落花生と緑豆を載せた豆花(新北・鶯歌で撮影)
台湾 / 九份・台北

豆花(ドウホァ)

Douhua · Tofu Pudding

豆腐でもプリンでもない、その中間

TAIWAN01
匙を入れると、崩れる。

九份の階段を上りきって、少し休みたい。そういうときに台湾の人が食べるのが、これだ。

豆乳を固めただけ。甘い汁をかけただけ。それだけの甘味が、漢の時代から二千年ほど続いている。

そして台湾では、この上に載せるものが増え続けている。

NT$50〜60(約235〜280円)温と冷が選べる現金のみの店が多い

30秒でわかる、この料理

なにか
豆乳を石膏で柔らかく固め、甘いシロップとトッピングを合わせる台湾の甘味
一口目
噛む前に消える。本体に味はほぼなく、甘さはシロップから
選び方
店頭のバットから指さしで2〜3種類。2種類がちょうどいい
温冷
注文のときに温か冷かを聞かれる。冬の九份なら温
値段
トッピング2種でNT$50〜60(約235〜280円)

図鑑データ

国・地域
台湾全土。香港・東南アジア・中国大陸にも同系のものがある
分類
甘味(豆乳の凝固菓子)
相場
NT$50〜60(約235〜280円)。トッピング追加はNT$10前後
主な材料
豆乳、凝固剤(石膏粉=硫酸カルシウム)、砂糖シロップ、各種トッピング
甘さ
控えめ。シロップの量で決まる
温度
温と冷が選べる。夏は氷入り
食べる場所
甘味専門店・夜市・朝食店
ベスト時間
午後から夜。歩き疲れたあと
カロリー
トッピングなしで1杯200kcal前後。夜市の締めに向く
支払い
現金のみの店がほとんど
読み
北京語でドウホァ。台湾語ではタウフエに近い音で、どちらも通じる
1

一杯を見る

タロイモ団子、タピオカ、ハトムギを載せた豆花(甘味店で撮影)
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豆花にタロイモ団子、タピオカ、ハトムギを載せた一杯(甘味店で2021年撮影)

1
豆花豆花豆乳を石膏で固めた本体。匙で切ると断面が滑らかで、角が立たない
2
ハトムギ薏仁(イーレン)ぷちぷちとした粒。香ばしさが足される
3
タピオカ粉圓(フェンユエン)ぷるぷるの粒。本体の柔らかさと対になる
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タロイモ団子芋圓(ユーユエン)九份の名物。芋圓の店はたいてい豆花も出す
2

一口目

食感

噛む前に、消える

匙を入れると、抵抗なく沈む。豆腐のような弾力がなく、すくうとその形のまま匙に乗る。口に入れれば、舌で押すだけで崩れる。日本の絹ごし豆腐より、さらに柔らかい。

味

本体は、ほとんど無味

豆乳の香りがほのかにあるだけで、甘いのは周りのシロップだ。シロップは黒糖ベースか、白砂糖に生姜を効かせたもの。生姜入りは冬の定番で、体が温まる。

対比

無抵抗と、抵抗

そこへトッピングの食感が混ざる。落花生のほくほく、緑豆のさらさら、タピオカのぷるぷる。豆花本体の無抵抗さとトッピングの抵抗、この対比が豆花の設計だ。

温度

温と冷で、別の甘味

温かい豆花は、豆乳の香りが立つ。飲み込んだあとに体が緩む。九份の階段を上ったあとにこれが効くのは、味というより温度のせいだ。冷たい豆花は、氷とともに口の中で消えていく。同じものとは思えないほど印象が違うので、時間があれば両方試したい。

匙を入れた落花生入りの豆花(台北で撮影)
匙を入れたところ。角が立たずに滑らかに崩れるのは、石膏で固めた証拠(台北で2022年撮影)
落花生入りの豆花(台北・北平田園で撮影)
落花生入り。柔らかく煮た豆が定番の組み合わせ(台北で2010年撮影)
3

