白いスープから牛肉と麺を持ち上げたソルロンタン。
韓国牛骨の白い汁

ソルロンタン

설렁탕Milky ox-bone soup simmered for hours, seasoned at the table

白いスープに牛肉、ねぎ、ときには麺。ソルロンタンの乳白色は牛乳で作るものではない。牛の骨などを煮込んだ汁が、ご飯とキムチの食卓を支える。

どんな料理?
01

白い汁にも、
肉の食べ応えを添える。

辛い鍋が多い韓国料理の中で、ソルロンタンは色も味の組み立ても違う。主役は赤いたれではなく、牛の骨や肉から取る白いスープだ。

何を煮るか、汁をどう仕上げるか、肉をどれだけ盛るか。見た目が穏やかな料理ほど、店の仕事は器の中に隠れている。

ソルロンタンは、牛の骨や肉などを煮込んだスープに、薄切りの肉などを盛って食べる料理。ねぎや麺を入れる店もあり、器の中は汁だけではない。

色は濃い白からやや薄い白まで幅がある。写真の白さだけで、牛乳が入っている、骨が多い、と断定することはできない。料理としての基本と、店ごとの濃さを分けて見たい。

ねぎを添えた、乳白色の牛骨スープ。

ねぎを添えた、乳白色の牛骨スープ。 写真の出典

麺を入れ、副菜と一緒に出すソルロンタン。

麺を入れ、副菜と一緒に出すソルロンタン。 写真の出典

乳白色の汁
骨などを煮て引き出す白さ。牛乳が必須の料理ではない。
薄切り牛肉
汁とは別に、肉の食べ応えを作る。
ねぎと麺
香りと食感を加え、ご飯にもつながる。
町の歴史
02

市場の働き手を、
熱い一杯が迎えた。

韓食振興院のスープ解説は、ソルロンタンを街で親しまれた料理として扱う。王が一度の祭礼で発明した、という有名な話だけで誕生を決めつけず、町の食堂で広がった歴史にも目を向けたい。

ソウルの「文化屋」は1952年に鍾路で始まり、1957年に乙支路へ移った店として紹介される。市場の衣料商などを迎えてきた店の歴史は、スープが働く人の食事だったことを具体的に伝える。

骨や肉を煮る長い時間は、客が注文してから始められるものではない。店が先に仕込んだ熱い汁を、一杯の食事として出す。この仕組みが、町の食堂の役割と重なる。

ご飯とキムチを添えた、牛肉スープの食卓。

ご飯とキムチを添えた、牛肉スープの食卓。 写真の出典

スープの作り方
03

骨の汁と、
盛り付ける肉。

韓食振興院は、ソルロンタンを骨を中心に白く煮出す汁、コムタンを肉を中心とする汁として説明する。ただし、現実の店では材料や呼び名が重なる例もあり、色だけの厳密な二分法ではない。

骨などを煮てだしを取り、食べるための肉を薄く切って盛る。骨の味を汁で、肉の食感を具で味わうという、二つの役割が一杯に入る。

麺が入る場合も、ご飯が不要になるとは限らない。少量の麺のなめらかさと、ご飯が汁を受ける食べ応えは違う。器の中の具と別添えのご飯を合わせて、一食になる。

薄切りの牛肉を、白いスープから取り分ける。

薄切りの牛肉を、白いスープから取り分ける。 写真の出典

白いスープと、いくつもの副菜。

白いスープと、いくつもの副菜。 写真の出典

ミルクのような白さを、
牛の骨から引き出す。

店ごとの違い
04

肉が多い一杯、
汁をじっくり味わう一杯。

ねぎの量、肉の切り方、麺の有無、器の材質。ソルロンタンの写真を並べると、同じ白いスープにも多くの違いがある。土鍋の店も、金属の器で出す店もある。

肉を多く盛る型は、汁だけでなく薄切り肉を食べる楽しみが目立つ。ねぎの香りが強い型では、汁の印象にも変化が出る。肉と汁の割合にも店の個性がある。

調味料を食卓で加える場合は、最初にそのままの汁を少量味わってから調整したい。薬味の量で、同じ汁の香りや濃さの感じ方も変わる。

土鍋で熱く仕上げたソルロンタン。

土鍋で熱く仕上げたソルロンタン。 写真の出典

ご飯とキムチ
05

白いスープの隣に、
赤い小皿がある理由。

キムチや角切り大根のカクテキは、白いスープの食卓によく並ぶ。汁と肉の穏やかな味に、発酵の酸味、辛味、野菜の歯触りが加わる。

ご飯を別に食べるか、汁に合わせるかで、同じ一杯の食べ進め方が変わる。麺をすくう一口、肉を食べる一口、汁とご飯の一口を分けると、それぞれの役割が分かる。

派手な盛り付けではないが、白い汁に薄切り肉をのせ、小皿を添える形には長い仕込みと町の食事の歴史がある。色の少ない一杯を、味の少ない一杯と思わずに見たい。

牛肉と麺が入ったスープ。店ごとに濃さや盛り方が違う。

牛肉と麺が入ったスープ。店ごとに濃さや盛り方が違う。 写真の出典

ねぎを浮かべた、土鍋の白いスープ。

ねぎを浮かべた、土鍋の白いスープ。 写真の出典

名前と食堂
06

先農壇の伝承と、
町の大きな釜。

韓国学中央研究院の百科事典は、ソルロンタンの由来について複数の説を紹介する。王が先農壇で農耕の祭礼を行った後、牛の汁を人々へ振る舞ったという伝承や、蒙古の肉を煮る言葉との関係を考える説がある。どれか一つを確定した発明の記録として扱うわけではない。

