
冷麺
냉면Buckwheat noodles in icy broth (Pyongyang) or spicy sauce (Hamhung)
氷のように冷たい汁、細い麺、卵やきゅうり。夏の定番に見える韓国の冷麺は、冬の漬け汁や北の食文化と深く結び付いている。汁で食べる型と、辛いたれで混ぜる型の違いも大きい。
汁を飲む冷麺と、
たれを混ぜる冷麺。
冷麺の写真を見比べると、透明な汁の中に麺がある一杯と、赤いたれをまとった麺の一杯が並ぶ。冷たい麺という共通点だけでは、味も食感も一つにまとめられない。
平壌、咸興、晋州など、土地の名で呼ばれる型もある。麺の配合、汁、具の違いを知ると、メニューの名前が一皿の手掛かりになる。
ムル冷麺は冷たいスープで食べる型。ビビン冷麺は辛味や甘味のあるたれを麺に絡めて食べる型だ。赤い薬味を添えた汁のある冷麺もあり、見た目だけで完全に分けられないこともある。
平壌冷麺は、そばの香りや汁の味を重視する料理として紹介される。咸興系の冷麺では、でんぷんを用いた麺や辛いたれの特徴が目立つ。すべての冷麺が同じ材料の麺ではない。

赤い味付けのビビン冷麺。汁で食べる冷麺とは違う。 写真の出典

牛肉などをのせた、汁のある冷麺。 写真の出典
- 麺
- そばの香りを重視する型も、でんぷんの弾力が目立つ型もある。
- 冷たい汁
- 肉のだしやトンチミなどを使う。店で配合が違う。
- 卵と野菜
- 彩りに加え、麺とは違う食感を作る。
冬の漬け汁が、
冷たい麺の背景にある。
韓食振興院は、17世紀の張維の文集に冷麺への言及があると紹介する。似た名前の古い麺料理がすべて現代の冷麺と同じとは限らないが、冷たく食べる麺の歴史をたどる手掛かりになる。
冬の大根の水キムチ、トンチミの冷たい汁は、冷麺の背景として重要だ。暖かい部屋で冷たい麺を食べる冬の食文化があり、夏だけの料理として生まれたわけではない。
1910年代に製氷が広がると、暑い時季にも冷たい料理を出しやすくなったと説明される。さらに朝鮮戦争で南へ移った人々が北の料理を伝え、現在の韓国の冷麺文化を形作った。

辛いたれを絡めて食べる、卵付きのビビン冷麺。 写真の出典
冷たい麺は、
もともと冬のごちそう。
晋州では、
牛肉のチヂミをのせる。
晋州の冷麺は、ユクチョンという牛肉のチヂミを細く切ってのせる型として紹介される。冷たい麺の上に、衣を付けて焼いた肉が加わるのが特徴的だ。
同じ晋州でも、汁で食べる一杯と、赤いたれで食べる一杯がある。土地の名と、ムル・ビビンの区分は同じものではなく、両方を見て料理を理解したい。
魚の刺身を加えるフェ冷麺など、具にも幅がある。卵やきゅうりが共通して見えても、肉や魚の有無で一口の食感が変わる。

牛肉のチヂミなどを細く切ってのせる、晋州の冷麺。 写真の出典
土地、汁、麺。
三つの名前を分けて読む。
平壌、咸興、晋州は土地の名。ムルとビビンは、汁で食べるか混ぜるかの違い。土地の名前だけで汁の量が一つに決まるわけではなく、いくつもの区分が重なってメニューになる。
平壌の型では、そばの香りとだしが料理の特徴として語られる。咸興系では、でんぷんの麺や辛いたれが目立つ。好みを選ぶときは、辛さだけでなく、麺の香りや食感、汁を味わいたいかも手掛かりになる。
晋州のユクチョンは、肉をそのままゆでて載せる具とは違う。衣を付けて焼いた牛肉を細く切るため、麺の上にも調理済みの一品が入る。冷たい汁やたれの中で、肉の具が別の食感を加える。
冬のトンチミ、近代の製氷、人々の南への移動。冷麺の現在の姿は、材料だけでなく季節と暮らしの変化でできている。麺の名を一つずつ読めると、冷たい一杯の背後にある土地が見えてくる。

