます(有料で布を貸してくれます)。







第 七 章
夜。甘いもので
一日を閉じる
暑さで消耗した体が最後に欲しがるのは、冷たくて甘いものです。タイの答えはカオニャオ・マムアン——ココナッツミルクで炊いたもち米に、完熟マンゴーを添えたもの。屋台で60〜100バーツ。
もち米は温かく、マンゴーは冷たい。塩気のあるココナッツソースをかけて食べると、甘さが立ちます。一日歩いた後の体に、これ以上ないほど効きます。



※ 2026年8月時点の目安(1バーツ=約4.5円換算)。入場料・営業時間は変更されることがあるため、公式サイトで最新をご確認ください。寺院内は肩と膝を隠す服装が必須、王宮は特に厳格です。ワットアルンの入場は現金のみ。
バンコクの寺は、静かに拝むより
賑やかに歩くほうが似合っている。
※ 2026年8月時点の目安(1バーツ=約4.5円換算)。入場料・営業時間は変更されることがあるため、公式サイトで最新をご確認ください。寺院内は肩と膝を隠す服装が必須、王宮は特に厳格です。ワットアルンの入場は現金のみ。


写真:Wikimedia Commons(ライセンスは出典台帳に全件記載)/料金・時間はタイ国政府観光庁および各寺院公表値をもとにした2026年8月時点の目安


