
キムチチゲ
김치찌개Aged kimchi stewed with pork or tuna
白菜キムチ、豚肉、豆腐、赤い汁。キムチチゲは熟成したキムチを煮て食べる料理だ。生で食べるキムチの酸味が、肉や汁と合わさって別のおいしさへ変わる。
キムチを具にして、
汁の味にもする。
キムチは漬けた直後からずっと同じ味ではない。熟成によって変わる味を、煮る料理に生かすのがキムチチゲの大きな特徴だ。
赤い汁の中にも、白菜の層、肉の食感、豆腐のやわらかさがある。唐辛子の辛さだけでは、この鍋の中心となる発酵の酸味を説明できない。
キムチチゲは、キムチを肉や豆腐、野菜などと煮た料理。キムチは最後の飾りではなく、具であり、汁の味を作る中心でもある。
熟成して酸味が出たキムチを使う型がよく紹介される。ただし、何か月熟成なら正解という一律の期限ではなく、使うキムチと店の仕上げに合わせた料理だ。

白菜キムチと豆腐が入った、赤い鍋。 写真の出典

豆腐を並べた、キムチチゲの盛り付け。 写真の出典
- 熟成キムチ
- 酸味や発酵の味を、汁へ生かす材料。
- 豚肉
- キムチと合わせ、汁と具に食べ応えを加える。
- 豆腐
- 肉や白菜とは違うやわらかな一口を作る。
作って、分けて、
時間とともに味を変える。
韓国にはキムジャンという、キムチを作り分かち合う文化がある。UNESCOが2013年に登録したのは、特定のキムチチゲのレシピではなく、共同で作り、受け継ぐ知識や習慣だ。
保存して食べるキムチは、時間とともに味が変わる。キムチチゲは、その熟成した味を日常の熱い料理へ生かす方法として理解できる。チゲの発明年まで、キムジャンの歴史から決めることはできない。
一つの材料を、生で食べる副菜にも、煮る料理の中心にも使う。発酵の時間を、料理の選び方へつなぐところに、この鍋の暮らしとの深い関係がある。

卓上の火で煮るキムチチゲを囲んだ食卓。 写真の出典

ご飯に合わせる、熱いキムチチゲ。 写真の出典
酸っぱくなったキムチが、
熱い鍋のおいしさになる。
熟成の酸味は、
鍋のための材料にもなる。
漬けたてのキムチと、熟成して酸味が出たキムチは、同じ野菜でも味が違う。キムチチゲは、その時間による変化を煮る料理へ生かす。キムチを副菜として生で食べるだけではない、使い方の広がりだ。
肉とキムチを炒め、汁を加える方法では、鍋の前半から二つの材料が出会う。最後にキムチを少し載せる料理とは違い、白菜の味が汁全体へ入る。豆腐やねぎは、その味を受ける具として加わる。
キムジャンは、作ることに加えて、分かち合い、知識を受け継ぐ文化としてUNESCOに登録された。家庭や地域で作ったキムチが、その後の食事の材料になる。保存の文化と毎日の鍋は、別々の場所にあるものではない。
同じ赤い汁でも、ハムなどを使うプデチゲと、キムチを中心にするキムチチゲでは組み合わせが違う。赤い色を料理名の代わりにせず、何が汁の中心を作っているかを見ると、韓国の鍋の違いが分かりやすい。