どう食べる

店頭に並ぶトッピングのバットと値段の貼り紙(台湾で撮影)1
トッピングを指さす

店の前にトッピングのバットが並んでいる。ここから指さしで2〜3種類を選ぶ。欲張って4種類以上入れると、豆花本体の存在が消える。

いちばん良いのは2種類
2温か冷かを答える

温か冷かは、注文のときに聞かれる。山の上の九份は夕方から冷えるので、11月から3月なら温を。

夏の冷たい豆花は氷入りで出てくる
シロップだけのシンプルな一杯(台北・北投のホテルに届けてもらったもの)3
混ぜずに、上からすくう

作法はない。匙ですくって食べるだけだ。ただし混ぜないほうがいい。崩れやすいので、混ぜると全体がスープ状になってしまう。上から順に、トッピングと一緒にすくう。

シロップだけの一杯なら、豆乳の質がそのまま出る
持ち帰りカップの豆花と豆漿(台東・池上で撮影)4
シロップまで飲みきる

シロップは残さない。薄いので飲みきれる。持ち帰り用のカップに入れてもらうこともできるが、揺れると崩れる。階段の町では、座って食べたほうがいい。

夜市では持ち帰りカップを手に、歩きながら食べる人も多い
豆乳石膏粉(硫酸カルシウム)黒糖か、生姜入りの白砂糖のシロップトッピング2〜3種
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なぜ、台湾で食べられているか

漢の時代

中国大陸で生まれる

起源は台湾ではなく中国大陸。漢の時代まで遡るといわれる。

伝説

淮南王・劉安

不老不死の薬を探していた劉安のもとで、偶然できたのが豆腐であり豆花だと伝わる。

移民とともに

福建から台湾へ

福建からの移民が、台湾へ持ち込んだ。

いま

載せるものが増え続ける

芋圓、タピオカ、豆類、ハトムギと、次々に増えていった。九份で芋圓豆花が生まれたのは、その延長線上だ。

劉安の話の真偽はともかく、二千年前後の歴史がある甘味であることは間違いない。台湾で独自に変わったのは、トッピングの豊富さだった。

中国大陸の豆腐花はシロップだけで食べるか、地域によっては塩味で食べる。醤油とラー油と刻みネギ。台湾の人でも、これを見ると驚く。

味のないものの上に、味のあるものを載せる。それだけの二千年。

落花生の粉をたっぷりかけた持ち帰りの豆花(中国・汕頭で撮影)
落花生の粉をたっぷりかけた持ち帰りの豆花(中国・汕頭で2017年撮影)
夜の士林夜市の入口付近。ネオンの下を大勢の人が行き交う(台北)
夜の士林夜市の入口付近。ネオンの下を大勢の人が行き交う(台北で2009年撮影)

漢代の起源と淮南王劉安の話は、伝説として語られているもの。史料で確かめたものではない。

5

トッピングを選ぶ

豆花の楽しみの半分は、上に載せるもの。定番はこの6つ。

トッピング読みどんなもの
花生ホアシェン落花生。最も定番。ほくほく。迷ったらこれ
綠豆リュウドウ緑豆。あっさりして何杯でもいける。夏向き
紅豆ホンドウ小豆。日本人にはいちばん馴染む
粉圓フェンユエンタピオカ。ぷるぷるした食感が足される
芋圓ユーユエン九份ならこれ。二つの名物を同時に
薏仁イーレンハトムギ。ぷちぷちして香ばしい
サツマイモと落花生を載せた一杯(新北・鶯歌で撮影)
サツマイモと落花生を載せた一杯。店によって組み合わせは自由(新北・鶯歌で2014年撮影)
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似ている料理と比べる

豆乳を固めて甘くするという発想は、東アジアと東南アジアに広く分布している。

台湾

豆花

Douhua

石膏で柔らかく固め、甘い汁とトッピングを重ねる。

日本

絹ごし豆腐

材料も製法もほぼ同じ。違いは凝固剤と、甘くするかどうか。豆腐はにがり(塩化マグネシウム)で固める。石膏で固めると、より柔らかくなめらかになる。この一点が豆腐と豆花を分けている。豆花に醤油をかければ、ほぼ冷奴になる。

香港

豆腐花

ダウフーファー

同じもの。黄糖をかけて食べるのが一般的。

マレーシア・シンガポール

タウフーファー

同系。シロップが薄く、豆の香りが強い。

ベトナム

タウフーソー

生姜シロップが定番。

下の写真は、タイで撮影された豆花や豆腐プリン。小さな揚げパンを載せたものが多い。

小さな揚げパンを載せた冷たい豆花(タイ・バンコクで撮影)
小さな揚げパンを載せた冷たい豆花(タイ・バンコクで2017年撮影)
揚げパンを浮かべた温かい豆花(タイ・バンコクで撮影)
揚げパンを浮かべた温かい豆花(タイ・バンコクで2017年撮影)
皿に盛った豆花と小さな揚げパン(タイで撮影)
皿に盛った豆花と小さな揚げパン(タイで2018年撮影)
揚げパンと黒い具を合わせた冷たい豆花(タイ・バンコクで撮影)
揚げパンと黒い具を合わせた冷たい豆花(タイ・バンコクで2017年撮影)
スイカやバナナを添えた冷たい豆腐プリン(タイの甘味として撮影されたもの)
スイカやバナナを添えた冷たい豆腐プリン(タイの甘味として2025年に撮影されたもの)
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豆知識

