ねぎの緑が生地に通るパジョン。しょうゆ系のたれを添えて。
韓国ねぎの平焼き

パジョン

파전Savory pancake of scallions in batter, often with seafood

緑のねぎ、焼き色の付いた生地、別添えのたれ。パジョンはねぎを主役に焼くチヂミだ。海鮮入り、牛肉入り、東莱の名物など、同じ名にもいくつもの表情がある。

どんな料理?
01

ねぎが具であり、
一枚の骨組みでもある。

長いねぎが生地を横切る姿は、パジョンの分かりやすい特徴。ねぎを細かく刻む料理とは違い、その形を生かして一枚に焼く。

日本で「チヂミ」と呼ぶ料理の中でも、パジョンはねぎの存在を名前に持つ。緑豆のピンデトッとは生地の考え方も違い、海鮮や肉を合わせることでさらに幅が広がる。

パジョンは、ねぎを生地に合わせて油で焼く料理。イカ、貝、えびなどを加える海鮮パジョンはよく知られる型だ。材料は店によって変わり、海鮮が必ず同じ組み合わせというわけではない。

生地はねぎや具を支え、焼くことで一枚になる。薄く香ばしく仕上げる型も、厚めでやわらかい型もある。焼き色の強さだけで本物かどうかを決める料理ではない。

食べやすく切った、ねぎのチヂミ。

食べやすく切った、ねぎのチヂミ。 写真の出典

丸く焼いたパジョンを、副菜とともに。

丸く焼いたパジョンを、副菜とともに。 写真の出典

ねぎ
長い形を生かし、香りと歯触りを作る。
生地
粉と水分などを合わせ、ねぎや具をまとめる。
たれ
別添えで、焼いた一切れの味を調整する。
地域の歴史
02

東莱のパジョンは、
土地の材料を集めた料理。

東莱区の公式観光案内は、東莱パジョンについて、地域のねぎ、海鮮などを合わせる料理として紹介する。王へ贈った料理という伝承も語られるが、伝承をそのまま確定した発明の記録とはしないで読みたい。

米の粉、海鮮、卵などを使う東莱の型は、一般的な小麦粉の薄焼きだけで説明できない。ねぎの名を持ちながら、土地で手に入る材料の組み合わせが特徴を作る。

地域で育った名物が市場や食堂で親しまれる料理になる。パジョンの歴史は、ねぎを焼く方法だけでなく、土地の材料をどのように一枚にまとめたかにもある。

表面を香ばしく焼いたパジョン。

表面を香ばしく焼いたパジョン。 写真の出典

生地にねぎや唐辛子を並べ、焼き始めるところ。

生地にねぎや唐辛子を並べ、焼き始めるところ。 写真の出典

焼く工程
03

ねぎを並べ、
生地でつないで焼く。

焼く前は、ねぎと赤い唐辛子などが生地の中に並んでいる。加熱すると生地が固まり、具が一枚の中に収まる。裏返して両面を焼き、香ばしい面を作る。

厚みのある型では、中の生地まで火を通すことが大切。表面の焼き色と内側のやわらかさは別の要素なので、強く焦がせば完成するというわけではない。

焼いた後に切ると、長いねぎも食べやすい長さになる。切り分けは盛り付けだけの作業ではなく、皆で同じ一枚を取るための仕上げだ。

フライパンで火を通し、裏返して焼く。

フライパンで火を通し、裏返して焼く。 写真の出典

長いねぎが生地の中を通ったパジョン。

長いねぎが生地の中を通ったパジョン。 写真の出典

ねぎを長く通して、
一枚のチヂミにする。

具の広がり
04

海鮮だけでなく、
牛肉を合わせる型も。

海鮮パジョンでは、ねぎに加えて魚介の食感が入る。ねぎのやわらかい部分と、イカや貝の噛み応えが、一切れの中で違いを作る。

牛肉プルコギを合わせたパジョンもある。牛肉の甘辛い味と、ねぎの焼き物を重ねた取り合わせで、海鮮入りとは別の方向へ変わる。

写真の断面を見ると、生地の厚み、ねぎの入り方、肉や魚介の位置が分かる。同じ丸い形の料理でも、何を生地の中心にしたかで口当たりが変わる。

大きなチヂミを囲み、箸で取り分ける食卓。

大きなチヂミを囲み、箸で取り分ける食卓。 写真の出典

雨の日の食卓
05

一枚を取り分け、
小皿のたれを添える。

韓国には、雨の日にジョンを食べるというよく知られた食の連想がある。焼く音と雨音を重ねる説明もされるが、雨の日に食べなければならない料理ではない。

パジョンは、マッコリと合わせる料理としても紹介される。大きな一枚を切り、箸で取り分け、しょうゆ系のたれを少し付けて食べる形が身近だ。

ねぎの香り、生地の焼き色、具の歯触り。たれの味だけにせず、その三つを感じられる量で合わせると、店ごとの一枚の違いが見えやすい。

牛肉プルコギを合わせたパジョンの一例。

牛肉プルコギを合わせたパジョンの一例。 写真の出典

牛肉入りパジョンの断面。生地の厚みと具が分かる。

牛肉入りパジョンの断面。生地の厚みと具が分かる。 写真の出典

ねぎの形の意味
06

長く並べて焼き、
食べる前に切り分ける。

ねぎを細かく刻んで混ぜる料理と、長いまま並べるパジョンでは、食べるときの形が違う。ねぎが一枚の中を通るため、切り分けても緑の線が見える。具の形を残すことが、盛り付けと食感の両方につながる。

