
ポッサム
보쌈Boiled pork belly wrapped in leaves with kimchi and salted shrimp
薄く切った豚肉、白菜や葉野菜、赤い大根の和え物。ポッサムは肉を焼いて食べる料理ではなく、ゆでた肉に包む具を合わせて食べる料理だ。
肉を焼くのではなく、
ゆでて切り分ける。
豚肉の皿が白っぽく見えるのは、焦げ目を付ける焼肉とは違うため。赤身と脂身を薄く切り、周りの葉やキムチと合わせることで一口が完成する。
サムギョプサルと同じ豚肉でも、火の使い方と食べる場所が違う。厨房でゆでた肉を、食卓で好みの組み合わせに包むのがポッサムの大きな楽しみだ。
ポッサムは、ゆでた豚肉を葉野菜やキムチなどで包んで食べる料理。肉を食べるための盛り付けと、包むための添え物が分かれている。
赤身と脂身、皮のある肉では、一切れの中の食感が違う。どの部位をどの厚さで切るかは店によるが、基本は肉だけでなく周囲の具と食べる形だ。

豚肉と、包んで食べる葉やキムチを盛った一皿。 写真の出典

豚肉の赤身と脂身に、辛い大根などを合わせる。 写真の出典
- ゆで豚
- 皮付きなどの肉をゆで、薄く切って盛る。
- 葉や白菜
- 肉と薬味をまとめて包む。
- 赤い和え物
- キムチや大根の辛味、歯触りを重ねる。
「包む」発想は、
料理名の中にもある。
ポッサムは、包むことに関わる名を持つ料理として知られる。薄切り肉を葉にのせる食べ方は、その名を見た目でも理解しやすい。
一方、「ポッサム・キムチ」という別の料理もある。開城の型では、キムチの具を白菜の葉で包む。こちらは豚肉の皿そのものを指す名前ではない。
同じ「包む」発想から、肉を食卓で包む料理と、キムチの具を包んで仕込む料理が生まれる。名前が同じ部分を持っていても、材料と工程は区別して見たい。

皮付きの豚肉を、薄く切って積み重ねたところ。 写真の出典
ゆでた豚肉を、
葉とキムチで包み込む。
白菜、薄い大根、
牡蠣を添える型も。
葉野菜だけでなく、白菜や薄切りの大根を添える型もある。葉のやわらかさ、大根の歯触りが、同じ肉に違う食感を加える。
牡蠣を合わせるクル・ポッサムも紹介される。肉の皿へ海の具を重ねた型で、すべてのポッサムに牡蠣が付くわけではない。
ポッサムと豚足料理のチョッパルを一緒に盛る店もある。二つの肉料理が同じ大皿に載っていても、ゆで豚の薄切りと豚足を同じものとして見ないと、食べ比べが分かりやすい。

長い皿に肉と豆腐を並べ、葉野菜を別皿に。 写真の出典
バラ肉か、肩の肉か。
切り口にも違いがある。
韓国観光公社は、ポッサムに豚バラ肉や肩の肉を使うと説明する。焼肉のサムギョプサルは豚バラ肉の名だが、ポッサムは包んで食べる料理の名なので、同じ部位だけに固定されない。
バラ肉の切り口には赤身と脂の層があり、肩の肉とは見え方が違う。薄切りにしても、部位によって脂と赤身の割合や肉の食感が変わる。
葉や白菜、キムチを添える食べ方は共通していても、肉が違えば一口の重さが違う。部位を知ると、薬味の量を好みに合わせる際の手掛かりにもなる。
ポッサムという名前だけで肉の部位まで決めつけず、店が使う肉と切り方を見る。包む食べ方を中心に、いくつもの肉の一皿を受け止める料理なのである。

