
ホットク
호떡Griddled sweet pancake filled with brown sugar, nuts and cinnamon
黄金色に焼いた丸い生地を割ると、砂糖とシナモン、ナッツなどの甘い具が現れる。市場の焼き台で包み、押し、裏返す。その手仕事までおいしそうな韓国のおやつだ。
外は焼き色。
中には甘い具。
ホットクは、ただの薄いパンケーキではない。生地の中に具を包んでから押して焼くため、外側の焼き色と中の甘い詰め物が一口に重なる。
露店の鉄板では、丸い生地がいくつも並び、押し器で平たくされていく。割った断面と、焼く途中の姿を見れば、このおやつの仕組みがよく分かる。
代表的なホットクは、小麦粉の生地に甘い具を包み、油を使って鉄板などで焼くもの。もち米の粉を合わせるレシピもあり、生地の弾力や厚さは店によって違う。
砂糖、シナモン、刻んだナッツなどの組み合わせは、香りと甘味を同時に作る。表面に具をのせるのではなく、生地の中に入れるところが料理の特徴だ。

割った生地の中から、甘い詰め物が見える。 写真の出典

専用の押し器で生地を平たくする、焼き台の作業。 写真の出典
- 包む生地
- 小麦粉などを使い、具を漏らさず包む。
- 甘い詰め物
- 砂糖にシナモンやナッツなどを合わせる。
- 押し器
- 丸い生地を、火の通る平たい形へ変える。
中国人の店から、
韓国の市場のおやつへ。
韓国学中央研究院の百科事典は、1880年代の華僑の移住とともにホットクが伝わったと説明する。1889年にはソウルの店があり、その後、開港場や各地に店が広がった。現在の鉄板の甘い丸焼きだけが、最初から一種類で伝わったわけではない。
かつての華僑の店では、炉で焼くパンや蒸すものなど、幅広い小麦の食べ物を扱った。1970年代以降、店の数や食べられる菓子は変わり、韓国式に発展させたホットクが街頭で親しまれるようになった。
冬の露店の焼き台では、包む、押す、焼く工程が目の前で続く。伝わった小麦の食べ物が、砂糖や種、ナッツなどの具を入れたおやつとして変わり、釜山など土地の名物にもなっている。

露店でホットクの生地を包み、焼くところ。 写真の出典

紙に挟んで渡される、食べ歩きのホットク。 写真の出典
押して焼く生地の中に、
熱い甘さを閉じ込める。
釜山の種入り。
緑茶や卵の変化。
釜山のシア・ホットクは、種やナッツの食感を楽しむ型として知られる。甘い詰め物に、噛むと細かくほどける具が加わり、生地だけとは違う一口になる。
緑茶を使う生地なら色も香りも変わる。韓食振興院は、釜山・富平市場で卵を合わせるホットクも紹介する。甘い丸焼きという基本から、店独自の取り合わせが広がっている。
くるみと干し柿の型も、レシピとして提案されている。ただし、それを全国の古くからの標準とする必要はない。定番の砂糖とシナモンを中心に、具の変化を比べたい。

緑茶を使ったホットク。切った生地に種などの具が見える。 写真の出典
包む具を変えると、
同じ丸焼きが変わる。
砂糖とシナモンは甘味と香り、ナッツや種は噛む食感を加える。どれも生地の中へ入るが、役割は違う。外側を香ばしく焼く工程が加わると、生地と詰め物の二重のおいしさになる。
釜山の種入りの型は、甘い具の中に細かな歯触りが入る。緑茶を使う生地では、色だけでなく、生地側へ個性を持たせる。具を変える方法と、生地を変える方法の両方がある。
くるみや干し柿を使うレシピも、包むという基本を残して材料を変える工夫だ。具を生地の外へ飾るより、割ったときに初めて中身が見えることが、ホットクの楽しさになる。
焼き台の押し器は、具を包んだ生地を平たくする道具。丸い生地が同じ厚さに近づくことで、両面に焼き色を付けられる。見た目の面白い動きにも、詰め物を中へ残して焼くという調理の理由がある。