海鮮を入れれば、ねぎや生地とは違う弾力が加わる。牛肉を合わせれば、肉の味付けと食べ応えが入る。同じねぎのチヂミでも、具の役割を変えて料理の個性を作れる。

東莱の型で語られる米の粉や海鮮、卵の取り合わせは、地域の材料を一枚へまとめる方法だ。薄い小麦粉のチヂミだけを基準にすると、地域ごとの生地の違いが見えにくくなる。

別の器のたれは、焼き上がった一枚に最後の味を足す。たれの量を変えると、生地やねぎの香りが前に出るか、しょうゆの味が前に出るかも変わる。一枚を皆で分けながら、各自の一口は調整できる料理だ。

網付きの皿で出すパジョン。つけだれは別の器に。

網付きの皿で出すパジョン。つけだれは別の器に。 写真の出典

東莱の材料
07

米の生地と海鮮が、
ねぎを一枚にする。

釜山の東莱区の公式観光案内は、ねぎにタコ、カキ、えび、ムール貝などの海鮮を合わせ、米の生地と卵で焼く東莱パジョンを紹介する。一般的な小麦粉の生地だけを思い浮かべると、材料の違いが見えない。

米の粉と、小麦の粉を使う型は、材料も焼けたときの質感も同じとは限らない。東莱の一枚は、ねぎだけでなく海鮮と生地を地域の型として知ると分かりやすい。名前のパはねぎを指すが、料理を作る材料はねぎ一種類ではない。

王へ出したという説明は地域の伝承として語られる一方、現在の材料は公式の地域案内で具体的に確認できる。発明の伝説だけを長くするより、何を一枚にまとめるかまで知る方が、写真の中の海鮮と生地につながる。

ねぎの置き方
08

長いまま並べるか、
小さく切って混ぜるか。

写真の一枚では、長いねぎの形が焼き面に残る。ねぎを小さく切って生地へ混ぜる型とは、切った一口に入る長さが違う。海鮮の具も、生地の中へ細かく混ぜるか、上に形を残すかで見え方が変わる。

緑豆を挽くピンデトッは、同じ鉄板の焼き物でも主な生地の材料が違う。そばのメミルジョンビョンは、焼いた薄い生地へ具を巻く。パジョンをねぎの薄焼きとして知るだけでなく、別の粉や豆の焼き物と比べると、生地の違いがはっきりする。

雨の日にパジョンが親しまれるという食文化の紹介もある。料理と天候の結びつきを楽しみながら、焼く一枚の中身を見れば、雰囲気の話だけでは終わらない。長いねぎ、海鮮、粉と卵、焼き面が一緒に料理を作る。

パジョンと複数の小皿を合わせた食卓。

パジョンと複数の小皿を合わせた食卓。 写真の出典

器へ切り分けて盛ったねぎの薄焼き。

器へ切り分けて盛ったねぎの薄焼き。 写真の出典

平焼き

Pajeonパジョン

파전

長いねぎを生地に合わせて油で焼く。ねぎが具であり骨組みでもある。

平焼き

Bindaetteokピンデトッ

빈대떡

緑豆を使う平焼きで、生地の考え方が違う。

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派生形

Haemul Pajeon海鮮パジョン

해물파전

イカ、貝、えびなどを加える型。組み合わせは店で変わる。

東莱

Dongnae Pajeon東莱パジョン

동래파전

東莱の名物として知られる型。同じ名でも表情が異なる。

基本情報

国・地域
韓国。東莱の名物としての型も知られる
分類
ねぎを主役にして生地と焼く平焼き。日本でチヂミと呼ぶ料理の一つ
主な材料
長いねぎ、粉と水分の生地、イカや貝、えびなどの海鮮、牛肉
味の軸
ねぎの香りと歯触り、焼き色の香ばしさ。別添えのたれで調整
調理
ねぎの長い形を生かし、生地に合わせて油で一枚に焼く
食べる場面
食べやすく切り、副菜とともに。たれで一切れの味を調整する
型・地域差
海鮮入り、牛肉入り、東莱の名物。薄く香ばしい型と厚めでやわらかい型
現地名
파전(Pajeon)
記録・注記
材料は店によって変わり、焼き色の強さで本物かを決める料理ではない

出典

写真(13枚)

  • 1. ねぎの緑が生地に通るパジョン。しょうゆ系のたれを添えて。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 2. 食べやすく切った、ねぎのチヂミ。 / by takaokun / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 3. 丸く焼いたパジョンを、副菜とともに。 / by karendotcom127 / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 4. 表面を香ばしく焼いたパジョン。 / Maggie / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 5. 生地にねぎや唐辛子を並べ、焼き始めるところ。 / by World to Table at Flickr / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 6. フライパンで火を通し、裏返して焼く。 / Karen and Brad Emerson / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 7. 長いねぎが生地の中を通ったパジョン。 / Brücke-Osteuropa / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 8. 大きなチヂミを囲み、箸で取り分ける食卓。 / Jun Ohwada / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 9. 牛肉プルコギを合わせたパジョンの一例。 / Sharphyun / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 10. 牛肉入りパジョンの断面。生地の厚みと具が分かる。 / Sharphyun / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 11. 網付きの皿で出すパジョン。つけだれは別の器に。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 12. パジョンと複数の小皿を合わせた食卓。 / Norris Wong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 13. 器へ切り分けて盛ったねぎの薄焼き。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。

写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。