ベトナム|ホーチミン
Cơm tấm
コムタム
砕け米の皿 ── サイゴンの朝を炭火で焼く
皿の上で、まず目に入るのは米ではない。炭火で焼かれて縁が反り返った豚ロース、その照り、その上に散った青ネギ。でもこの料理の名前は肉ではなく米に付いている。cơm は「ごはん」、tấm は「砕けた」。精米のときに割れて売り物にならなかった米のかけらを炊いた、それがコムタムだ。
かつては港湾労働者や農民の腹を満たす安いごはんだった砕け米が、いまはホーチミン市の朝食の顔になっている。朝6時の路上、赤いプラスチックの椅子、皿の脇に置かれた甘辛いヌクマムの小鉢。スプーンとフォークで食べるベトナムでは珍しい「皿ごはん」を、写真と作り方と来歴で一皿ぶん、まるごと記録する。
写真:焼き豚(sườn)、目玉焼き、chả trứng を載せた市場のコムタム。ホーチミン市タンフー地区の市場食堂、2023年4月(撮影者記載)
標本カード
- 国・都市
- ベトナム/ホーチミン市(サイゴン)
- 分類
- ごはん料理・皿盛り。朝食が本場、夜食の店も多い
- 主な具
- 砕け米、炭火焼き豚(sườn)、bì(豚皮の細切り)、chả trứng(卵入り蒸しミートローフ)、目玉焼き、ネギ油、なます、甘辛ヌクマム
- 味
- 甘・塩・酸・香ばしさ。砂糖と練乳を含んだ漬けダレの甘さを、魚醤の塩気と酢のなますが締める
- 食感
- 砕け米はぱらりと軽い。焼き豚は縁がカリッ、中はしっとり。bìはしゃきしゃき、chảはふわり
- 一口目
- ヌクマムを皿にかけて、肉を一切れ、米と一緒に。最初に来るのは炭の香りと甘さ
- 食べる時間帯
- 朝6〜10時が本番。昼の定食、22時以降の「cơm tấm đêm(夜コムタム)」も
- 値段の目安
- 大衆店 35,000〜75,000ドン(約210〜450円)。老舗の全部のせで 85,000〜150,000ドン(約510〜900円)
- 注文の型
- cơm tấm sườn bì chả(焼き豚・皮・チャーの三点盛り)+ trứng ốp la(目玉焼き)
- 道具
- スプーン(右手)とフォーク(左手)。箸は出てこない

一皿の上に、六つの仕事
上から見ると、この料理がどれだけ「手数の多い安いごはん」かが分かる。
123456- 砕け米cơm tấm割れた米粒だけを炊く。粒が小さいので水を吸いやすく、ふつうの白飯よりぱらっと軽く、タレをよく吸う。
- 炭火焼き豚sườn nướng骨付きロースを薄く叩き、砂糖・蜂蜜・練乳・魚醤・レモングラス・ニンニクに漬け、炭火で焼く。皿の主役。
- 目玉焼きtrứng ốp la追加注文の定番。黄身を崩して米に絡めるのがサイゴン流。
- チャー・チュンchả trứng豚ひき肉にキクラゲと春雨、卵を混ぜて蒸し、表面に卵黄を塗った蒸しミートローフ。断面が黄色い。
- なますđồ chua大根とニンジンの甘酢漬け。脂と甘いタレを切る酸味担当。
- ネギ油ときゅうりmỡ hành刻みネギに熱した豚脂をかけたもの。米の上に一さじ。きゅうりとトマトは口直し。



