
ピンデトッ
빈대떡Pancake of ground mung beans with kimchi and pork, fried in lard
厚めの生地に、きのこ、もやし、肉、キムチなど。ピンデトッは緑豆をすりつぶして焼くチヂミだ。小麦粉の薄い生地とは違う、豆の存在感が一枚の中にある。
小麦粉だけではない、
豆のチヂミ。
大きな鉄板で焼いたピンデトッは、丸ごとでも、切り分けても食卓に並ぶ。こんがりした表面の下には、挽いた豆の厚みがある。
「韓国のチヂミ」と一まとめにすると、この生地の違いを見落とす。ねぎを主役にするパジョンと、豆を生地にするピンデトッは、似た焼き方でも出発点が違う。
ピンデトッは、挽いた緑豆を中心にした生地を焼く料理。レシピによって小麦粉やもち米粉などを加えることもあり、「すべてが緑豆だけ」と決めつける必要はない。
豆の生地に具が入るので、切った断面にも厚みがある。緑豆チヂミはノクトゥジョンとも呼ばれ、緑豆という材料を名前に出して説明されることがある。

厚めに焼いたピンデトッを、皿に盛って。 写真の出典

焼いたピンデトッと、玉ねぎ入りのつけだれ。 写真の出典
- 緑豆
- 浸して皮を取り、挽いて生地にする。
- 混ぜ込む具
- 肉、キムチ、もやしなどが生地の中に入る。
- 焼き面
- 油を使って両面を焼き、香ばしさを作る。
古い緑豆の焼き物には、
甘い詰め物があった。
韓国政府の食文化記事は、17世紀の『飲食知味方』に、挽いた緑豆の生地へ蜜を合わせた小豆の具を入れる焼き物があると紹介する。1809年の『閨閤叢書』では栗などの具も登場する。現在の肉やキムチを入れたチヂミと、そのまま同じ材料ではない。
甘い具を包む型から、具を合わせる焼き物へ。古い名前や緑豆の使い方がつながっていても、料理の役割は変わる。現代の広蔵市場で親しまれるピンデトッの姿だけを、過去へ置き戻すことはできない。
広蔵市場の店では、緑豆を石臼で挽き、大きな鉄板へ流して焼く。昔の料理書の緑豆から、市場の挽きたての生地まで、豆を焼くという方法の変化が一枚の背景にある。

色の付いた皿に盛った、黄金色の緑豆チヂミ。 写真の出典

切り分けたピンデトッを、長い皿に並べたところ。 写真の出典
黄金色のチヂミは、
緑豆を挽くところから。
丸く厚く、
具の取り合わせはさまざま。
肉やキムチ、もやしの割合、厚さ、大きさは店で変わる。表面に肉や唐辛子などを見せる盛り方も、具を生地に混ぜる型もある。
長い皿に切って並べる場合も、丸い一枚を大皿で出す場合も、料理の基本は緑豆の生地。大きさだけでは別料理と決められない。
パジョンとの違いを見るなら、緑のねぎの量だけでなく、生地の中心となる材料を見る。緑豆を挽いた型か、小麦粉などでねぎを焼く型かで、チヂミの個性が変わる。

丸いピンデトッを、食べやすく切り分けて。 写真の出典
甘い緑豆菓子から、
身近な一枚へ。
古い料理書の緑豆の焼き物には、蜜を合わせた小豆や栗の具が入っていた。1924年の『朝鮮無双新式料理製法』では、甘い詰め物の型とは違う調理が紹介されるが、ナマコやアワビなども材料として挙がる。単純に昔から安い一枚だったとは言い切れない。
1948年の歌「ピンデトッ紳士」は、ピンデトッが身近な食べ物として語られる時代を伝える例として、韓国政府の食文化記事に登場する。料理名が歌の題にもなり、暮らしの言葉の中へ入っていた。
平安道では「ノクトゥ・チジム」、つまり緑豆の焼き物という呼び方でも知られる。地域の呼び方を見ると、名前の由来の伝説より、材料を直接表した名前が分かりやすいこともある。
古い甘い型、後の具入りの焼き物、市場の一枚。材料と役割の変化を知ると、豆のチヂミの長い歴史が、現在の広蔵市場へつながって見える。

