
パジョン
파전Savory pancake of scallions in batter, often with seafood
緑のねぎ、焼き色の付いた生地、別添えのたれ。パジョンはねぎを主役に焼くチヂミだ。海鮮入り、牛肉入り、東莱の名物など、同じ名にもいくつもの表情がある。
ねぎが具であり、
一枚の骨組みでもある。
長いねぎが生地を横切る姿は、パジョンの分かりやすい特徴。ねぎを細かく刻む料理とは違い、その形を生かして一枚に焼く。
日本で「チヂミ」と呼ぶ料理の中でも、パジョンはねぎの存在を名前に持つ。緑豆のピンデトッとは生地の考え方も違い、海鮮や肉を合わせることでさらに幅が広がる。
パジョンは、ねぎを生地に合わせて油で焼く料理。イカ、貝、えびなどを加える海鮮パジョンはよく知られる型だ。材料は店によって変わり、海鮮が必ず同じ組み合わせというわけではない。
生地はねぎや具を支え、焼くことで一枚になる。薄く香ばしく仕上げる型も、厚めでやわらかい型もある。焼き色の強さだけで本物かどうかを決める料理ではない。

食べやすく切った、ねぎのチヂミ。 写真の出典

丸く焼いたパジョンを、副菜とともに。 写真の出典
- ねぎ
- 長い形を生かし、香りと歯触りを作る。
- 生地
- 粉と水分などを合わせ、ねぎや具をまとめる。
- たれ
- 別添えで、焼いた一切れの味を調整する。
東莱のパジョンは、
土地の材料を集めた料理。
東莱区の公式観光案内は、東莱パジョンについて、地域のねぎ、海鮮などを合わせる料理として紹介する。王へ贈った料理という伝承も語られるが、伝承をそのまま確定した発明の記録とはしないで読みたい。
米の粉、海鮮、卵などを使う東莱の型は、一般的な小麦粉の薄焼きだけで説明できない。ねぎの名を持ちながら、土地で手に入る材料の組み合わせが特徴を作る。
地域で育った名物が市場や食堂で親しまれる料理になる。パジョンの歴史は、ねぎを焼く方法だけでなく、土地の材料をどのように一枚にまとめたかにもある。

表面を香ばしく焼いたパジョン。 写真の出典

生地にねぎや唐辛子を並べ、焼き始めるところ。 写真の出典
ねぎを長く通して、
一枚のチヂミにする。
海鮮だけでなく、
牛肉を合わせる型も。
海鮮パジョンでは、ねぎに加えて魚介の食感が入る。ねぎのやわらかい部分と、イカや貝の噛み応えが、一切れの中で違いを作る。
牛肉プルコギを合わせたパジョンもある。牛肉の甘辛い味と、ねぎの焼き物を重ねた取り合わせで、海鮮入りとは別の方向へ変わる。
写真の断面を見ると、生地の厚み、ねぎの入り方、肉や魚介の位置が分かる。同じ丸い形の料理でも、何を生地の中心にしたかで口当たりが変わる。

大きなチヂミを囲み、箸で取り分ける食卓。 写真の出典
長く並べて焼き、
食べる前に切り分ける。
ねぎを細かく刻んで混ぜる料理と、長いまま並べるパジョンでは、食べるときの形が違う。ねぎが一枚の中を通るため、切り分けても緑の線が見える。具の形を残すことが、盛り付けと食感の両方につながる。
海鮮を入れれば、ねぎや生地とは違う弾力が加わる。牛肉を合わせれば、肉の味付けと食べ応えが入る。同じねぎのチヂミでも、具の役割を変えて料理の個性を作れる。
東莱の型で語られる米の粉や海鮮、卵の取り合わせは、地域の材料を一枚へまとめる方法だ。薄い小麦粉のチヂミだけを基準にすると、地域ごとの生地の違いが見えにくくなる。
別の器のたれは、焼き上がった一枚に最後の味を足す。たれの量を変えると、生地やねぎの香りが前に出るか、しょうゆの味が前に出るかも変わる。一枚を皆で分けながら、各自の一口は調整できる料理だ。

