
サムギョプサル
삼겹살Thick pork belly grilled at the table and wrapped in leaves
赤身と脂身が層になった豚バラ肉を、卓上で焼いて食べる。肉の味付けよりも、焼き色、切り方、葉野菜や薬味の組み合わせが一口を変える料理だ。
たれに頼る前に、
肉の層を焼く。
サムギョプサルの名は、肉の層に由来する。厚い切り口に赤身と脂が重なって見えるのは、その名をそのまま写したような姿だ。
完成した肉が厨房から運ばれるだけでなく、食卓で焼きながら、切りながら、包みながら食べる。その手順の多さが、会食の料理として親しまれる理由の一つになる。
サムギョプサルは豚バラ肉を使う焼肉。味付けをしていない肉を焼き、塩や薬味で食べる型がよく知られる。牛肉のプルコギのような甘いしょうゆだれを、必ず最初からまとわせる料理ではない。
肉と一緒にきのこ、玉ねぎ、にんにくなどを焼く食卓もある。鉄板の上では肉だけでなく、付け合わせにも火が入り、食べる順番に合わせて取り分けられる。

長い豚バラ肉を焼き台で加熱するところ。 写真の出典

卓上で肉を焼きながら食べるサムギョプサル。 写真の出典
- 豚バラ肉
- 赤身と脂が重なり、焼くと脂が溶ける。
- 焼き台
- 肉を加熱し、表面に焼き色を付ける。
- 葉と薬味
- 肉を包み、一口の濃さや香りを変える。
一枚の肉を、
みんなの食事にする。
韓国観光公社はサムギョプサルを、会社の集まりなどでも好まれる料理として紹介する。大きな肉を焼き、食べやすく切り、皆で取る形は、会話のある食卓と相性がよい。
ソウル市の食文化記事は、1960〜70年代の養豚や部位別の肉の流通、豚肉輸出の変化を背景に、国内の豚バラ肉の消費が広がったことを説明する。現在の焼肉の人気は、肉を焼く古い習慣だけでなく、近代の生産と流通にも関わっている。
地方では焼き方にも個性がある。韓食振興院は務安のわら焼きサムギョプサルに触れ、清州の観光案内ではしょうゆ味の豚バラ肉を紹介している。全国で一つの味に固定された料理ではない。

表面を焼いている途中の豚バラ肉。 写真の出典
厚い肉を切るとき、
薄い肉を広げるとき。
厚切りは、表面に焼き色を付けてから食べやすく切る型がある。薄い肉より内部までの加熱に時間がかかるため、見た目の焼き色だけで食べ始めず、店の案内に沿って火を通したい。
「テペ・サムギョプサル」は、ごく薄く削った豚バラ肉の型。厚切りと同じ部位でも、焼き台で広げたときの形や、加熱の速さが変わる。肉の厚さは盛り付けだけの違いではない。
写真では加熱前の白い脂と、焼いた後のこんがりした表面を見比べられる。赤身と脂の層が、火によってどう変わるかが、この料理の見どころだ。

厚い肉と、きのこや玉ねぎを一緒に焼く。 写真の出典

加熱前の豚バラ肉。切り口に赤身と脂の層が見える。 写真の出典
焼く、切る、包む。
豚バラ肉が食卓の中心に。
しょうゆ味も、
ねぎの和え物も。
清州の食の案内では、しょうゆで味付けした肉や、塩味の肉にねぎの和え物を合わせる食べ方が紹介される。サムギョプサルを注文しても、土地や店によって添え物が違う。
サムジャンなどの合わせみそ、塩とごま油、にんにく、葉野菜。肉の脂に対して何を足すかで、一口の印象が変わる。薬味を全部同じ量で入れる必要はない。
厚切りと薄切りの違いに加え、下味の有無、焼き台、薬味を見れば、店ごとの方向が分かる。肉が同じ部位でも、料理としての幅は広い。

