世界の料理図鑑 ギニア
フティ
fouti / lafidi フティ Fouti
フティ、ラフィディ、マラクレングニ。三つとも同じものです。
米に、ネレの実を発酵させた調味料と、パーム油を合わせて炊く。
ギニアの家庭で日常的に作られる一皿です。
ただしこの料理には、民族ごとに三つの名前があります。
- 現地名
- fouti(フティ)/lafidi(ラフィディ)/marakhoulèngni(マラクレングニ)
- 言語
- マニンカ/スス/プーラル
- 読み
- フティ
- 分類
- 米料理
- 地域
- ギニア全土
- 調味料
- ネレの実の発酵調味料(soumbara/kenda/oddji)
- 調味料の名前
- これも同じものに三つの名前がある
- 油
- 赤パーム油
- 同一性
- 三つの名は同じ料理を指す
- 相場
- 一皿の価格は資料が見つかりませんでした
01一口目に来るもの
オレンジがかった赤い米が皿に盛られ、上にレモンが載っていることがあります。
まず来るのは赤パーム油の香り。
そのあとに、ネレの発酵調味料の匂いが立ち上がります。
これが強い。納豆や味噌に近い方向の、発酵した豆の匂いです。
慣れないと最初は戸惑いますが、日本人には比較的入りやすい種類の匂いだと思われます。
味は塩気と油と発酵の旨味で、米そのものは粘りません。

02三つの名前は、三つの民族の言葉です
fouti(フティ)はマニンカ語系、lafidi(ラフィディ)はスス語系、marakhoulèngni(マラクレングニ)も同じ料理を指します。
どれが正しいという話ではありません。
ギニアは民族構成が複雑で、同じ料理が地域ごとに違う名前を持っている。
面白いのは、調味料のほうも同じ構造になっていることです。
ネレの実の発酵調味料は、soumbara、kenda、oddji という三つの名前を持っています。
料理と調味料が、揃って三重の名前を持っている。


ネレの実の発酵調味料
ネレ(Parkia biglobosa)はマメ科の樹木で、その種子を発酵させたものが西アフリカ全域の基礎調味料になっています。
ナイジェリアではイル、セネガルではネテトゥ、ブルキナではスンバラ。
発酵大豆と同じ原理の、植物性の旨味調味料です。



第 二 章
名 前 の 重 な り
ギニアという国の構造
03「ギニアの国民食はヤッサ」は取り違えです
チェコ語版Wikipediaは、ギニアの国民食としてヤッサ(yassa)を挙げています。
しかしヤッサはセネガルのカザマンス地方、ジョラの人々の料理です。
西アフリカの料理は国境をまたいで存在するので、こういう取り違えが起きやすい。
同じ理由で、この記事では「ギニアの国民食」という言い方をしていません。
三つの名前を持つ料理を、一つの国の代表と呼ぶこと自体が、少し無理をしています。
なお potée guinéenne(ギニア風ポテ)という料理名は、一次資料が皆無でした。


fouti、lafidi、marakhoulèngni は同じ料理の民族別の呼称である。調味料の soumbara/kenda/oddji も同様。ギニアの料理名に関する整理より
04種類を並べてみる
同じものを指す名前を並べます。



05失敗する五つの場所
一、パーム油を精製油に替える。色が出ません。
二、ネレの調味料を省く。この料理の旨味の柱がなくなります。
三、調味料を入れすぎる。匂いが強すぎて食べられなくなります。
四、水が多い。うるち米なので、粥のようになります。
五、炊き上がりに混ぜすぎる。米が潰れます。
※分量つきの一次レシピは確認できませんでした。以上は工程の記述からの推定です。


06いくらで食べられるか
フティ一皿の価格は見つかりませんでした。
以下は原料の価格で、WFP/HDXがコナクリのマディナ市場で2026年7月15日に実測した値です。
07どこで食べるか
ギニアは首都コナクリを含む全土が日本国外務省の危険情報レベル2、マリ国境がレベル3です。
レベル2は「不要不急の渡航は止めてください」で、渡航中止勧告ではありません。
コナクリのマディナ市場周辺と、フータ・ジャロン地方の町の食堂が主な入口になります。
日本での再現は、ネレの発酵調味料が手に入るかどうかで決まります。
アフリカ食材店で「iru」「netetou」「soumbara」の名前で扱われていることがあります。
赤パーム油と合わせれば、方向としては近づきます。

08豆知識
ネレ(Parkia biglobosa)の種子を発酵させる工程は、日本の納豆とよく似ています。
煮た豆を葉や布で包んで数日置き、枯草菌の仲間に発酵させる。
大陸も原料も違うのに、たどり着いた方法がほぼ同じです。
西アフリカを旅した日本人が、この調味料に既視感を覚えるのは、そのためです。
近くの棚から 同じギニアのもう一品
写真はすべて Wikimedia Commons より。各画像の作者とライセンスは以下のとおりです。
- 01/Le plat fouti.jpg / Abdoulrahamane 99MDS Barry / CC BY-SA 4.0
- 02/Fouti 09.jpg / M keita1321 / CC BY-SA 4.0
- 03/Le marakhoulingni.jpg / Fatimafodesylla / CC BY-SA 4.0
- 04/Sauce au feuilles de manioc.jpg / Fatimafodesylla / CC BY-SA 4.0
- 05/Des patates et taro.jpg / Abdoulrahamane 99MDS Barry / CC BY-SA 4.0
- 06/Des feilles de Tiabrouni.jpg / Abdoulrahamane 99MDS Barry / CC BY-SA 4.0
- 07/Maïs grillé au fouta djallon.jpg / Sanoussydiall / CC BY-SA 4.0
- 08/Au marché dès condiments dans le fouta djallon.jpg / Sanoussydiall / CC BY-SA 4.0
- 09/Le dappa au sauce.jpg / Fatimafodesylla / CC0
- 10/Dapa 07.jpg / M keita1321 / CC BY-SA 4.0
- 11/Diguiyangni 06.jpg / M keita1321 / CC BY-SA 4.0
- 12/Malé Couscous 09.jpg / M keita1321 / CC BY-SA 4.0
- 13/La mesure traditionnelle au marché.jpg / Sanoussydiall / CC BY-SA 4.0
- 14/Au marché avocat et condiments.jpg / Sanoussydiall / CC BY-SA 4.0
- 15/Afrique occidentale française – Le marché à Conakry – (photogr. Eugène) Gallois ; (photogr. reprod. par Radiguet et Massiot pour la conférence donnée par) Gallois – btv1b53279885m.jpg / Gallois, Eugène (1856-1916). Auteur de la conférence. Photographe de l’oeuvre reproduite Radiguet et Massiot. Photographe / Public domain

