クロップカーカ
複数形:kroppkakorÖländska kroppkakor / Småländska kroppkakor
じゃがいもの生地で塩漬け豚肉と玉ねぎを包み、丸く成形して湯で茹でるスウェーデン南東部の詰め団子。ところが、1775年に記録されたエーランド島のクロップカーカには、まだじゃがいもが入っていなかった。生のじゃがいもを多く使えば灰色に、茹でいも中心なら白くなる。ひとつの料理名の中に、島と地方ごとの別系統が残っている。
概要 ― 「じゃがいも団子」だけでは説明しきれない
現在の基本形は、じゃがいもを主体とした生地に豚肉と玉ねぎを詰めて茹でる丸い団子。強く結びつくのはエーランド島だが、スモーランド、ブレーキンゲ、ゴットランドにも独自の型がある。
クロップカーカ(kroppkaka)は単数形、複数形はクロップカーコル(kroppkakor)。スウェーデンの無形文化遺産の国内目録「Levande kulturarv」は、中心地域をエーランド島としつつ、スモーランド、ブレーキンゲ、ゴットランドにも伝統があると整理している。
現代の説明だけを見れば料理は単純だ。じゃがいもを生のまますりおろすか、茹でて潰すか、あるいは両方を混ぜ、小麦粉や卵を加える。中央に塩漬けの豚ばら肉、玉ねぎ、白胡椒またはオールスパイスを詰め、丸い団子にして湯で茹でる。食卓では溶かしバター、クリーム、牛乳、リンゴンベリーが組み合わされる。
ただし「標準レシピ」はひとつではない。むしろ重要なのは、生のじゃがいもを使うか、茹でたじゃがいもを使うかで、色も食感も調理時間も変わることだ。Levande kulturarvは現代のクロップカーカを大きく、茹でたじゃがいもを使う「fina kroppkakor」と、生のすりおろしじゃがいもを使う「grova kroppkakor」に分けている。後者は色が濃くなるため「grå kroppkakor」、灰色のクロップカーカとも呼ばれる。
そして、この料理を「昔から続くじゃがいも料理」と説明すると歴史を取り違える。18世紀の記録では生地は大麦粉や小麦で、じゃがいもが記述に入るのは19世紀半ばから。現在よく知られる姿が固まったのは、主に20世紀初頭とされる。
すでに「とても味のよい料理」と記されたが、生地は穀物だった
生のすりおろしじゃがいもと大麦粉を合わせる記述が現れる
エーランド、スモーランド、ブレーキンゲ、ゴットランド
茹でいも中心のfina、生いもを使うgrova
地域差 ― エーランドは「灰色」、スモーランドは「白」
同じ名前でも、生地の設計が違う。エーランドは生のすりおろしじゃがいもを多く混ぜ、スモーランドは茹でいも中心。ブレーキンゲには、ほぼ生いもだけで作る系統がある。
エーランド式(öländska kroppkakor)は、生のすりおろしじゃがいもと茹でたじゃがいもを組み合わせるのが現在の代表的な姿である。生いもの割合が高いため、茹で上がりは白ではなく灰褐色になりやすい。Öland公式観光サイトも、島のクロップカーカを「råriven och kokt potatis」、生と茹でのじゃがいもを合わせ、塩漬け豚肉と玉ねぎを詰める料理として紹介している。
スモーランド式(småländska kroppkakor)は、茹でたじゃがいも、小麦粉、卵が中心。Visit Smålandは、エーランド式より茹でいもの割合が高いため、より白く仕上がると説明する。
ゴットランド式も茹でたじゃがいもと小麦粉を使う「白い」系統に入る。一方、ブレーキンゲとスモーランド南西部の一部には、生のすりおろしじゃがいもと少量の粉を中心にする濃い色の系統が残る。生いもを使う型は加熱に時間がかかり、詰め物を生のまま入れるか、先に炒めるかもレシピによって変わる。
つまり「クロップカーカの正解」はひとつではない。土地ごとの違いは飾りではなく、生地そのものに組み込まれている。
Öländska kroppkakorエーランド式
rå + kokt potatis
生のすりおろし+茹でいも。灰色がかった外観になりやすい
Småländska kroppkakorスモーランド式
kokt potatis
茹でいも、小麦粉、卵が中心。比較的白い
Gotländska kroppkakorゴットランド式
kokt potatis + vetemjöl
茹でいもと小麦粉を中心にする白い系統
