
ソルロンタン
설렁탕Milky ox-bone soup simmered for hours, seasoned at the table
白いスープに牛肉、ねぎ、ときには麺。ソルロンタンの乳白色は牛乳で作るものではない。牛の骨などを煮込んだ汁が、ご飯とキムチの食卓を支える。
白い汁にも、
肉の食べ応えを添える。
辛い鍋が多い韓国料理の中で、ソルロンタンは色も味の組み立ても違う。主役は赤いたれではなく、牛の骨や肉から取る白いスープだ。
何を煮るか、汁をどう仕上げるか、肉をどれだけ盛るか。見た目が穏やかな料理ほど、店の仕事は器の中に隠れている。
ソルロンタンは、牛の骨や肉などを煮込んだスープに、薄切りの肉などを盛って食べる料理。ねぎや麺を入れる店もあり、器の中は汁だけではない。
色は濃い白からやや薄い白まで幅がある。写真の白さだけで、牛乳が入っている、骨が多い、と断定することはできない。料理としての基本と、店ごとの濃さを分けて見たい。

ねぎを添えた、乳白色の牛骨スープ。 写真の出典

麺を入れ、副菜と一緒に出すソルロンタン。 写真の出典
- 乳白色の汁
- 骨などを煮て引き出す白さ。牛乳が必須の料理ではない。
- 薄切り牛肉
- 汁とは別に、肉の食べ応えを作る。
- ねぎと麺
- 香りと食感を加え、ご飯にもつながる。
市場の働き手を、
熱い一杯が迎えた。
韓食振興院のスープ解説は、ソルロンタンを街で親しまれた料理として扱う。王が一度の祭礼で発明した、という有名な話だけで誕生を決めつけず、町の食堂で広がった歴史にも目を向けたい。
ソウルの「文化屋」は1952年に鍾路で始まり、1957年に乙支路へ移った店として紹介される。市場の衣料商などを迎えてきた店の歴史は、スープが働く人の食事だったことを具体的に伝える。
骨や肉を煮る長い時間は、客が注文してから始められるものではない。店が先に仕込んだ熱い汁を、一杯の食事として出す。この仕組みが、町の食堂の役割と重なる。

ご飯とキムチを添えた、牛肉スープの食卓。 写真の出典
ミルクのような白さを、
牛の骨から引き出す。
肉が多い一杯、
汁をじっくり味わう一杯。
ねぎの量、肉の切り方、麺の有無、器の材質。ソルロンタンの写真を並べると、同じ白いスープにも多くの違いがある。土鍋の店も、金属の器で出す店もある。
肉を多く盛る型は、汁だけでなく薄切り肉を食べる楽しみが目立つ。ねぎの香りが強い型では、汁の印象にも変化が出る。肉と汁の割合にも店の個性がある。
調味料を食卓で加える場合は、最初にそのままの汁を少量味わってから調整したい。薬味の量で、同じ汁の香りや濃さの感じ方も変わる。

土鍋で熱く仕上げたソルロンタン。 写真の出典
先農壇の伝承と、
町の大きな釜。
韓国学中央研究院の百科事典は、ソルロンタンの由来について複数の説を紹介する。王が先農壇で農耕の祭礼を行った後、牛の汁を人々へ振る舞ったという伝承や、蒙古の肉を煮る言葉との関係を考える説がある。どれか一つを確定した発明の記録として扱うわけではない。
同じ解説が具体的に伝えるのは、ソウルの店で大きな鉄釜に汁を用意し、ゆで肉を部位ごとに切って並べていた姿だ。注文に合わせ、ご飯や麺、肉へ熱い汁を注いで一杯にした。
汁をかけてご飯を温めるトリョムという方法も紹介される。熱い汁を先に仕込む店の仕事と、一杯を出す仕事が分かれている。
由来の伝承を楽しみつつ、釜、薄切り肉、ご飯の組み合わせを見ると、名前の物語だけでは分からない、町の食堂の料理としての歴史が見えてくる。