ゆで豚のポッサムと、豚足料理のチョッパルを一緒に盛った例。 写真の出典
開城のポッサムは、
肉の皿とは別の料理。
開城のポッサム・キムチは、白菜の葉で具を包んで仕込む料理として紹介される。豚肉を葉に載せて食卓で包むポッサムとは、包む場所と時間が違う。一つの言葉が、仕込みの包みと、食べる一口の包みを両方表している。
葉が外側になる料理では、何を包むかが中の味を決める。キムチの具を葉でまとめる仕事と、切ったゆで豚へ薬味を添える仕事を分けると、同じ名前の部分を持つ二つの料理が区別できる。
マンドゥは粉の皮、オジンオスンデはイカの胴、メミルジョンビョンは焼いたそばの生地を包みにする。ポッサムの葉は、加熱した皮とは違い、食卓で肉へ重ねるもの。包む料理を並べると、外側の材料と工程の順が料理の違いを作る。
牡蠣を添える型と、
発酵魚を重ねる三合。
クル・ポッサムは、ゆでた豚肉へ牡蠣を合わせる型。豚の肉の皿が魚介へ開かれる料理として、観光公社が紹介する。肉の脂と、別の海の材料を合わせる食べ方になる。
ホンオサマプでは、ゆで豚を発酵したエイとキムチへ重ねる。同じゆで肉が、豚中心の包み料理と、三つの材料を合わせる料理で違う役割を持つ。切り身の見た目が似ていても、何と一口にするかが料理を変える。
済州のトンベコギは、ゆで肉をまな板へ切り並べる形が名に残る。ポッサムは包む食べ方が名の中心。豚肉をゆでるという共通の工程から、器や食べ方の違う郷土料理へ分かれることを知ると、ゆで肉の一皿にも地域の物語が加わる。

ゆで豚に葉と薬味を添えたポッサムの食卓。 写真の出典
基本情報
- 国・地域
- 韓国
- 分類
- ゆでた豚肉を薄く切り、葉野菜やキムチなどで包んで食べる料理
- 主な材料
- 皮付きなどの豚肉、白菜や葉野菜、キムチ、赤い大根の和え物
- 味の軸
- 白っぽいゆで豚に、キムチや大根の辛味と歯触りを重ねる
- 調理
- 厨房で肉をゆで、赤身と脂身を薄く切って盛り、食卓で具と包む
- 食べる場面
- 食卓で好みの組み合わせに包んで食べる。肉の盛り付けと添え物が分かれる
- 型・地域差
- 部位と切る厚さは店による。赤身、脂身、皮のある肉で一切れの食感が違う
- 現地名
- 보쌈(Bossam)
- 記録・注記
- 肉を焼く料理ではなく、ゆでた肉に包む具を合わせる料理として区別される
出典
写真(11枚)
- 1. ゆでた豚肉を並べ、葉野菜やキムチを添えたポッサム。 / Korea.net / Korean Culture and Information Service / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 豚肉と、包んで食べる葉やキムチを盛った一皿。 / tecking (a flickr user) / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 豚肉の赤身と脂身に、辛い大根などを合わせる。 / by ayustety (a flickr user) / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 皮付きの豚肉を、薄く切って積み重ねたところ。 / by Nicole Cho (nchoz) at Flickr / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 豚肉の周囲に、薄い大根などを添えた盛り付け。 / by aka_maya at Flickr / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 豚肉と豆腐、キムチなどを合わせた食卓。 / by aka_maya at Flickr / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 長い皿に肉と豆腐を並べ、葉野菜を別皿に。 / Timber Tank / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 南海で提供された、葉野菜を添えた豚肉の食卓。 / by Junho Jung at Flickr from South Korea / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 坡州で提供されたポッサム。白菜と赤い和え物を添えて。 / by Junho Jung at Flickr from South Korea / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. ゆで豚のポッサムと、豚足料理のチョッパルを一緒に盛った例。 / Jungyeon Min / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. ゆで豚に葉と薬味を添えたポッサムの食卓。 / Debbie Tingzon / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。