サイゴンの人が「sườn bì chả(スオン・ビー・チャー)」と唱えるように注文するのは、この三点盛りが基本形だから。写真の皿には bì が載っていないが、それも普通で、焼き豚だけの「cơm sườn」、卵を足した「sườn trứng」、全部のせの「thập cẩm」まで、組み合わせは客が決める。
甘い、香ばしい、そして魚醤
コムタムの味は、皿ではなく小鉢で完成する。
漬けダレの砂糖と練乳の甘さが前に出て、炭の煙の香ばしさが追いかける。そこへ客が自分でかけるヌクマム(魚醤に砂糖・酢・ニンニク・唐辛子を合わせた甘辛ダレ)の塩気と酸味が入って、初めて味が閉じる。
砕け米はぱらぱらで軽く、噛むと粒がほどける。焼き豚は縁が焦げてカリッ、骨の近くはしっとり。bì のしゃきしゃき、chả のふわふわ、なますのこりこりが一皿の中で交代する。
まずヌクマムを皿の米に回しかける。焼き豚を一切れ、米と一緒にスプーンへ。最初に鼻へ来るのは炭の香り、舌に来るのは甘さ、最後に魚醤の余韻。二口目から目玉焼きの黄身を崩す。
現地の食べ方には順番がある。皿が来たら、まず小鉢のヌクマムを米の上に回しかける。付けるのではなく、かける。これがサイゴン式で、砕け米はこのタレを吸うためにある。次にネギ油を米に混ぜ、焼き豚をフォークで押さえてスプーンの縁で切る。ナイフは出てこない。
皿の脇にはたいてい冷たいお茶(trà đá)か、甘い練乳コーヒーが並ぶ。朝の食堂なら、皿を空にするまでに10分もかからない。バイクにまたがったまま持ち帰り箱で買っていく客も多く、蓋を開けると米の上にタレが染みているのがまた良い。




炭火と蒸し器と、割れた米
レシピではなく「どう作られているか」。店の裏側と家庭のやり方をまとめた工程。
店の朝は暗いうちに始まる。前夜から漬け込んだ豚ロースを炭火にのせ、砕け米を大釜で炊き、chả trứng を蒸し器から出す。開店の6時には、皿の上に載るものが全部そろっている。

砕け米を炊く
gạo tấm(砕け米)を洗って短く浸水し、炊くか蒸す。粒が小さいぶん火通りが早く、ぱらりと仕上がる。家庭で普通米を代用するときはパンダンの葉を入れて香りを足す。

豚ロースを漬ける
骨付きロースを薄く叩き、砂糖・蜂蜜・練乳・魚醤・塩・オイスターソース、レモングラスとニンニクとエシャロットの搾り汁に漬ける。老舗では1枚400〜600gの肉を4〜6時間漬ける。

炭火で焼く
強い炭火で両面を焼き、タレの糖分が焦げて縁が反るまで。煙がそのまま味になる。オーブンやフライパンでも作れるが、店の味は炭火のもの。

返して、照らせる
焼きながら残った漬けダレを塗り重ねる。仕上げにカラメル油をひと刷毛すると赤茶の照りが出る。焼き上がりは皿ごとに1枚ずつ。

chả trứng を蒸す
豚ひき肉にキクラゲ、春雨、ニンジン、卵を混ぜて型に入れ、20〜25分蒸す。表面に卵黄を塗ってさらに8〜10分。切ると黄色い面が出る。

bì を和える
下ゆでした豚皮を細く切り、ゆでた豚肩肉の細切りと合わせ、thính(炒り米の粉)とエシャロット油をまぶす。香ばしい米粉の匂いが bì の正体。

ネギ油・なます・ヌクマム
刻みネギに熱した豚脂をかけてネギ油に。大根とニンジンは酢2:砂糖1に2時間。ヌクマムは魚醤・砂糖・水・酢にニンニクと唐辛子。この小鉢が皿の「魂」。