葉野菜や薬味を並べた、サムギョプサルの食卓。 写真の出典
肉の厚さと、
包む一口の関係。
厚い肉は焼いた後に切り分けられ、薄切り肉は広げて焼く。部位が同じでも、最初に焼き台へ置く形が違えば、取り分け方も変わる。焼く道具と切る道具は、食卓で一口の大きさを作るための道具だ。
肉の層は、脂だけでできているのではない。切り口には赤身もあり、焼いた一切れに異なる部分が入る。肉の厚さを選ぶことは、赤身と脂の層をどんな形で食べるかを選ぶことにもなる。
ねぎの和え物やにんにく、合わせみそを使えば、肉だけの味に香りや辛味が加わる。葉で包む一口は、肉、葉、薬味の量をその場で調整できる仕組み。最初からすべてを同じたれで煮込む料理とは、最後の味の決め方が違う。
清州のしょうゆ味の型や、地域のわら焼きなど、同じ豚バラ肉にも土地の方法がある。名前が部位を示している料理だからこそ、部位の先にある下味と火の使い方を見ると、地域の個性をつかみやすい。

こんがり焼いた豚バラ肉。 写真の出典
冷凍の薄い一切れと、
厚い豚バラの塊。
薄切りのネン・サムギョプサルは、薄くした豚バラを焼く型。厚い塊を鉄板へ置いて切り分ける姿と比べると、加熱する時間と焼き面の割合が違う。薄い一切れは表面の面積が大きく、厚い肉は切った後に中の層がよく見える。
どちらも豚バラの料理だが、脂と赤身の層をどう扱うかが変わる。生の肉の写真だけで料理を終わらせず、焼けた表面と切り口を一緒に見ると、火を入れる仕事が分かる。三層という名前は、焼いたときにも肉の構造の手がかりになる。
味を付けずに焼く型と、しょうゆで味付けする清州の型は、薬味の役割も異なる。肉へ先に味が付いているか、食卓で塩やたれを合わせるかを知ると、焼肉の仕上げ方を区別できる。
務安の藁焼きと、
食卓の鉄板。
務安の藁焼きサムギョプサルは、土地の焼き方の一例として韓食振興院が紹介する。豚バラを食べる文化が同じでも、火に何を使うかによって、調理の姿が違う。全国の焼肉を同じガスの鉄板一種類と考えない方が面白い。
食卓の鉄板では、肉と一緒ににんにくやキムチを焼く型もある。肉の脂が落ちる場所と、野菜を置く場所は、ただの盛り付けの違いではない。火の強い位置を使い分け、別々の材料を食べ頃へ合わせる仕事になる。
焼いた肉を葉へ載せ、薬味や飯を合わせる一口は、鉄板とは別の仕上げの場所。肉の部位の名、火の使い方、包む食べ方を分けて知ると、サムギョプサルは豚の一枚だけでなく、食卓で完成する料理として読める。

豚バラを大きめに切り、鉄板で焼くところ。 写真の出典
基本情報
- 国・地域
- 韓国。卓上で焼く会食の料理
- 分類
- 豚バラ肉を卓上の焼き台で焼き、葉野菜や薬味と食べる焼肉
- 主な材料
- 豚バラ肉、塩や薬味、葉野菜、きのこ、玉ねぎ、にんにく
- 味の軸
- 味付けをしない肉の焼き色と脂。塩や薬味、葉で一口の濃さを変える
- 調理
- 食卓で肉を焼き、切り、付け合わせにも火を入れて順に取り分ける
- 食べる場面
- 焼きながら、切りながら、包みながら食べる手順の多い会食料理
- 型・地域差
- 塩や薬味で食べる型のほか、きのこや玉ねぎ、にんにくを一緒に焼く食卓
- 現地名
- 삼겹살(Samgyeopsal)
- 記録・注記
- 名は赤身と脂が層になる肉の切り口に由来する
出典
写真(11枚)
- 1. 焼き上げた厚切り豚バラ肉。脂身と赤身が層を作る。 / jinsoo jang / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 長い豚バラ肉を焼き台で加熱するところ。 / by hellochris / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 卓上で肉を焼きながら食べるサムギョプサル。 / by dstark / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 表面を焼いている途中の豚バラ肉。 / me / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 厚い肉と、きのこや玉ねぎを一緒に焼く。 / ProjectManhattan / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 加熱前の豚バラ肉。切り口に赤身と脂の層が見える。 / idkjm123 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 葉野菜や薬味を並べた、サムギョプサルの食卓。 / 이동원 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 焼いた肉ときのこを、食べやすい大きさに。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 焼いた豚肉を皿に盛り、食卓へ。 / 에그란 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. こんがり焼いた豚バラ肉。 / Kgw1226 / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 豚バラを大きめに切り、鉄板で焼くところ。 / revi / CC BY 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。