ねぎを添えた、家庭のキムチチゲ。 写真の出典
熟成した野菜を、
鍋の味の中心にする。
キムジャンは、大量に仕込むキムチと、それを人と分ける知識や習慣の文化。キムチを副菜として食べる時間と、熟成したものを煮る料理へ使う時間は異なる。保存の仕事が、後の料理の材料の選択へつながる。
キムチチゲでは、白菜の葉や茎が鍋の中へ残る。葉のやわらかい部分と厚い茎の部分では、煮たあとの形が違う。酸味のある野菜の味を汁へ入れるため、キムチは最後の飾りではなく、鍋の中心の材料になる。
発酵した野菜は、ホンオサマプで肉や魚へ合わせる食べ方もある。煮込むチゲと、切り身へ重ねる料理では、同じキムチが別の役割を持つ。発酵の歴史を一つの料理の発明年に縮めず、今の食卓の使い分けまで知ると面白い。
豚の脂と、
白い豆腐を赤い汁へ。
豚肉入りの型では、肉の脂とキムチの酸味が同じ鍋へ入る。肉を一切れずつ焼いてキムチを添えるサムギョプサルとは違い、汁の中で材料を一緒に加熱する。豚の部位や厚さは、一口の食べ応えを変える。
豆腐の白い塊は、赤い汁の中で形が見える。豆腐の量が多い一杯でも、スンドゥブチゲと同じとは限らない。主役がキムチで、豆腐を具として加える料理か、やわらかい豆腐を中心にする料理かという違いがある。
ブデチゲも、キムチと肉の材料を赤い汁で煮るが、ハムやソーセージなどの形が見える。キムチチゲの豚肉、ブデチゲの肉加工品、コンビジチゲのすり豆。赤い鍋同士を比べると、中心となる材料の違いがはっきりする。

英国ブライトンの食堂で出されたキムチチゲと飯。 写真の出典
赤い白菜になる前、
きゅうりと雉も漬けていた。
キムチの歴史は、最初から赤い白菜だけで始まったわけではない。韓国学中央研究院の解説が挙げる1670年ごろの『飲食知味方』には、冬瓜の塩漬けや、きゅうりとゆでた雉の肉を合わせて熟成させる方法が載る。その料理の説明には、現在のキムチを特徴づける唐辛子が登場しない。
野菜と動物性の材料を合わせる発想は、赤い色が広がる前からあった。唐辛子の導入と利用が進み、19世紀には現在につながるキムチの姿が整っていく。キムチチゲの赤い汁には、野菜の保存、香辛料の普及、熟成した材料を煮る調理が重なっている。
基本情報
- 国・地域
- 韓国
- 分類
- 熟成したキムチを肉や豆腐と煮て食べる鍋料理
- 主な材料
- 熟成した白菜キムチ、豚肉、豆腐、野菜
- 味の軸
- 熟成で出た発酵の酸味が中心。唐辛子の辛さだけでは説明できない
- 調理
- キムチを豚肉、豆腐、野菜などと一緒に煮て、赤い汁の鍋に仕上げる
- 食べる場面
- キムチを生で食べるのとは別の形で味わう、日常の鍋
- 型・地域差
- 酸味が出たキムチを使う型がよく紹介されるが、熟成期間の一律の決まりはなく店や家庭による
- 現地名
- 김치찌개(Kimchi-jjigae)
- 記録・注記
- キムチは最後の飾りではなく、具であり汁の味を作る中心でもある
出典
写真(13枚)
- 1. 赤いキムチのスープに、豆腐とねぎを合わせたキムチチゲ。 / by miyagawa / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 白菜キムチと豆腐が入った、赤い鍋。 / by foolishmoon2 / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. 豆腐を並べた、キムチチゲの盛り付け。 / Teemeah / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 卓上の火で煮るキムチチゲを囲んだ食卓。 / by cocoAbaen / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. ご飯に合わせる、熱いキムチチゲ。 / by avlxyz / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. 豆腐やきのこを並べた、煮始める前の鍋。 / by The Wong Family Pictures / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. ご飯や副菜とともに出す、キムチの鍋。 / Alpha / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. 金属の鍋で煮る、赤いキムチチゲ。 / pcamp / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 魚介も入れた、キムチチゲの一例。 / Alan Chan / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 豚肉とキムチを合わせた鍋。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. 大きな鍋で、具をたっぷり煮るキムチチゲ。 / travel oriented / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. ねぎを添えた、家庭のキムチチゲ。 / Daderot / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 13. 英国ブライトンの食堂で出されたキムチチゲと飯。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
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