Grova kroppkakor粗い・灰色の型
råriven potatis
ほぼ生のすりおろしじゃがいもと少量の粉

2008年、スウェーデンの冷蔵売場に並ぶ「Småländska kroppkakor」。家庭料理だった料理が、現在は市販品として全国へ流通する姿も定着している。写真:Holger Ellgaard/CC BY 3.0。
作り方 ― 生いもを絞り、沈んだでんぷんを戻す
1899年に採録されたエーランド島のレシピでは、生のじゃがいもをすりおろして水分を切り、底に沈殿したじゃがいもでんぷんを生地へ戻す。粉で固めるだけではない。
Levande kulturarvが紹介する1899年の「Hvardags-kroppkakor från Öland」は、調理法が具体的に残る貴重な記録である。記録者はFrida Österberg、調理者はエーランド島の教師A. Brunnér。現代の家庭レシピと完全に同じではないが、島の生いも系クロップカーカの仕組みがよく見える。
まずじゃがいもの皮をむき、細かくすりおろす。すりおろした塊をざる、または粗い布へ移し、水分を落とす。ここで出た液体をすぐ捨てずに置くと、底へ白いじゃがいもでんぷんが沈む。そのでんぷんを取り、生地側へ戻す。1899年の配合では、そこへ大麦粉と塩を加えてまとめている。
詰め物は豚肉を細かな角切りにし、胡椒と刻んだ赤玉ねぎ、またはチャイブを合わせる。生地を手で丸め、中央に穴を作って詰め物を入れ、縁を閉じる。約8リットルの鍋に半量ほどの水を張り、塩を入れて沸騰させ、団子を静かに投入。記録では約30分茹で、ミルクソースを添えている。
現代のエーランド式では、茹でたじゃがいもを混ぜる型が広く紹介される。生いもだけに近いブレーキンゲ系、茹でいも中心のスモーランド系では、生地の水分量も必要な粉量も変わる。したがって「30分」はすべてのクロップカーカに共通する固定時間ではなく、1899年の歴史レシピの値として読むべきである。

スウェーデンで栽培された粉質系のKing Edward種。たまたま心臓形に育った一個体を撮影したもので、品種の標準的な形ではない。材料の例であり、クロップカーカがこの品種に限定されるという意味でもない。栽培地:Kumla, Närke。写真:W.carter/CC BY-SA 4.0。
主要材料と、それぞれの役割
- じゃがいも
- 生地の主体。生のすりおろしは色を濃くし、でんぷんと繊維を残す。茹でいもは白く、まとめやすい生地になる。
- じゃがいもでんぷん
- 生いもを絞った液から沈殿させ、1899年のレシピでは生地へ戻す。生地を結びつける役を担う。
- 小麦粉・大麦粉
- 地域と時代で変わる。18世紀は穀物が生地主体。現代は小麦粉を補助に使う型が多い。
- 塩漬け豚肉
- 中心の塩味と脂肪。歴史的には羊、ガチョウ、ウナギ、ニシンなども記録される。
- 玉ねぎ
- 細かく刻んで豚肉と合わせる。豚脂の重さに甘みと香味を加える。
- 白胡椒・オールスパイス
- 豚肉の詰め物に使われる代表的な香辛料。レシピによりどちらを使うかが異なる。
1775年のクロップカーカは、まだ「じゃがいも料理」ではなかった。記録では大麦粉と粗い小麦の生地に肉を詰めていた
味と食べ方 ― 豚の塩気を、乳製品とリンゴンベリーで受ける
味の中心はじゃがいもの穏やかな風味、塩漬け豚肉の塩味と脂、玉ねぎの香味。添え物は全国一律ではなく、エーランド、ゴットランド、スモーランドで違う。
味と食感は、どの地域の型かでかなり変わる。生のすりおろしじゃがいもを多く使う「grova」系は、色が灰色になり、粒子感とでんぷん質の密度が出やすい。茹でたじゃがいも中心の「fina」系は白く、より均一で柔らかな生地になる。これは「上質・粗悪」という優劣ではなく、原料処理の違いを表す呼び分けである。
中心の豚肉は塩味と脂を足し、玉ねぎが香味を補う。白胡椒は鋭い辛味、オールスパイスはクローブやシナモンを連想させる温かい香りを持つため、どちらを使うかで詰め物の印象が変わる。
添え物にも地域差がある。Levande kulturarvによれば、エーランドでは伝統的に澄ましバターと薄いクリームまたは牛乳、時にリンゴンベリー。ゴットランドでは牛乳と小麦粉で作る白いソース。スモーランドでは、細粒の強いマスタードを添えることがある。現在の観光案内では、バター、クリーム、リンゴンベリーの組み合わせが広く紹介されている。