牛肉を多く盛ったソルロンタン。 写真の出典
1904年からの店が、
道具を変えながら続く。
ソウル市は、里門ソルロンタンを1904年から専門に出す食堂として紹介する。店の外観とスープの写真は、古い食堂が現在の町の中にある姿を伝える。創業の年代は店の歩みであり、ソルロンタン全体がその年に初めて生まれたという意味ではない。
同市の取材記事には、昔の木の建物や大釜から、現在の建物や調理の道具へ変わった話がある。伝統の食堂は全ての道具を同じまま保存する場所ではない。設備を変えても、一杯の味と具の扱いを受け継ぐことがある。
里門では牛の脾臓を使う特色も紹介される。白い牛の汁は、骨だけの話では終わらない。どの部位を汁へ使い、どの部位を切って出すかという食堂の選択が、一杯の違いを作る。
麺も飯も肉も、
大釜の汁へ合わせる。
町のソルロンタンの食堂では、先に汁を仕込み、肉を切り、ご飯や麺を一杯へ合わせる仕事がある。注文してから牛の骨を長時間煮始める料理ではない。仕込みと、客へ出す最後の作業を分けることで、熱い汁の食事が食堂の料理になる。
ねぎ、塩、こしょうを添える型では、食べる人が汁の味を調節できる。赤い薬味をたっぷり溶くチゲの姿とは違い、白い汁を中心にした仕上げである。大根のキムチを別に合わせれば、汁と飯のやわらかさへ別の歯触りを挟める。
羅州コムタンは、牛肉を生かした澄んだ汁の型として紹介される。白い汁と透明感のある汁を比べると、牛のスープという短い分類の中に、別の材料の使い方があることが分かる。店の道具と具の切り方まで見ると、見た目の似た汁飯も別々に読める。
基本情報
- 国・地域
- 韓国
- 分類
- 牛の骨や肉を煮込んだ白いスープに、薄切り肉などを盛って食べる汁物
- 主な材料
- 牛の骨と肉、薄切り牛肉、ねぎ、店によって麺
- 味の軸
- 赤いたれではなく、骨や肉から引き出す白い汁の穏やかな味
- 調理
- 牛の骨や肉などを煮込んで乳白色の汁を取り、薄切り肉やねぎ、麺を盛る
- 食べる場面
- ご飯とキムチ、副菜を添えた食卓。辛い鍋の多い韓国料理の中で色も味も違う一杯
- 型・地域差
- 汁の白さは濃い白からやや薄い白まで店で幅がある。麺やねぎを入れる店もある
- 現地名
- 설렁탕(Seolleongtang)
- 記録・注記
- 写真の白さだけで牛乳が入っている、骨が多いと断定はできない
出典
- 韓食振興院|ソルロンタンとコムタンの違い
- 韓食振興院|乙支路「文化屋」の歴史
- 韓国観光公社|ソルロンタン専門店
- 韓国学中央研究院|ソルロンタンの由来と食堂
- ソウル市|里門ソルロンタンの店、牛の部位と道具
- 韓国国際交流財団・Koreana|羅州コムタンと市場の食文化
写真(12枚)
- 1. 白いスープから牛肉と麺を持ち上げたソルロンタン。 / 이동원 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. ねぎを添えた、乳白色の牛骨スープ。 / by abex (a flickr user) / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 麺を入れ、副菜と一緒に出すソルロンタン。 / Mike Chung / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. ご飯とキムチを添えた、牛肉スープの食卓。 / Satomi Abe / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 薄切りの牛肉を、白いスープから取り分ける。 / Matt @ PEK from Taipei, Taiwan / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 白いスープと、いくつもの副菜。 / Tyuvc / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 土鍋で熱く仕上げたソルロンタン。 / Shene81 / CC BY 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 牛肉と麺が入ったスープ。店ごとに濃さや盛り方が違う。 / lazy fri13th / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. ねぎを浮かべた、土鍋の白いスープ。 / Kimhs5400 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 牛肉を多く盛ったソルロンタン。 / 緑さん / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 里門ソルロンタンで出された牛の汁。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. ソウルの里門ソルロンタンの入口。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。