肉などを表面に合わせた、緑豆のチヂミ。 写真の出典
粉を溶くだけではなく、
緑豆を挽く。
広蔵市場で緑豆を挽く写真には、豆を生地へ変える工程が見える。一般的な小麦粉のパジョンと違い、ピンデトッの中心は緑豆を使う生地。粉の薄焼きという短い分類では、豆を仕込む仕事が伝わりにくい。
鉄板で焼く写真では、生地と具を大きな一枚へまとめる。外側の焼き面と、切った中の豆の質感は異なる。豆を挽く、具を合わせる、油のある面で焼くという順を知ると、黄色い一枚が何でできているかが具体的になる。
古い蜜や小豆の具の記録と現在の市場の肉やキムチの型を比べると、緑豆を焼く方法が、違う食材と役割へ使われたことが分かる。食材が同じでも、甘い菓子と塩味の食事では、同じ食べ方にならない。
スニネや清日家に、
一枚を出す歴史がある。
広蔵市場のスニネ・ピンデトッは、市場の緑豆の焼き物の食堂としてソウル市の観光案内に載る。清日家も、ピンデトッの食堂として紹介される。広蔵市場の売り場には、豆を挽いて生地を作る仕事と、鉄板で一枚を焼く仕事が並んでいる。
大きな鉄板で焼いた一枚は、切って皿へ盛ることもできる。丸い生地の全体と、食べやすい切り身では見え方が違う。複数の人へ一枚を分ける食べ方に、焼き台の大きさと切る仕事が関わる。
薄い酢しょうゆの薬味などを添える型では、焼いた豆の生地に別の味を合わせられる。具を先に生地へ混ぜる味と、食卓で薬味を付ける味は別の段階。豆の一枚と小皿を合わせて見ると、市場の料理が一口へ完成する仕組みが分かる。
基本情報
- 国・地域
- 韓国
- 分類
- 挽いた緑豆を生地にして焼く、厚めのチヂミ
- 主な材料
- 緑豆、きのこ、もやし、肉、キムチ。小麦粉やもち米粉を加える場合も
- 味の軸
- 豆の生地の厚みと、油で両面をこんがり焼いた香ばしさ
- 調理
- 緑豆を浸して皮を取り、挽いて具を混ぜ、大きな鉄板で両面を焼く
- 食べる場面
- 丸ごとでも切り分けても食卓に並ぶ。玉ねぎ入りのつけだれを添える
- 型・地域差
- 緑豆だけの生地と、小麦粉やもち米粉を加える型。切った断面にも厚み
- 現地名
- 빈대떡(Bindaetteok)
- 記録・注記
- 緑豆チヂミはノクトゥジョンとも呼ばれる。パジョンとは出発点が違う
出典
写真(14枚)
- 1. 緑豆の生地を丸く焼いたピンデトッ。表面にこんがりした焼き色。 / by Tales of an LA Addict (Abby) at Flickr / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 厚めに焼いたピンデトッを、皿に盛って。 / by avlxyz / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 焼いたピンデトッと、玉ねぎ入りのつけだれ。 / mick62 / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 色の付いた皿に盛った、黄金色の緑豆チヂミ。 / John / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. 切り分けたピンデトッを、長い皿に並べたところ。 / Alpha from Melbourne, Australia / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 市場の食卓で、ピンデトッと飲み物を一緒に。 / hojusaram from Seoul / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 切った緑豆チヂミと、マッコリの杯。 / Pfc. Bo Park, 2ID PAO, US Army / Public domain / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 丸いピンデトッを、食べやすく切り分けて。 / by Junho Jung at Flickr from South Korea / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. ソウル・広蔵市場で、ピンデトッを次々に焼く。 / Rystheguy / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 積み重ねたピンデトッに、つけだれを添えて。 / CYAN / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 肉などを表面に合わせた、緑豆のチヂミ。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. 広蔵市場の売り場に並ぶ緑豆の焼き物など。 / Pfc. Bo Park, 2ID PAO, US Army / Public domain / 原典。表示時に明るさを調整。
- 13. 広蔵市場で緑豆を挽く仕事。 / Korea.net / Korean Culture and Information Service (Jeon Han) / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 14. 広蔵市場で緑豆の生地を鉄板で焼く仕事。 / Republic of Korea from Seoul, Republic of Korea / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。