リンゴンベリーは甘い飾りではない。酸味と渋みのある赤い果実が、豚脂やバターの強さと対照を作る。とはいえ、すべての家庭・店が必ずリンゴンベリーを添えるわけではない。公式の文化遺産資料が示す通り、食べ方自体が地域差の一部である。

スウェーデン南部のリンゴンベリー。クロップカーカの代表的な添え物の一つだが、地域によっては白いソースやマスタードが選ばれる。撮影地:Norra Kvill National Park、2021年8月7日。写真:Mickael Delcey/CC BY-SA 4.0。
歴史 ― 穀物の団子が、19世紀にじゃがいもへ変わった
起源は不明。確認できる重要な記録は1775年。そこから1800年、1830年代、19世紀半ば、1899年へ追うと、穀物主体の団子がじゃがいも料理へ変化していく過程が見える。
クロップカーカの「発明者」や「発祥年」は分かっていない。Levande kulturarvは起源を不明とし、バルト海沿岸やさらに西にも似た、茹でた詰め団子が広く存在したことを指摘する。Visit Smålandには東ヨーロッパとの関係を想定する説も紹介されているが、これは確定した起源ではない。したがって「船乗りが東欧から持ち帰った」と断定することはできない。
1775年、ウプサラのAnders Gustaf Barchaeusは、エーランド島のクロップカーカを短く「en mycket välsmakande rätt」、非常に味のよい料理と記した。当時の生地は大麦粉と粗い小麦で、羊、豚、ガチョウなどの肉を詰めて茹でた。
1800年、エーランドの牧師Pehr Ahlqvistは、ふるった大麦粉で作り、豚肉、羊肉、ウナギ、ラード、ニシンなどを詰め、溶かしバターを添える場合も添えない場合もあったと記した。
1830年代、Johan Wallmanは、裕福な層ではライ麦・小麦の生地に豚肉、貧しい層では大麦粉にニシンと玉ねぎという違いを書き残している。料理の地域性だけでなく、原料の選択に経済差があったことが分かる。
19世紀半ばになって、ようやくじゃがいもがクロップカーカの記述に入ってくる。生のじゃがいもをすりおろし、大麦粉と合わせる型である。じゃがいも自体はそれ以前からスウェーデンで栽培されていたが、穀物中心の食文化へ定着するまでには時間がかかった。
1899年には、生いもを絞り、沈殿したでんぷんを戻し、大麦粉を加えるエーランドの詳細レシピが採録された。そしてLevande kulturarvは、現在のクロップカーカの組成が主に20世紀初頭に形づくられたと整理している。
【古写真】1945年8月、エーランド島Gösslundaの農家。料理そのものの写真ではないが、クロップカーカの伝承地である島の農村生活を示す資料。撮影:Mårten Sjöbeck。所蔵・原典:Swedish National Heritage Board / Flickr Commons。Public Domain(Commons上のPD Sweden表示)。
食べる場面 ― 日常食ではなく、大人数が集まる日の料理だった
古いクロップカーカは、葬儀、共同作業の宴、断食前の祝宴などで大量に作る料理だった。残りは翌日に焼き直し、冷たいまま携帯食にすることもあった。
現在はレストラン、専門店、スーパーの冷蔵売場でも手に入るが、昔の位置づけは「いつもの家庭食」とは違った。Levande kulturarvによると、茹でた詰め団子は葬儀や共同作業の宴など、多くの人が集まる特別な機会に作られた。大鍋でまとめて茹で、残れば翌日に焼き直すか、冷たいまま携帯食として持ち出した。
とくに重要なのがfastlagen、四旬節前の祝祭期である。断食へ入る前にしっかり食べる料理としてクロップカーカが位置づけられ、「bullmåndagen」と呼ばれる月曜日に食べる習慣も長く残った。Nordiska museetも、エーランド、ゴットランド、スモーランドで、断食前に肉や豚肉を入れたクロップカーカが食べられた地域例を紹介している。
1931年に採録されたスモーランドの証言では、潰したじゃがいもと大麦粉で生地を作り、豚肉、脂、オールスパイスを詰め、一度に12個を鍋へ入れたという。これは「地域料理」が家庭の小鍋だけで完結する料理ではなく、人が集まる場で反復して大量調理されていたことをよく示す。