網付きの皿で出すパジョン。つけだれは別の器に。 写真の出典
米の生地と海鮮が、
ねぎを一枚にする。
釜山の東莱区の公式観光案内は、ねぎにタコ、カキ、えび、ムール貝などの海鮮を合わせ、米の生地と卵で焼く東莱パジョンを紹介する。一般的な小麦粉の生地だけを思い浮かべると、材料の違いが見えない。
米の粉と、小麦の粉を使う型は、材料も焼けたときの質感も同じとは限らない。東莱の一枚は、ねぎだけでなく海鮮と生地を地域の型として知ると分かりやすい。名前のパはねぎを指すが、料理を作る材料はねぎ一種類ではない。
王へ出したという説明は地域の伝承として語られる一方、現在の材料は公式の地域案内で具体的に確認できる。発明の伝説だけを長くするより、何を一枚にまとめるかまで知る方が、写真の中の海鮮と生地につながる。
長いまま並べるか、
小さく切って混ぜるか。
写真の一枚では、長いねぎの形が焼き面に残る。ねぎを小さく切って生地へ混ぜる型とは、切った一口に入る長さが違う。海鮮の具も、生地の中へ細かく混ぜるか、上に形を残すかで見え方が変わる。
緑豆を挽くピンデトッは、同じ鉄板の焼き物でも主な生地の材料が違う。そばのメミルジョンビョンは、焼いた薄い生地へ具を巻く。パジョンをねぎの薄焼きとして知るだけでなく、別の粉や豆の焼き物と比べると、生地の違いがはっきりする。
雨の日にパジョンが親しまれるという食文化の紹介もある。料理と天候の結びつきを楽しみながら、焼く一枚の中身を見れば、雰囲気の話だけでは終わらない。長いねぎ、海鮮、粉と卵、焼き面が一緒に料理を作る。

パジョンと複数の小皿を合わせた食卓。 写真の出典

器へ切り分けて盛ったねぎの薄焼き。 写真の出典
Pajeonパジョン
파전
長いねぎを生地に合わせて油で焼く。ねぎが具であり骨組みでもある。
Bindaetteokピンデトッ
빈대떡
緑豆を使う平焼きで、生地の考え方が違う。
Haemul Pajeon海鮮パジョン
해물파전
イカ、貝、えびなどを加える型。組み合わせは店で変わる。
Dongnae Pajeon東莱パジョン
동래파전
東莱の名物として知られる型。同じ名でも表情が異なる。
基本情報
- 国・地域
- 韓国。東莱の名物としての型も知られる
- 分類
- ねぎを主役にして生地と焼く平焼き。日本でチヂミと呼ぶ料理の一つ
- 主な材料
- 長いねぎ、粉と水分の生地、イカや貝、えびなどの海鮮、牛肉
- 味の軸
- ねぎの香りと歯触り、焼き色の香ばしさ。別添えのたれで調整
- 調理
- ねぎの長い形を生かし、生地に合わせて油で一枚に焼く
- 食べる場面
- 食べやすく切り、副菜とともに。たれで一切れの味を調整する
- 型・地域差
- 海鮮入り、牛肉入り、東莱の名物。薄く香ばしい型と厚めでやわらかい型
- 現地名
- 파전(Pajeon)
- 記録・注記
- 材料は店によって変わり、焼き色の強さで本物かを決める料理ではない
出典
写真(13枚)
- 1. ねぎの緑が生地に通るパジョン。しょうゆ系のたれを添えて。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 食べやすく切った、ねぎのチヂミ。 / by takaokun / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 丸く焼いたパジョンを、副菜とともに。 / by karendotcom127 / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 表面を香ばしく焼いたパジョン。 / Maggie / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 生地にねぎや唐辛子を並べ、焼き始めるところ。 / by World to Table at Flickr / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. フライパンで火を通し、裏返して焼く。 / Karen and Brad Emerson / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 長いねぎが生地の中を通ったパジョン。 / Brücke-Osteuropa / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 大きなチヂミを囲み、箸で取り分ける食卓。 / Jun Ohwada / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 牛肉プルコギを合わせたパジョンの一例。 / Sharphyun / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 牛肉入りパジョンの断面。生地の厚みと具が分かる。 / Sharphyun / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 網付きの皿で出すパジョン。つけだれは別の器に。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. パジョンと複数の小皿を合わせた食卓。 / Norris Wong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 13. 器へ切り分けて盛ったねぎの薄焼き。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。