  • 1
    回転の速い店を選ぶ豆花は作りたてから時間が経つほど水が出る。回転の速い店ほど、すくったときの断面が美しい。
  • 2
    寒天やゼラチンの店も現代では寒天やゼラチンで固める店もある。ただ、石膏で固めたものとは崩れ方が違う。
  • 3
    コンビニにもある台湾のコンビニでも豆花のカップが売られている。深夜に食べたいときの選択肢になる。
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食べに行く前に

注文のことば

豆花、一碗ドウホァ、イーワン/豆花を1杯
這個ジェイガ/これ(2つ指させば2種類入る)
熱的ラーダ/温かいので
冰的ビンダ/冷たいので
外帶ワイダイ/持ち帰りで

甘味専門店(豆花店)は台湾中にある。台北なら永康街、師大、寧夏夜市のあたり。朝から夜までやっている店が多く、朝食に食べる人もいる。九份では豎崎路の階段沿い。芋圓の店がたいてい豆花も出しているので、同じ店で両方頼める。夜市では屋台で、持ち帰りカップに入れて売っている。

値段と覚え書き

豆花(トッピング2種)NT$50〜60約235〜280円
芋圓豆花NT$60前後約280円
トッピング追加NT$10前後約47円
豆漿(豆乳)NT$25前後約120円
仙草(ハーブゼリー)NT$50前後約235円
  • 値段はトッピングの数で少し変わるが、たいていNT$50〜60に収まる。芋圓を足すとNT$60前後
  • 店による値段の差はほとんどない。差が出るのは豆乳の質とトッピングの煮え方で、落花生がほろほろになっている店は当たり

値段は2026年8月時点の現地相場の目安。1台湾ドル(NT$)=約4.7円で換算。価格・営業時間は変わるので、現地で必ず確認を。

参照資料

写真の出典(15枚)

写真は原典のライセンス(CC0/CC BY/CC BY-SA)に従って掲載しています。作者名・ライセンス・原典リンクを1枚ずつ表示しています。台湾以外で撮影された写真は、撮影地を説明に書いています。旧版の写真はすべて使い、外したものはありません。

  • 落花生と緑豆を載せた豆花(新北・鶯歌で撮影)|Meng Weng Wong/CC BY 2.0/2014年撮影(原典)
  • タロイモ団子、タピオカ、ハトムギを載せた豆花(甘味店で撮影)|Noramyn/CC BY-SA 4.0/2021年撮影(原典)
  • 匙を入れた落花生入りの豆花(台北で撮影)|Battlesnake1/CC0/2022年撮影(原典)
  • 落花生入りの豆花(台北・北平田園で撮影)|KQuhen/CC BY-SA 4.0/2010年撮影(原典)
  • 店頭に並ぶトッピングのバットと値段の貼り紙(台湾で撮影)|ThomasYehYeh/CC BY-SA 4.0/2022年撮影(原典)
  • シロップだけのシンプルな一杯(台北・北投のホテルに届けてもらったもの)|Battlesnake1/CC0/2022年撮影(原典)
  • 持ち帰りカップの豆花と豆漿(台東・池上で撮影)|Bevis Chen/CC BY-SA 2.0/2017年撮影(原典)
  • 落花生の粉をたっぷりかけた持ち帰りの豆花(中国・汕頭で撮影)|DragonSamYU/CC BY-SA 4.0/2017年撮影(原典)
  • 夜の士林夜市の入口付近。ネオンの下を大勢の人が行き交う(台北)|Pedro Angelini/CC BY 2.0/2009年撮影(原典)
  • サツマイモと落花生を載せた一杯(新北・鶯歌で撮影)|Meng Weng Wong/CC BY 2.0/2014年撮影(原典)
  • 小さな揚げパンを載せた冷たい豆花(タイ・バンコクで撮影)|Iudexvivorum/CC0/2017年撮影(原典)
  • 揚げパンを浮かべた温かい豆花(タイ・バンコクで撮影)|Iudexvivorum/CC0/2017年撮影(原典)
  • 皿に盛った豆花と小さな揚げパン(タイで撮影)|Index Librorum Permissorum/CC0/2018年撮影(原典)
  • 揚げパンと黒い具を合わせた冷たい豆花(タイ・バンコクで撮影)|Iudexvivorum/CC0/2017年撮影(原典)
  • スイカやバナナを添えた冷たい豆腐プリン(タイの甘味として撮影されたもの)|Scndlyz/CC BY-SA 4.0/2025年撮影(原典)

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