エーランドでは現代にも季節の結びつきが残る。スウェーデン公共放送Sveriges Radio P4 Kalmarは2024年1月5日、trettondagsafton(公現祭前夜)にクロップカーカを食べる島の習慣を紹介し、30年以上作り続ける料理人を取材している。
さらに、ウプサラとルンドの学生団体Kalmar nationでは、19世紀末から年1回のクロップカーカの宴が続くと文化遺産目録に記されている。エーランド出身者の移住に伴い、アメリカにも食習慣が持ち込まれた。
エーランド島 ― 料理の背景にある、生きている農業景観
クロップカーカをエーランド島だけの料理とするのは誤りだが、島との結びつきは非常に強い。南部の農業景観は世界遺産で、今も農耕と放牧が続く「生きた景観」である。
スウェーデン国家遺産庁Riksantikvarieämbetetによると、「南エーランドの農業景観」は約5万6000ヘクタール。耕地、放牧地、村落、古代要塞、水域を含み、人びとは数千年にわたり土地を利用してきた。現在も農業と畜産が続いている。
この長い農業史を、そのままクロップカーカのじゃがいもへ直結させることはできない。じゃがいもが料理に入るのは19世紀半ばだからだ。むしろ面白いのは、島の料理が土地の歴史に合わせて変化した点にある。18世紀は大麦や小麦、19世紀以降はじゃがいもへ。クロップカーカは「古いレシピを固定して守った料理」ではなく、利用できる穀物、いも、肉、魚を受け入れて形を変えた料理だった。
現代の地産地消にも、その続きが見える。Öland公式観光サイトが紹介するNinnis Kroppkaksbodは、自家農場のじゃがいもや島内産の玉ねぎなど、近隣原料を使うことを掲げている。これは全エーランド式に共通する規則ではなく、一事業者の実践だが、料理が現在も農業と商業の接点にある例である。

エーランド島東部Lerkakaの木造風車群と農地。料理の原料写真ではなく、クロップカーカと強く結びつく島の農業景観を示す一枚。2022年5月18日、Sinikka Halme撮影/CC BY-SA 4.0。
「kropp」は身体? ― 名前の意味も、起源も断定できない
「kropp=身体、kaka=ケーキ」と直訳して終わると危ない。文化遺産資料では、料理名のkroppは「中身・詰め物」を指す可能性が高いとされ、同系の名称が北海・バルト海沿岸に広がる。
現代スウェーデン語でkroppは「身体」、kakaは「ケーキ・焼き菓子・平たい菓子」などを指す。しかし料理名の語源は、それほど単純ではない。Levande kulturarvは、ここでのkroppはおそらく中身、詰め物を指すと説明する。
エーランドにはkropphuvudenという、タラの頭へタラ肝などを含む団子を詰める料理名があり、デンマークにはkrophoved、英国諸島にはcrappit head、シェトランドにはkroppin、フィンランド南西部のÅboland群島にはkråporという近い語形がある。つまり名称の背後には、海域をまたぐ食文化の連続がある。
スウェーデン北部では、近縁のじゃがいも団子をpalt、kams、klubbなどと呼ぶ。典型的な北部のpaltは、生のすりおろしじゃがいもに大麦粉または小麦粉を合わせる。一方、南部でpaltと言えば血を使うblodpaltを指すことがあり、同じ語でも地域で意味が変わる。
リトアニアのツェペリナイ(cepelinai)とも比較される。どちらもじゃがいも生地に肉を包んで茹でるが、ツェペリナイは紡錘形で、生のじゃがいもと茹でいもを組み合わせ、絞り汁の沈殿でんぷんを戻す工程が重要。クロップカーカは丸く、スウェーデン国内だけでも生いも型と茹でいも型が分かれる。似ているから同一料理、という関係ではない。
クロップカーカkroppkaka
丸い詰め団子
生いも/茹でいもの両系統。豚肉と玉ねぎが代表的
パルトpalt
råriven potatis
生のすりおろしじゃがいもと大麦・小麦粉を使う近縁料理
ツェペリナイcepelinai
紡錘形
生+茹でじゃがいもで肉を包む。形と食文化圏が異なる
クロップフーヴデンkropphuvuden
魚の頭+詰め物
kropp系名称の手がかりになる別料理
誤解されやすい5点
- 「昔からじゃがいも料理」?