調理前の乾燥冷麺。麺の配合は製品によって違う。 写真の出典
冬の汁だけでなく、
麺を詠んだ人々。
韓食振興院の解説には、張維の文集の冷たい麺の詩だけでなく、丁若鏞や柳得恭の時代の冷麺の話も登場する。平壌を訪ねた人が麺の値段や季節を記した例は、宮廷の一回の宴だけではなく、町で麺が食べられていた背景を想像させる。
古い詩の冷たい粉の料理を全て現在の平壌冷麺と同一にしないことは大切だが、文字の記録は、その時代に冷たく食べる主食が話題になった手がかりになる。冷麺は、暑い夏の観光の写真だけでは語れない料理である。
氷を作る技術が広がる以前は、冬の冷たい水キムチの汁が料理の環境を作った。季節の保存食と、冷たい主食がつながる。冷えた器の後ろに、冬の家庭の汁の仕事があると知ると、夏の麺という印象が変わる。
晋州の肉の薄焼きと、
釜山の小麦麺。
晋州の冷麺には、ユクチョンという牛肉の薄焼きを合わせる型がある。薄いゆで肉だけを冷麺の標準の具と思わず、焼いた肉をのせる地域の型も知ると、器の上の仕事が違って見える。冷たい麺に、別に焼いた具を合わせる料理になる。
釜山のミルミョンは、小麦を使う別の冷たい麺。北の冷麺を思い出す人々が、手に入りやすい粉で料理を作り直した背景がある。同じ冷たい麺でも、そばと小麦では材料の歴史が違う。
平壌、咸興、晋州、釜山という名を、単に辛さの段階だけに置き換えることはできない。麺の粉、汁の材料、魚や肉の具、材料が手に入る背景まで違う。冷たい器を土地ごとの料理として読むと、冷麺の歴史は人の移動と技術の話まで広がる。

北京の食堂で出された、赤いたれを混ぜる冷麺。 写真の出典

晋州式の赤い冷麺。肉の薄焼きと野菜をのせる。 写真の出典
Naengmyeon冷麺
냉면
冷たい汁で食べる型と辛いたれを絡める型がある、細い麺の料理。
Pyongyang Naengmyeon平壌冷麺
평양냉면
そばの香りや汁の味を重視する型として紹介される。
Hamhung Naengmyeon咸興冷麺
함흥냉면
でんぷんを用いた麺や辛いたれの特徴が目立つ系統。
Bibim Naengmyeonビビン冷麺
비빔냉면
辛味や甘味のあるたれを麺に絡めて食べる型。汁の冷麺とは別。
基本情報
- 国・地域
- 韓国。平壌、咸興、晋州など土地の名で呼ばれる型がある
- 分類
- 冷たい汁または辛いたれで食べる細い麺の料理
- 主な材料
- そばやでんぷんを用いた麺、肉のだしやトンチミの冷たい汁、卵、きゅうり、牛肉
- 味の軸
- ムル冷麺は冷たい汁とそばの香り、ビビン冷麺は辛味や甘味のあるたれ
- 調理
- 細い麺を氷のように冷たい汁に入れるか、たれを絡め、卵やきゅうり、牛肉をのせる
- 食べる場面
- 夏の定番に見えるが、冬の漬け汁や北の食文化と結び付く
- 型・地域差
- ムル冷麺とビビン冷麺。平壌はそばの香りと汁、咸興はでんぷんの麺と辛いたれ
- 現地名
- 냉면(Naengmyeon)
- 記録・注記
- 赤い薬味を添えた汁の冷麺もあり、見た目だけでは分けられない。汁の配合は店で違う
出典
写真(12枚)
- 1. 冷たいスープに麺、卵、きゅうりを合わせたムル冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 赤い味付けのビビン冷麺。汁で食べる冷麺とは違う。 / Korea.net / Korean Culture and Information Service / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 牛肉などをのせた、汁のある冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 辛いたれを絡めて食べる、卵付きのビビン冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 澄んだスープに、果物や野菜を添えた冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 麺の中央に赤いたれをのせた冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 牛肉のチヂミなどを細く切ってのせる、晋州の冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 晋州で提供されたビビン冷麺。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 卵ときゅうりを添えた、色の濃い麺の一杯。 / lazy fri13th / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 調理前の乾燥冷麺。麺の配合は製品によって違う。 / Fumikas Sagisavas / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 北京の食堂で出された、赤いたれを混ぜる冷麺。 / N509FZ / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. 晋州式の赤い冷麺。肉の薄焼きと野菜をのせる。 / 신애리 / CC BY 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。






