薄切りの餅に、卵や肉をのせたトックク。
韓国正月の汁物

トックク

떡국Sliced rice-cake soup eaten on New Year’s Day

薄く切った白い餅を、だしのある汁で煮る。トッククは韓国の新年の食卓と深く結び付く料理だ。長い餅を丸く切る形にも、年を重ねる食べ方にも、暮らしの意味がある。

どんな料理?
01

長い餅を切って、
汁の中に入れる。

白い汁や澄んだ汁の中に、平たい楕円形の餅が見える。黄色い卵、黒い海苔、肉の飾りをのせると、穏やかな色の料理にも輪郭が生まれる。

日本の餅入りの汁を想像しやすいが、餅の材料、細長く作ってから薄く切る形、旧正月との結び付きに、この料理の個性がある。

代表的なトッククでは、うるち米を使うカレトッを薄く切り、牛肉のだしなどで煮る。日本のもち米の餅と、材料も形も同じとは限らない。

薄い餅は匙で取りやすく、汁と一緒に食べられる。肉や卵の細切り、海苔などをのせる型があり、餅だけの白い見た目に小さな具が重なる。

海苔と卵をのせた、餅のスープ。

海苔と卵をのせた、餅のスープ。 写真の出典

薄切り餅
細長いカレトッを、食べやすい薄さに切る。
だしの汁
牛肉や魚介などの汁で餅を煮る。
仕上げの具
卵、海苔、肉などで色と食感を重ねる。
新年の意味
02

一杯の餅スープで、
年を重ねる習慣。

トッククは旧正月の料理として、家族や祖先への供え物との関係が深い。韓食振興院は、食べると年を一つ重ねるという習慣や、餅の料理を年齢に結び付ける言い回しを紹介する。

「トッククを何杯食べた?」という問いが、何歳かを尋ねる表現として語られる。ただし、これは食文化としての言い回しであり、現在の法的な年齢の数え方を料理で決めるという意味ではない。

白い色には新年の清らかさ、長い餅には長寿、切った丸い形には富を重ねる説明がある。形を縁起に結び付ける文化として味わうと、一杯が新年の食卓に置かれる理由が分かる。

色の違う餅を合わせた、トッククの一例。

色の違う餅を合わせた、トッククの一例。 写真の出典

餅とだし
03

薄さが、
汁と一緒に食べる形を作る。

餅は長いままではなく、薄く切って汁に入れる。食べやすさに加えて、汁の味と餅の食感を同時に取れる形になる。乾燥や保存状態によって、煮る前の扱いは変わる。

牛肉のだしに肉の具を添える型では、汁の味と餅のやわらかさを分けて感じられる。卵や海苔は少量でも、色と香りの変化を加える。

餅を長く煮ればよいという料理ではなく、形と食感を残すように仕上げる。匙に汁と餅を一緒にのせると、餅の厚さが食べ方に関わることがよく分かる。

金属の器に盛り、卵や海苔を添えた餅スープ。

金属の器に盛り、卵や海苔を添えた餅スープ。 写真の出典

調理前の、薄く切った餅。

調理前の、薄く切った餅。 写真の出典

白い餅の一杯で、
新しい年を迎える。

地域と具
04

牡蠣のスープ、
マンドゥも入る一杯。

魚介のだしや牡蠣を使うトッククもある。海の材料を合わせることで、牛肉の汁とは違う味の方向になる。

蔚山のクブン・トッククは、焼いたもち米の餅を切り、牡蠣の汁などに入れる型として紹介される。標準的なうるち米のカレトッを使う型と、餅の作り方から違う。

餅とマンドゥを一緒に入れたものは、トック・マンドゥクク。白い餅の弾力と、皮に具を包んだマンドゥの食べ応えが同じ汁に入る。

牛肉のだしに餅を入れたトックク。

牛肉のだしに餅を入れたトックク。 写真の出典

一杯を味わう
05

餅、肉、卵を、
匙の上で合わせる。

汁と餅を少しずつすくい、肉や卵も一緒に味わう。海苔の香りが入る一口、餅の弾力が中心の一口で、小さな違いがある。

色の違う餅を使った型は見た目がにぎやかになるが、白い餅の新年料理という基本もよく知られている。具の派手さだけが料理の意味を決めるわけではない。

細長く作り、丸く切り、汁で煮る。その形に新年の願いを重ねたトッククは、調理の手順と家族の習慣が一杯につながる料理なのだ。

牡蠣入りトッククを、餅とともに匙ですくう。

牡蠣入りトッククを、餅とともに匙ですくう。 写真の出典

牡蠣や卵を合わせた、餅のスープ。

牡蠣や卵を合わせた、餅のスープ。 写真の出典

言葉に残る料理
06

「キジの代わりに鶏」。
餅の汁が背景にある言葉。

韓食振興院の地域のトックク解説は、「キジの代わりに鶏」という表現を紹介する。キジを使う汁の代わりに鶏を使う食事の工夫が、代用品を使うという言い回しの背景として語られる。