- 違う。18世紀の記録は大麦・小麦の生地。じゃがいもは19世紀半ばから記述に入る。
- 「エーランド島だけの料理」?
- 違う。島との結びつきは強いが、スモーランド、ブレーキンゲ、ゴットランドにも独自の伝統がある。
- 「白い団子が本式」?
- 違う。生いもを多く使う灰色のgrova系も伝統的。2025年には粗いクロップカーカが国内の無形文化遺産目録へ新規記載された。
- 「リンゴンベリーは必須」?
- 必須ではない。エーランドの乳製品、ゴットランドの白いソース、スモーランドのマスタードなど地域差がある。
- 「東欧から伝来したのが確定」?
- 確定していない。観光資料に東欧起源説はあるが、Levande kulturarvは起源不明としている。
灰色は失敗ではない。生のじゃがいもを使った証拠である。grova / grå kroppkakor は、別系統の伝統
現在 ― 「保存された郷土料理」ではなく、今も作り方が増えている
専門店、レストラン、持ち帰り、スーパーの冷蔵品まで流通。伝統的な豚肉入りに加え、きのこや豆・ナッツを使う現代型も現れ、料理は現在進行形で変化している。
Levande kulturarvは、クロップカーカが現在はスウェーデン全土で食べられ、家庭だけでなくレストラン業界を通じても作り方が継承されていると記す。完成品は全国の食料品店でも購入でき、伝統地域の外にも専門店がある。
Öland公式観光サイトでは、Evas KroppkakorやNinnis Kroppkaksbodなど、島でクロップカーカを専門的に作る店舗が現在も紹介されている。持ち帰りにも対応し、Ninnisではきのこと玉ねぎを使ったヴィーガン型を注文で作る。Visit Smålandは、緑えんどう豆粉、エーランド小麦、じゃがいも、ヘーゼルナッツを組み合わせた現代的な植物性クロップカーカも紹介している。
文化遺産としての位置づけも更新されている。スウェーデンの国内無形文化遺産目録「Levande kulturarv」はクロップカーカの伝統を掲載し、2025年3月28日には「grova kroppkakor」、生のすりおろしじゃがいもを使う粗い・灰色の系統が新たな伝統として記載された。
ここで重要なのは、文化遺産になったからレシピが一つに固定されたわけではないことだ。公式資料自身が、作り方には個人の手加減や香辛料の差があり、多数のレシピが流通しているとする。クロップカーカは「正しい一皿」を保存しているのではなく、地域差を抱えたまま継承されている。
基本情報
- 料理名
- クロップカーカ(kroppkaka)。複数形 kroppkakor
- 国・地域
- スウェーデン。特にエーランド島、スモーランド、ブレーキンゲ、ゴットランド
- 分類
- じゃがいも、または歴史的には穀物の生地で具を包み、湯で茹でる詰め団子
- 代表的な詰め物
- 塩漬け豚ばら肉、玉ねぎ、白胡椒またはオールスパイス
- エーランド式
- 生のすりおろしじゃがいも+茹でじゃがいも。灰色になりやすい
- スモーランド式
- 茹でじゃがいも+小麦粉+卵が中心。白く仕上がりやすい
- ブレーキンゲ系
- ほぼ生のすりおろしじゃがいも+少量の粉を使う地域型がある
- 代表的な添え物
- 澄ましバター、クリーム/牛乳、リンゴンベリー。ゴットランドでは白いソース、スモーランドではマスタードの例も
- 文献上の重要記録
- 1775年、Anders Gustaf Barchaeusがエーランド島の料理として記述。当時は大麦粉と小麦の生地
- じゃがいもの導入
- クロップカーカの記述に現れるのは19世紀半ば
- 1899年の工程
- 生いもをすりおろして水切りし、沈殿したじゃがいもでんぷんを生地へ戻し、大麦粉を加える
- 歴史的な食べる場面
- 葬儀、共同作業の宴、fastlagen(断食前の祝祭)、携帯食
- 現在
- 全国で流通。家庭・専門店・レストラン・市販品があり、植物性の現代型も存在
- 文化遺産
- スウェーデンの国内無形文化遺産目録「Levande kulturarv」に掲載。2025年にはgrova kroppkakorも新規記載
この料理と一緒に読む
出典
- Levande kulturarv「Kroppkakor」(スウェーデンの無形文化遺産国内目録。地域差、語源、1775年以降の歴史、1899年レシピ、fastlagen、現在の継承)
