
チュオタン
추어탕Loach soup thickened with ground fish and greens, from Namwon
ドジョウを煮たチュオタンには、身をすりつぶす型と、魚の形を残す型がある。南原の郷土料理として知られるが、ソウルにも古い食堂がある。褐色の汁、青い香草、粉の薬味を知ると、一杯の違いがはっきりする。
すりつぶす型と、
丸ごとの型。
すりつぶした魚の汁は、魚を目に見える切り身へ残すスープとは違う。南原の通りとソウルの湧金屋を知ると、ドジョウの料理の中にも別の系統がある。
チュオタンの主な材料はドジョウ。すりつぶす型では、煮た魚を細かくし、青菜などと一緒に汁へまとめる。切り身の魚が浮かぶスープとは違い、汁の中に魚の材料が行き渡る。器を見て魚が見当たらなくても、魚を使わない料理とは限らない。
丸ごとの魚を使う型もある。韓国観光公社は、ソウルの湧金屋を、丸ごとのドジョウを使うソウル式の店として紹介する。南原のすりつぶした汁だけを唯一の標準にしないことが、地域差を知る大切な入口になる。

鍋に盛ったドジョウの汁。 写真の出典

匙を添えたチュオタンの一杯。 写真の出典
魚の姿が見えない汁に、
ドジョウの仕事がある。
湧金屋の入口と、
店内の食卓。
湧金屋は1932年創業の食堂として観光公社が紹介する。掲載写真では、ダドンギルにある店の外観と、店内の食卓を見ることができる。南原の地名が強い料理にも、ソウルで続く別の系統の店があることを、実際の場所の写真が伝える。
創業年は、この店が料理を受け継いできた時間を示す。チュオタンそのものが1932年に誕生した、という意味ではない。店の歴史と料理全体の歴史を分けると、古い看板や建物の話も、誇張せずに読み応えのある話になる。

清道で出されたチュオタンの食卓。 写真の出典
魚を崩す工程が、
汁の見え方を変える。
すりつぶした型では、魚の形を小さくし、汁や野菜とまとめる工程が食感の中心になる。丸ごとの型は、魚そのものを食べる形が器に残る。同じドジョウを使っていても、魚をどこまで崩すかによって、食べるときの動作も変わる。
葉や茎を使う型では、煮た野菜の質感も重要になる。魚の汁だからといって、魚だけで味が決まるわけではない。煮た青菜、発酵した調味料、粉の薬味を含めて見ると、見た目の地味な汁が何でできているかを具体的に追える。

粉の薬味を添えたチュオタン。 写真の出典
飯とキムチを添えて、
食事として完成する。
チュオタンの食卓には、白い飯とキムチの小皿が並ぶ。すりつぶした魚の汁と飯ではやわらかな食感が続くため、大根などのキムチの歯触りが別の役割を持つ。黒い鍋の接写だけでなく、食卓全体を見ると、汁が一食になる組み合わせが分かる。
南原へ行けば郷土料理の通りを知れ、ソウルの湧金屋を見れば別の型の食堂を知れる。魚の姿があるか、粉の薬味が何か、どこで食べ継がれてきたか。チュオタンはその三つを見比べると、一つの地名では語り切れない汁になる。

ドジョウの汁と野菜。 写真の出典
辛い粉と香りの粉は、
同じものではない。
赤い唐辛子、青い刻み唐辛子、エゴマの粉、山椒の仲間の薬味は、それぞれ料理へ加える役割が違う。粉の小皿があるから、全てをこしょうのように同じ味と考えるわけにはいかない。エゴマの粉は汁の中へ粒の質感も加える。
掲載写真には、汁とは別の小皿に粉を置く食卓がある。匙ですくった褐色の汁へどの薬味を加えるかで、一口の香りが変わる。最初から鍋に味を付けた部分と、食べる人が加える部分は別の段階である。
青菜の茎や葉が魚の汁の中へ残ると、すりつぶした材料の中に、目に見える野菜の形が入る。魚が見えないからといって料理が単純なのではない。材料を細かくする工程と、形を残す工程が一杯の中で使い分けられている。
切り身、半乾燥、すり身。
魚は別の形で食べられる。
アンコウのアグィチムは、身を切って野菜と赤い味へまとめる。クァメギは冬に半乾燥させ、切って葉などへ包む。チュオタンのすりつぶした型は、魚の材料を汁へ行き渡らせる。どれも魚料理だが、食べる材料の形は違う。
地域の魚を何で調理するかだけでなく、どこまで崩すか、乾かすか、切るかが食べ方を変える。チュオタンは、小さな魚を一杯の汁へ変える仕事を知ると、褐色の鍋の中身を具体的に理解できる。
基本情報
- 国・地域
- 韓国。全羅北道の南原、ソウルのダドンギル、清道など
- 分類
- ドジョウを煮て、すりつぶすか丸ごとで食べる褐色の汁料理
- 主な材料
- ドジョウ、乾燥させた大根の葉や茎、エゴマの粉、山椒の仲間の薬味、青唐辛子、にんにく
- 味の軸
- 発酵した調味料の汁に、エゴマの粉と山椒の仲間の香り、唐辛子の辛さを食べる人が足す
- 調理
- 煮た魚を細かくし、青菜と汁にまとめる。丸ごとの型は魚の形を残す。粉の薬味は別の小皿
- 食べる場面
- 南原の郷土料理。秋の食文化と結びつき、白い飯とキムチの小皿を添えて一食にする
- 型・地域差
- 南原のすりつぶす型と、ソウルの湧金屋の丸ごとの型。粉の薬味の出し方は店で変わる
- 現地名
- 추어탕(Chueotang)
- 記録・注記
- 広寒楼苑の周辺に食堂の通り。湧金屋は1932年創業だが、料理の誕生年ではない
出典
- 韓国観光公社|湧金屋とソウル式チュオタン
- 南原市|チュオタンの食堂案内
- 文化体育観光部・KOREA|南原の街とチュオタン通り
- 韓国政府・Korea.net|南原のドジョウ汁
- 国家遺産振興院|郷土料理の材料と薬味
写真(12枚)
- 1. ドジョウを使うチュオタン。褐色の汁に青い具を合わせる。 / 국립국어원 / CC BY-SA 2.0 kr / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 鍋に盛ったドジョウの汁。 / Dalgial / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 匙を添えたチュオタンの一杯。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 飯と合わせるチュオタン。 / Dalgial / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. ソウルの湧金屋の外観。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 青菜を合わせたチュオタン。 / Asfreeas / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 湧金屋で出された料理と小皿。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 黒い鍋の褐色の汁。 / Mar del Este / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 湧金屋の店内の食卓。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 清道で出されたチュオタンの食卓。 / hyolee2 / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 粉の薬味を添えたチュオタン。 / 도매지기 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. ドジョウの汁と野菜。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
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