同じ解説が具体的に伝えるのは、ソウルの店で大きな鉄釜に汁を用意し、ゆで肉を部位ごとに切って並べていた姿だ。注文に合わせ、ご飯や麺、肉へ熱い汁を注いで一杯にした。

汁をかけてご飯を温めるトリョムという方法も紹介される。熱い汁を先に仕込む店の仕事と、一杯を出す仕事が分かれている。

由来の伝承を楽しみつつ、釜、薄切り肉、ご飯の組み合わせを見ると、名前の物語だけでは分からない、町の食堂の料理としての歴史が見えてくる。

牛肉を多く盛ったソルロンタン。

牛肉を多く盛ったソルロンタン。 写真の出典

店と売り場
07

料理を出す場所と、
作る人の仕事。

里門ソルロンタンで出された牛の汁。

里門ソルロンタンで出された牛の汁。 写真の出典

ソウルの里門ソルロンタンの入口。

ソウルの里門ソルロンタンの入口。 写真の出典

里門の一杯
08

1904年からの店が、
道具を変えながら続く。

ソウル市は、里門ソルロンタンを1904年から専門に出す食堂として紹介する。店の外観とスープの写真は、古い食堂が現在の町の中にある姿を伝える。創業の年代は店の歩みであり、ソルロンタン全体がその年に初めて生まれたという意味ではない。

同市の取材記事には、昔の木の建物や大釜から、現在の建物や調理の道具へ変わった話がある。伝統の食堂は全ての道具を同じまま保存する場所ではない。設備を変えても、一杯の味と具の扱いを受け継ぐことがある。

里門では牛の脾臓を使う特色も紹介される。白い牛の汁は、骨だけの話では終わらない。どの部位を汁へ使い、どの部位を切って出すかという食堂の選択が、一杯の違いを作る。

汁と具を分ける
09

麺も飯も肉も、
大釜の汁へ合わせる。

町のソルロンタンの食堂では、先に汁を仕込み、肉を切り、ご飯や麺を一杯へ合わせる仕事がある。注文してから牛の骨を長時間煮始める料理ではない。仕込みと、客へ出す最後の作業を分けることで、熱い汁の食事が食堂の料理になる。

ねぎ、塩、こしょうを添える型では、食べる人が汁の味を調節できる。赤い薬味をたっぷり溶くチゲの姿とは違い、白い汁を中心にした仕上げである。大根のキムチを別に合わせれば、汁と飯のやわらかさへ別の歯触りを挟める。

羅州コムタンは、牛肉を生かした澄んだ汁の型として紹介される。白い汁と透明感のある汁を比べると、牛のスープという短い分類の中に、別の材料の使い方があることが分かる。店の道具と具の切り方まで見ると、見た目の似た汁飯も別々に読める。

牛骨の汁

Seolleongtangソルロンタン

설렁탕

牛の骨や肉を煮込んだ乳白色のスープに薄切り肉を盛る。牛乳で作る白さではない。

羅州

Naju Gomtang羅州コムタン

나주곰탕

同じ牛の汁でも澄んだ透明な汁にご飯を合わせる。白い汁との違いが分かりやすい。

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豚骨の汁

Sundae Gukスンデクク

순대국

豚の骨から取る白い汁に腸詰めや内臓を入れる。牛か豚かで材料が分かれる。

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釜山

Dwaeji Gukbapテジクッパ

돼지국밥

豚の汁をご飯へ注ぐ釜山の一杯。汁とご飯とキムチという食卓の形が近い。

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基本情報

国・地域
韓国
分類
牛の骨や肉を煮込んだ白いスープに、薄切り肉などを盛って食べる汁物
主な材料
牛の骨と肉、薄切り牛肉、ねぎ、店によって麺
味の軸
赤いたれではなく、骨や肉から引き出す白い汁の穏やかな味
調理
牛の骨や肉などを煮込んで乳白色の汁を取り、薄切り肉やねぎ、麺を盛る
食べる場面
ご飯とキムチ、副菜を添えた食卓。辛い鍋の多い韓国料理の中で色も味も違う一杯
型・地域差
汁の白さは濃い白からやや薄い白まで店で幅がある。麺やねぎを入れる店もある
現地名
설렁탕(Seolleongtang)
記録・注記
写真の白さだけで牛乳が入っている、骨が多いと断定はできない

出典

写真(12枚)

  • 1. 白いスープから牛肉と麺を持ち上げたソルロンタン。 / 이동원 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 2. ねぎを添えた、乳白色の牛骨スープ。 / by abex (a flickr user) / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 3. 麺を入れ、副菜と一緒に出すソルロンタン。 / Mike Chung / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 4. ご飯とキムチを添えた、牛肉スープの食卓。 / Satomi Abe / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 5. 薄切りの牛肉を、白いスープから取り分ける。 / Matt @ PEK from Taipei, Taiwan / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 6. 白いスープと、いくつもの副菜。 / Tyuvc / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 7. 土鍋で熱く仕上げたソルロンタン。 / Shene81 / CC BY 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 8. 牛肉と麺が入ったスープ。店ごとに濃さや盛り方が違う。 / lazy fri13th / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 9. ねぎを浮かべた、土鍋の白いスープ。 / Kimhs5400 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 10. 牛肉を多く盛ったソルロンタン。 / 緑さん / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 11. 里門ソルロンタンで出された牛の汁。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 12. ソウルの里門ソルロンタンの入口。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。

写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。