- Levande kulturarv「Sju nya traditioner skrivs in på förteckningen」2025年3月28日(grova kroppkakorの新規記載)
- Smaka Sverige / Jordbruksverket「Kroppkakor」(生産地域、18世紀の穀物生地、19世紀半ばのじゃがいも導入、現代の分類)
- Öland公式観光サイト「Kroppkakor – En Öländsk Delikatess」(現在のエーランド式、生+茹でじゃがいも、豚肉・玉ねぎ、添え物)
- Visit Småland「Kroppkakor」(エーランド式とスモーランド式の色・生地差、現代の専門店と植物性派生型)
- Visit Småland「Småländsk mat」(1775年、18世紀の材料、19世紀のじゃがいも化、東欧起源説は仮説として参照)
- Nordiska museet「Fettisdagen」(エーランド、ゴットランド、スモーランドのfastlagenとクロップカーカ)
- Öland公式観光サイト「Ninnis Kroppkaksbod」(現代の手作り継承、自家農場原料、植物性派生型)
- Riksantikvarieämbetet「Södra Ölands odlingslandskap」(南エーランドの農業景観と継続する農業・畜産)
- Sveriges Radio P4 Kalmar「Nu är det stora kroppkakedagen」2024年1月5日(trettondagsaftonに食べるエーランドの現代習慣)
写真(6枚)
- 1. Kroppkaka.jpg / 被写体:ブレーキンゲ地方のクロップカーカ、リンゴンベリージャムと澄ましバター / 撮影地:Blekinge, Sweden(56.160900, 15.579600)/ 2005年6月23日 / 作者:Henrik Sendelbach / CC BY-SA 3.0 / 原典
- 2. Smalandskroppkakor 2008.jpg / 被写体:冷蔵売場のSmåländska kroppkakor包装品 / 撮影地:Sweden / 2008年 / 作者:Holger Ellgaard / CC BY 3.0 / 原典
- 3. Lerkaka weather mills Öland Sweden 01.jpg / 被写体:Lerkakaの木造風車群と農地 / 撮影地:Runsten parish, Lerkaka, Öland, Sweden / 2022年5月18日 / 作者:Sinikka Halme / CC BY-SA 4.0 / 原典
- 4. Heart-shaped potato in soil in Tuntorp 3.jpg / 被写体:スウェーデンで栽培されたKing Edward種じゃがいも / 栽培地:Kumla, Närke, Sweden、撮影地:Tuntorp, Brastad, Lysekil Municipality / 2023年6月14日 / 作者:W.carter / CC BY-SA 4.0 / 原典
- 5. Gösslunda, Öland, Sweden (12102145794).jpg / 被写体:エーランド島Gösslundaの農家と人々 / 撮影地:Gösslunda, Hulterstad, Öland, Sweden / 1945年8月 / 作者:Mårten Sjöbeck / 所蔵:Swedish National Heritage Board / Flickr Commons / No known copyright restrictions、CommonsではPublic Domain(PD Sweden) / 原典
- 6. Vaccinium vitis-idaea Norra Kvill.jpg / 被写体:リンゴンベリー(Vaccinium vitis-idaea) / 撮影地:Stora Idgölen付近、Norra Kvill National Park, Sweden / 2021年8月7日 / 作者:Mickael Delcey (Silverkey) / CC BY-SA 4.0 / 原典
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