
テンジャンチゲ
된장찌개Soybean-paste stew with tofu, zucchini and mushrooms
豆腐、きのこ、ズッキーニ、貝などを、テンジャンの汁で煮る。日本のみそ汁に似て見えることもあるが、具や濃さ、食卓での役割を知ると、韓国の発酵みその鍋としての個性が見える。
みそを溶くだけでなく、
具を煮る料理。
テンジャンチゲは、肉を大きく盛らなくても、豆の発酵した味と具で食事を支える。小さな土鍋がご飯や多くの副菜の隣に置かれる姿は、韓国の日常の食卓をよく表している。
汁の色は黄色み、褐色、赤みのあるものまで幅がある。テンジャンだけでなく、加える薬味と具、濃さが鍋の姿を変える。
テンジャンチゲは、発酵大豆みそのテンジャンに、豆腐、野菜、きのこ、貝などを合わせた鍋。テンジャンの香りと塩味に、具から出る味が重なる。
辛い調味料を加える例もあり、見た目が必ず同じ褐色になるわけではない。小皿の副菜とご飯が並ぶ食卓で、汁と具を担う一品として親しまれる。

赤みのあるテンジャンチゲ。色は調味料や具で変わる。 写真の出典

ビビンバと、小さな鍋のテンジャンチゲ。 写真の出典
- テンジャン
- 発酵大豆みそが汁の味の基礎になる。
- 豆腐と野菜
- みその味を受け、具としての歯触りを作る。
- 小さな鍋
- ご飯と副菜に添える、熱い一品の形。
古い発酵の文化が、
日常の鍋を支える。
韓食振興院は、豆を発酵させる調味料の長い歴史と、後の料理書に現れる煮込み料理を分けて説明する。19世紀末の『是議全書』の「ジョチ」などは、チゲを考える手掛かりになる。
古くからテンジャンがあったことと、現在の豆腐入り土鍋のレシピが同じ時代に成立したことは別だ。調味料の文化を受け継ぎながら、鍋に使う具は暮らしに合わせて変わってきた。
2024年にUNESCOが登録したのは、ジャン作りに関わる知識、信念、習慣。家庭ごとに受け継ぐ発酵や熟成の仕事が、テンジャンチゲの味の土台にもなる。

多くの副菜と、テンジャンチゲが並ぶ食卓。 写真の出典

ご飯と一緒に出す、煮立ったテンジャンの鍋。 写真の出典
発酵みそと具を、
一つの鍋でなじませる。
テンジャンを汁に合わせ、野菜、豆腐、きのこや貝などを煮る。具が違えば、水分の出方と食感が変わり、みそだけでは決まらない鍋の味になる。
ズッキーニのやわらかさ、きのこの歯触り、豆腐の口当たりはそれぞれ違う。多くの具がある型でも、全部を同じ大きさの塊として見るのではなく、役割の違いを知りたい。
コチュジャンや唐辛子の粉を合わせるレシピもあり、赤い鍋を見てもキムチチゲと決めつけられない。味の中心がテンジャンなのか、キムチなのかが料理を分ける。

きのこや豆腐がよく見えるテンジャンチゲ。 写真の出典

蒸したかぼちゃの葉などと、テンジャンの鍋を合わせた食卓。 写真の出典
発酵した豆の味を、
小さな鍋いっぱいに。
家庭のジャンが、
季節の野菜に出会う。
テンジャンは鍋のためだけの調味料ではなく、野菜や肉などにも合わせられる発酵みそ。家庭ごとに受け継ぐジャンの作り方があり、同じ料理名でも味の土台が一つとは限らない。
ジャン作りの文化には、豆を準備し、発酵、熟成、保存を行う知識が含まれる。テンジャンチゲは短い時間で食卓へ出る一品に見えても、その前に調味料の長い時間がある。
春の野草、きのこ、豆腐、貝。具はその日に鍋へ入るが、みそは先に作られている。長く育てた調味料と、季節の新しい材料を合わせるところに、この料理の魅力がある。
濃く仕上げる型は包み野菜やご飯へ少量ずつ合わせ、汁のある型は具とともに匙で取る。みその味をどれだけ水分へ広げるかで、食卓での使い方まで変わる。濃さは、単なる味の強弱以上の違いなのである。