現在は牛肉のだしが代表的だが、トッククの汁が最初から全国で一つだったとは限らない。肉の種類や、土地の魚介を使う方法にも幅がある。

焼いたもち米の餅と牡蠣を合わせる蔚山の型は、汁だけでなく餅も違う例。餅スープという共通の形に、手に入る材料と地域の作り方が入る。

新年の縁起を持つ一杯が、食材を置き換える言葉にも残る。トッククの歴史は、祝いの習慣だけでなく、その土地で何を使って食事を作ったかにも表れている。

餅にマンドゥも加える、トック・マンドゥクク。

餅にマンドゥも加える、トック・マンドゥクク。 写真の出典

土地の汁と餅
07

鶏の汁、海藻、貝。
白い餅に地域の材料。

韓食振興院の新年料理の紹介は、全羅道でタクチャンという鶏の味を生かす汁の型や、済州で海藻を使う型へ触れる。白い餅を牛の汁へ入れる一杯だけが、新年の食卓の姿ではない。

海に近い慶尚南道では、牡蠣やえび、貝、海藻などを合わせる型が紹介される。餅は共通の主食でも、汁を作る材料は土地で変わる。米を加工したものに、海や鶏の材料をどう合わせるかが、地域の一杯の違いになる。

北部の新年料理にはマンドゥの汁もあり、米の餅と粉の皮の料理が同じ行事の食卓へ並ぶ。トック・マンドゥククなら、二つの主食の形が同じ汁の中に入る。新年の料理は、一つの定型の写真だけでは説明できない。

餅の形の違い
08

丸い薄切りと、
小さなひょうたん。

開城のチョレンイ・トッククは、ひょうたんのようにくびれのある小さな餅を使う型。長いカレトックを丸く薄切りにする姿とは、餅の成形が異なる。白い米の餅が共通していても、一個の形と匙へ載る量が変わる。

忠清道のナル・トッククには、生地をちぎって汁に入れる型も紹介される。手でちぎるスジェビを思わせる形が、米の餅の料理にも現れる。粉や米の材料を、細長くするか、丸く切るか、ちぎるかで、主食の姿は変わる。

新年の餅の色や形には、清らかさ、長寿、富を願う説明がある。その意味を楽しみながら、実際の餅の切り方と汁の材料も知ると、縁起の話が一杯の料理と結びつく。年を重ねる言い回しだけで終わらない、形の歴史を持つ料理である。

関連する料理
09

同じ材料から、
違う料理の形へ。

材料の加工や主食の形を、関連する別の料理と見比べる。下の写真は、それぞれ名前を添えた料理の実例。

パッチュク

小豆の粥に白い団子を合わせたパッチュク。

小豆の粥に白い団子を合わせたパッチュク。 写真の出典

マンドゥ

ひだを寄せた皮の中に具を包んだ、蒸しマンドゥ。

ひだを寄せた皮の中に具を包んだ、蒸しマンドゥ。 写真の出典

正月

Tteokgukトックク

떡국

薄く切った餅をだしの汁で煮る、新年の汁物。

冬至

Patjukパッチュク

팥죽

小豆の粥に餅の団子を入れる、季節と結び付く一杯。

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包み物

Manduマンドゥ

만두

具を包んだ餃子を、蒸す、ゆでる、焼くなどで食べる。

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汁物

Sujebiスジェビ

수제비

手でちぎった小麦の生地をだしで煮る、餅ではない汁物。

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基本情報

国・地域
韓国。新年の食卓と結び付く
分類
薄く切った餅をだしのある汁で煮る汁物
主な材料
うるち米のカレトッ、牛肉などのだし、卵、海苔、肉
味の軸
白い汁や澄んだ汁のだし。穏やかな味に具が重なる
調理
細長い餅を薄く切り、牛肉のだしなどで煮て、卵や海苔をのせる
食べる場面
旧正月。年を重ねる食べ方として新年の食卓に出る
型・地域差
肉や卵の細切り、海苔などをのせる型がある
現地名
떡국(Tteokguk)
記録・注記
日本の餅入りの汁と似るが、うるち米の餅で材料も形も同じとは限らない

出典

写真(11枚)

  • 1. 薄切りの餅に、卵や肉をのせたトックク。 / soscs / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 2. 海苔と卵をのせた、餅のスープ。 / 최광모 / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 3. 色の違う餅を合わせた、トッククの一例。 / 경빈마마 / CC BY 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 4. 金属の器に盛り、卵や海苔を添えた餅スープ。 / 아라 / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 5. 調理前の、薄く切った餅。 / Sulkkun / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 6. 牛肉のだしに餅を入れたトックク。 / 해능 / CC BY-SA 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 7. 牡蠣入りトッククを、餅とともに匙ですくう。 / 한국교육방송공사 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 8. 牡蠣や卵を合わせた、餅のスープ。 / 한국교육방송공사 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 9. 餅にマンドゥも加える、トック・マンドゥクク。 / stuart_spivack (a flickr user) / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 10. 小豆の粥に白い団子を合わせたパッチュク。 / 국립국어원 / CC BY-SA 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 11. ひだを寄せた皮の中に具を包んだ、蒸しマンドゥ。 / 국립국어원 / CC BY-SA 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。

写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。