釜山で、鉄板と押し器を使って焼くホットク。 写真の出典
焼いた生地を切って、
後から種を入れる。
釜山のシアッ・ホットクは、種やナッツを使う型。観光公社は、油で焼いた生地を開き、中へ種を入れる食べ方を紹介する。全ての具を生の生地の中へ入れてから焼く、という基本のイメージとは違う。焼く工程と、種を詰める工程が分かれる。
割った生地の中に見える種は、甘い砂糖の汁と別の歯触りになる。薄い表面、もちっとした生地、液状になる甘い具、硬めの種という異なる形が一口に重なる。市場の焼き台の仕事を知ると、断面の写真の中に工程が見えてくる。
釜山には卵を使うホットクの型も紹介される。砂糖の甘い型だけでなく、中へ何を入れるかで食べる場面が変わる。伝わった粉の食べ物が、別の街の売り場で違う具へ開かれたことが、ホットクの食文化の面白さである。
丸い包みが、
鉄板で平たい一枚に。
生地に具を包んだ直後は、鉄板の平たいホットクとは違う形をしている。熱い面へ置き、道具で押して広げることで、表面が焼ける面積が増える。包む工程と、押す工程が別であることは、焼き台の写真で分かる。
甘い具は加熱によって中で変化する。焼けた表面の色を見ても、中の砂糖の状態はそのまま見えない。割った一枚の写真では、皮の厚みと中の具が見える。完成した丸い外側と、切った内側を合わせると、粉と砂糖が違う形で料理になったことを知れる。
薄く焼くメミルジョンビョンは、先に生地を焼いてから具を巻く。ホットクの包んでから焼く型とは、工程の順が違う。同じ粉で具を包む食べ物でも、焼く前に入れるか、焼いた後に入れるかが、皮と具の関係を変える。

ホットクの生地を道具で押して焼く売り場の仕事。 写真の出典

グルテンを含む材料を使わずに作るホットクの型。 写真の出典
基本情報
- 国・地域
- 韓国。市場や露店の焼き台
- 分類
- 甘い具を生地に包んで押し、鉄板で焼くおやつ
- 主な材料
- 小麦粉の生地(もち米の粉を合わせる型も)、砂糖、シナモン、刻んだナッツ、油
- 味の軸
- 砂糖の甘味とシナモンの香り。外は焼き色、中は甘い具
- 調理
- 生地で具を包み、鉄板で押し器で平たくして裏返し焼く
- 食べる場面
- 露店の焼き台で買って食べる韓国のおやつ
- 型・地域差
- 生地の弾力や厚さは店で違い、もち米粉を合わせるレシピもある
- 現地名
- 호떡(Hotteok)
- 記録・注記
- 具を表面にのせず、生地の中に入れるところが特徴
出典
- 韓国観光公社|冬のストリートフード
- 韓食振興院|くるみと干し柿のホットク
- 韓食振興院|釜山の市場と卵ホットク
- 韓食振興院|釜山の食と市場
- 韓国学中央研究院|ホットクの伝来と変遷
- 韓国観光公社|釜山のシアッ・ホットク
写真(13枚)
- 1. 香ばしい焼き色のホットク。平たく焼いた生地の中に甘い具を包む。 / Korea.net / Korean Culture and Information Service / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 割った生地の中から、甘い詰め物が見える。 / keizie / 정희 강 from Seoul, Korea / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 専用の押し器で生地を平たくする、焼き台の作業。 / by yearofeats / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 露店でホットクの生地を包み、焼くところ。 / by Sung Sook / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 紙に挟んで渡される、食べ歩きのホットク。 / by Sung Sook / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 表面をこんがり焼いたホットク。 / 최광모 / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 鉄板でいくつものホットクを同時に焼く。 / Sandra Vallaure / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 緑茶を使ったホットク。切った生地に種などの具が見える。 / maya jasmin / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 焼く前の生地を、鉄板に並べたところ。 / Charles Haynes / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 済州島・西帰浦の市場で作るホットク。 / Seefooddiet / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 釜山で、鉄板と押し器を使って焼くホットク。 / Ka23 13 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. ホットクの生地を道具で押して焼く売り場の仕事。 / parhessiastes / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 13. グルテンを含む材料を使わずに作るホットクの型。 / Teemeah / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。