皿に盛る
米を茶碗で型取りして皿に返し、焼き豚、bì、chả、卵を放射状に置く。なますときゅうり、トマトを添え、ネギ油を一さじ。皿とスプーン・フォークで出す。



売り物にならなかった米が、街の顔になるまで
砕け米・港・フォーク。コムタムの来歴は、サイゴンという都市の来歴とほぼ重なる。
tấm とは精米で割れた米のこと。かつては規格外として安く扱われ、農家が自家用にしたり、家畜に回したりした。胚芽の部分を多く含むので「甘くて栄養がある」とも言われるが、要するに貧しい人の米だった。
20世紀初頭、メコンデルタから流れ込んだ農民や労働者が、この砕け米を食べる習慣をサイゴンに持ち込んだ。フランス統治期にはチョロンに近い精米所の労働者が、こぼれた砕け米を集めて魚醤で食べたのが始まりだ、という言い伝えが現地紙に載る。1930〜40年代の港の拡張で港湾労働者が増え、安くて腹持ちのいい「労働者の皿」として広まった。
面白いのはその先で、フランス人や西洋の客に出すために、椀と箸ではなく皿に盛り、ナイフとフォーク(のちにスプーンとフォーク)で食べる形に変わった。焼き豚と chả trứng が加わったのもこの頃とされる。ベトナムの他の米料理にない「皿ごはん」という姿は、植民地都市サイゴンの記憶そのものだと言っていい。
- 〜19世紀
砕け米は農家の自家用・家畜用。売り物にはならない米。
- 1900年代
メコンデルタからの流入人口とともに、砕け米を食べる習慣がサイゴンへ。精米所の労働者の食事が起源という伝承。
- 1930〜40年代
港湾の拡張で労働者が増え、安く腹持ちのよい皿として定着。西洋人客向けに皿盛り・フォークの形に。
- 1956年/1975年
Hiền Vương(1956年創業)、Thuận Kiều(1975年創業)など、いまも続く老舗が生まれる。
- 1989年/1995年
Nguyễn Văn Cừ(1989年〜)、Ba Ghiền(1995年〜)が開店。Ba Ghiền は1枚400〜600gの巨大な焼き豚で知られる。
- 2023〜2025年
Ba Ghiền がミシュランガイドのビブグルマンに3年連続で選ばれる。豚肉高騰で2025年に市内の店が2,000〜3,000ドン値上げ。
- 2026年
大衆食堂は35,000ドン前後の皿を維持。夜だけ開く「看板なし」の店に夜勤者と学生が並ぶ。行政再編で旧区名は「phường(坊)」名に変わった。

背景:1923年刊のサイゴン・チョロン市街図(パブリックドメイン)を薄く敷いている


同じ名前、違う皿
店ごと、通りごとに焼き豚の形も皿の色も違う。目視で確認した10皿。
写真は2020〜2024年にホーチミン市内(主にタンフー、タンビン、旧1区・4区)で撮られた皿を集めた。共通するのは砕け米と炭火の焼き豚、そして甘辛ヌクマムの小鉢だけで、あとは全部ちがう。












朝の市場、昼の食堂、真夜中の路上
コムタムは店を選ばなくても食べられる。でも「どの時間に食べるか」で皿が変わる。
市場の食堂、通りの屋台、チェーン店、老舗。市内のどこにでもあるが、いちばん本場らしいのは朝の市場まわりだ。以下は2024〜2026年の現地報道と掲載情報で営業を確認した店。住所は2025年7月の行政再編で「区」が廃止されたため、旧区名を併記している。営業時間と値段は取材時点のもので、来店前に店頭・公式情報で最新情報を確認してほしい。