煮立ったスープと、白いご飯。 写真の出典
メジュを仕込み、
二つの調味料へ。
韓国のジャン作りには、大豆からメジュを作り、塩水などを使って発酵と熟成を進める仕事がある。発酵した液と固形の材料を扱うことで、しょうゆとみその文化につながる。家庭の鍋の味は、先に行われた豆の加工の時間を受け取っている。
ユネスコの登録は、特定の一杯の具の配合ではなく、家族や共同体で受け継ぐ知識、信念、実践を対象にする。日々のテンジャンチゲの後ろに、材料を仕込み、状態を見て、分けて使う長い仕事がある。
短い期間で豆を発酵させるチョングッチャンと比べると、熟成の時間と豆の形が違う。どちらも大豆の調味料だが、同じみその名前の言い換えではない。粒のある豆の鍋と、みそを汁へ溶く鍋を分けて知ると、発酵の幅が見える。
豆腐、野菜、貝。
茶色い汁に別々の食感。
テンジャンチゲの写真には、豆腐、じゃがいも、ズッキーニ、きのこなどの具が見える。アサリなどを加える型もあり、みその材料が植物でも、全ての鍋が肉や魚介を使わないとは限らない。汁の色より、具の中身を知ることが大切になる。
麦飯と合わせるテンジャンの食事では、飯の粒と野菜、鍋の味が同じ食卓へ並ぶ。みその汁だけを飲む料理ではなく、主食とおかずを組み合わせる食事の中にある。別皿の野菜を合わせる方法も、鍋に入れる具とは違う役割を持つ。
キムチチゲは発酵した白菜が主役で、テンジャンチゲは発酵した豆の調味料が味の中心。似た土鍋の姿でも、発酵させる材料が違う。韓国のチゲを赤いか茶色いかだけでなく、どの保存食を料理へ使うかから知ると、歴史と一杯が結びつく。

テンジャンチゲと、いくつもの小皿を並べた食卓。 写真の出典
豆の調味料を、
贈り物として運んだ時代。
『三国史記』には、683年、新羅の神文王の婚礼の品にジャンとシが含まれた記録がある。これを現在のテンジャンチゲと同じ料理とは呼べないが、豆を加工した調味料が重要な贈り物だったことは分かる。高麗時代には、飢饉の救済に塩とジャンを配った記録も残る。
ジャン作りには、前年のしょうゆを次の仕込みへ生かすシガンジャンや、年を重ねて仕込むキョプジャンの習慣もある。年ごとの仕込みを孤立させず、前の味を次へつなぐ考え方だ。小さなチゲ鍋に入るみその味の奥には、豆の収穫だけでなく、家の仕込みを重ねた時間がある。
基本情報
- 国・地域
- 韓国。日常の食卓に置かれる鍋
- 分類
- 発酵大豆みそのテンジャンで豆腐や野菜を煮る小さな鍋
- 主な材料
- テンジャン、豆腐、ズッキーニ、きのこ、貝、薬味
- 味の軸
- テンジャンの香りと塩味に具の味が重なる。辛い調味料を加える例もある
- 調理
- みそを溶くだけでなく、豆腐、野菜、きのこ、貝を小さな土鍋で煮る
- 食べる場面
- ご飯と多くの副菜の隣に置き、汁と具を担う一品。肉を大きく盛らなくても食事を支える
- 型・地域差
- 汁の色は黄色みから褐色、赤みまで幅があり、薬味と具、濃さで鍋の姿が変わる
- 現地名
- 된장찌개(Doenjang-jjigae)
- 記録・注記
- 日本のみそ汁に似て見えるが、具や濃さ、食卓での役割が異なる
出典
写真(13枚)
- 1. 豆腐やきのこを合わせた、発酵大豆みそのテンジャンチゲ。 / jyleen21 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 2. 赤みのあるテンジャンチゲ。色は調味料や具で変わる。 / User ZenKimchi on en.wikipedia / CC BY-SA 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 3. ビビンバと、小さな鍋のテンジャンチゲ。 / by LWY at flickr / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 4. 多くの副菜と、テンジャンチゲが並ぶ食卓。 / by magicinprogress at Flickr / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 5. ご飯と一緒に出す、煮立ったテンジャンの鍋。 / Alpha / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 6. きのこや豆腐がよく見えるテンジャンチゲ。 / Koralex90 / CC BY 3.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 7. 蒸したかぼちゃの葉などと、テンジャンの鍋を合わせた食卓。 / 백합이 / CC BY 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 8. ねぎや唐辛子を合わせた、橙色のスープ。 / 이동원 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 9. 濃い色に仕上がった、具だくさんのテンジャンの鍋。 / 이동원 / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 10. 炭火の焼き台にのせた、小さなみその鍋。 / lazy fri13th / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 11. ご飯と漬物などを添えたテンジャンチゲ。 / bryan… from Taipei, Taiwan / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 12. 煮立ったスープと、白いご飯。 / Suohros / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
- 13. テンジャンチゲと、いくつもの小皿を並べた食卓。 / egg (Hong, Yun Seon) / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
写真は各原典で作者とライセンスを確認したものです。すべてサイト内に取り込み、本文では明るさ・彩度を控えめに補正して表示します。