取材ノート|店と通り
Cơm tấm Ba Ghiền老舗・ビブグルマン
- 場所
- 84 Đặng Văn Ngữ(旧フーニュアン区)
- 時間
- 7:00〜20:30
- 値段
- 85,000ドン〜(約510円〜)、全部のせ150,000ドン(約900円)
- メモ
- 1995年創業、2代目。1枚400〜600gの骨付き焼き豚を4〜6時間漬けて炭火で焼く。
- 確認
- 2025年6月 Thanh Niên/ミシュラン2023〜2025掲載
Cơm tấm Nguyễn Văn Cừ1989年〜
- 場所
- 74 Nguyễn Văn Cừ(旧1区)
- 時間
- 7:00〜15:00
- 値段
- 90,000〜180,000ドン(約540〜1,080円)
- メモ
- 中心街の老舗。値段は高めだが皿が大きい。
- 確認
- 2025年8月 掲載情報
Cơm tấm Thuận Kiều1975年〜
- 場所
- 24-26 Tôn Thất Tùng(旧1区)ほか
- 時間
- 店舗により異なる
- 値段
- 要確認
- メモ
- 市内に複数店舗。バックパッカー街に近く旅行者にも入りやすい。
- 確認
- 2022年 Dân Việt(要再確認)
Cơm tấm Phúc Lộc Thọチェーン
- 場所
- 54 Nguyễn Văn Trỗi ほか7店
- 時間
- 6:00〜22:00
- 値段
- 要確認
- メモ
- ロゴ入りの皿で出てくる。早朝から夜まで開いていて使いやすい。
- 確認
- 2026年6月 更新の掲載情報
看板のない夜のコムタムcơm tấm đêm
- 場所
- 178 Hậu Giang(Bình Tây 坊)
- 時間
- 22:00〜2:00
- 値段
- 40,000〜120,000ドン(約240〜720円)
- メモ
- 約38年続く深夜だけの店。夜勤明けの人と学生が行列を作る。
- 確認
- 2025年10月 Dân trí
市場の食堂どこでも
- 場所
- Bàn Cờ、Tân Định、Bình Long などの市場まわり
- 時間
- 6:00〜10:00ごろ
- 値段
- 29,000〜40,000ドン(約170〜240円)
- メモ
- この記事の皿の写真の多くはこうした市場食堂のもの。店名より時間帯で選ぶ。
- 確認
- 2026年5月 Thanh Niên(35,000ドン前後の店が価格維持)
注文のことば
- Cơm tấm sườn bì chảコム・タム・スオン・ビー・チャー焼き豚・皮・チャーの三点盛り
- Cho tôi một dĩa cơm sườnチョー・トイ・モッ・ヤー・コム・スオン焼き豚のせを1皿ください
- Thêm trứng ốp laテム・チュン・オップ・ラー目玉焼きを追加
- Cho xin thêm nước mắmチョー・シン・テム・ヌオック・マムヌクマムをもう少し
- Thêm mỡ hành / đồ chuaテム・モー・ハイン/ドー・チュアネギ油/なますを追加
- Ít cơm / thêm cơmイッ・コム/テム・コムごはん少なめ/多め
- Mang vềマン・ヴェー持ち帰りで
- Tính tiềnティン・ティエンお会計


赤い椅子と、発泡スチロールの箱
コムタムは座って食べる料理であり、持って帰る料理でもある。
市場の屋台では、ガラスケースに焼き豚と chả が並び、客は指さして皿を組み立ててもらう。歩道の低い椅子に座って食べる人、バイクにまたがったまま箱で受け取る人。どちらもサイゴンの朝の景色で、皿の写真より、こういう場面のほうがこの料理をよく説明する。





いくらで、いつ、どこで
1万ドン≒60円で換算(2026年9月4日、XE中値の概算)
値段は2024〜2026年の現地報道・掲載情報による取材時点の目安。2025年3月には豚肉の高騰で市内の店が2,000〜3,000ドン値上げしたと報じられており、来店前に店頭・公式情報で最新価格を確認してほしい。
2025年7月1日、ホーチミン市はビンズオン省・バリアブンタウ省と合併し、「区(quận)」が廃止されて168の坊(phường)・社に再編された。本文の旧区名は目安で、住所検索は通り名と番地で行う。
写真の撮影地は各画像ページの記載(SG=サイゴン、chợ BL=Bình Long 市場、đường NS=Nguyễn Sơn 通り、NNL=Nguyễn Nhữ Lãm 通り、いずれも撮影者の表記)に基づく。2019年以前の写真は現在の店の様子を示すものではない。
参照資料
- Marie Claire Vietnam「Cơm tấm – món ăn vỉa hè biểu trưng cho ẩm thực Sài Gòn」
- Kenh14(2026-07-27)「Vì sao gọi là cơm tấm」
- Thanh Niên(2024-07-01)コムタムとヌクマム・ネギ油
- VnExpress Cooking(2024-03-07)cơm tấm sườn bì chả のレシピ
- VnExpress(2024-10-16)ミシュラン掲載のコムタム店 Ba Ghiền
- Thanh Niên(2025-06-06)Ba Ghiền 3年連続ミシュラン
- Cafebiz(2025-03-14)豚肉高騰とコムタムの値上げ
- Thanh Niên(2026-05-06)35,000ドンの皿を維持する食堂
- Dân trí(2025-10-13)深夜だけ開く「看板なし」のコムタム
- mia.vn(2025-08)Cơm tấm Nguyễn Văn Cừ
- Dân Việt(2022-10)老舗コムタム店の系譜
- ghiensaigon.com(2026-06更新)Cơm tấm Phúc Lộc Thọ
- SGGP(2025)ホーチミン市168坊・社の再編
- Wikipedia (en) Cơm tấm
- XE(2026-09-04)VND/JPY中値(1万ドン≒60円)
写真の出典(掲載順)
- Cơm tấm SG ở chợ BL ng8th4n2023 (dĩa cơm sườn trứng chả) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm SG, sườn cọng nướng, ng23th8n2022 (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm SG ở chợ BL ng8th4n2023 (dĩa cơm sườn trứng chả) (3).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm bì chả.jpg/Vietcuongdao/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả (chả trứng) tại quán cơm bình dân đường NS ng25th9n2022 (miếng chả trứng) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả ở quán Quê hương đường NS, ng28th8n2022 (chén nước chấm).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Dĩa cơm sườn nướng ở khu ẩm thực NNL ng29th7n2023.jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả (chả trứng) tại quán cơm bình dân đường NS ng25th9n2022 (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm SG, sườn cọng nướng, ng23th8n2022 (6).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- pexels-36453297/Nam Nguyen/Pexels License/画像ページ
- Cơm tấm SG lề đường (cơm sườn, miếng sườn nướng mật ong) ng30th7n2022 (4).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Dĩa cánh gà nướng và miếng sườn nướng ở chợ Bình Long ng8th1n2024 (3).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Miếng sườn nướng ở chợ BL ng17th5n2023 (1).jpg/Phương Huy/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Miếng sườn nướng ở chợ BL ng8th4n2023 (4).jpg/Phương Huy/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả (chả trứng) tại quán cơm bình dân đường NS ng25th9n2022 (dĩa cơm với chả trứng) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm SG ở chợ BL ng8th4n2023 (dĩa cơm sườn trứng chả) (5).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Miếng sườn nướng ở chợ BL ng17th5n2023 (4).jpg/Phương Huy/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Món sườn nướng và cánh gà nướng ở chợ Bình Long ng26th3n2024 (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- pexels-31001660/Tuan Vy/Pexels License/画像ページ
- Map of Saigon – Cholon 1923.jpg/不詳(1923年刊)/Public domain/画像ページ
- Saigon – Les Halles Centrales.jpg/不詳(絵はがき)/Public domain/画像ページ
- Broken rice restaurant in Saigon.JPG/Peter Kauffner/CC BY-SA 3.0/画像ページ
- Nội thất quán cơm tấm Cali Quận 4 (1).jpg/Phương Huy/Public domain/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả ở quán Quê hương đường NS, ng28th8n2022 (2).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm Sài Gòn (sườn trứng), ng15th8n2022.jpg/Phương Huy/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Cơm tấm SG, sườn cọng nướng, ng23th8n2022 (3).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- SG th1n2023 (cơm tấm thịt nướng) (2).jpg/Phương Huy/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Cơm tấm SG lề đường (cơm sườn, miếng sườn nướng mật ong) ng30th7n2022 (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Dĩa cơm sườn nướng ở khu ẩm thực NNL ng29th7n2023 (dĩa cơm và miếng sườn) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm sườn Phước Lộc Thọ ở đường Vườn Lài ng11th8n2020 (2).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Dĩa cơm tấm SG ng1th5n2022 (2).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả (chả trứng) tại quán cơm bình dân đường NS ng25th9n2022 (dĩa cơm rườn chả) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Hình ảnh cơm tấm thịt nướng đựng trong hộp xốp.jpg/CamNhung87/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- Cơm tấm SG ở chợ BL ng8th4n2023 (miếng sườn nướng) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Dĩa cơm sườn nướng ở khu ẩm thực NNL ng29th7n2023 (dĩa sườn) (1).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm sườn quán Quê hương ở đường NS ng30th7n2023 (3).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Cơm tấm sườn chả ở quán Quê hương đường NS, ng28th8n2022 (dĩa cơm).jpg/Phương Huy/CC0/画像ページ
- Étale de cơm tấm au marché.jpg/Vietcuongdao/CC BY-SA 4.0/画像ページ
- pexels-6426059/Lan Yao/Pexels License/画像ページ
- pexels-28505223/Luan Nguyen Luca/Pexels License/画像ページ
- Miếng sườn nướng ở chợ BL ng19th5n2023 (2).jpg/Phương Huy/CC BY-SA 4.0/画像ページ
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