赤いキムチのスープに、豆腐とねぎを合わせたキムチチゲ。
韓国熟成キムチの鍋

キムチチゲ

김치찌개Aged kimchi stewed with pork or tuna

白菜キムチ、豚肉、豆腐、赤い汁。キムチチゲは熟成したキムチを煮て食べる料理だ。生で食べるキムチの酸味が、肉や汁と合わさって別のおいしさへ変わる。

どんな料理?
01

キムチを具にして、
汁の味にもする。

キムチは漬けた直後からずっと同じ味ではない。熟成によって変わる味を、煮る料理に生かすのがキムチチゲの大きな特徴だ。

赤い汁の中にも、白菜の層、肉の食感、豆腐のやわらかさがある。唐辛子の辛さだけでは、この鍋の中心となる発酵の酸味を説明できない。

キムチチゲは、キムチを肉や豆腐、野菜などと煮た料理。キムチは最後の飾りではなく、具であり、汁の味を作る中心でもある。

熟成して酸味が出たキムチを使う型がよく紹介される。ただし、何か月熟成なら正解という一律の期限ではなく、使うキムチと店の仕上げに合わせた料理だ。

白菜キムチと豆腐が入った、赤い鍋。

白菜キムチと豆腐が入った、赤い鍋。 写真の出典

豆腐を並べた、キムチチゲの盛り付け。

豆腐を並べた、キムチチゲの盛り付け。 写真の出典

熟成キムチ
酸味や発酵の味を、汁へ生かす材料。
豚肉
キムチと合わせ、汁と具に食べ応えを加える。
豆腐
肉や白菜とは違うやわらかな一口を作る。
発酵と暮らし
02

作って、分けて、
時間とともに味を変える。

韓国にはキムジャンという、キムチを作り分かち合う文化がある。UNESCOが2013年に登録したのは、特定のキムチチゲのレシピではなく、共同で作り、受け継ぐ知識や習慣だ。

保存して食べるキムチは、時間とともに味が変わる。キムチチゲは、その熟成した味を日常の熱い料理へ生かす方法として理解できる。チゲの発明年まで、キムジャンの歴史から決めることはできない。

一つの材料を、生で食べる副菜にも、煮る料理の中心にも使う。発酵の時間を、料理の選び方へつなぐところに、この鍋の暮らしとの深い関係がある。

卓上の火で煮るキムチチゲを囲んだ食卓。

卓上の火で煮るキムチチゲを囲んだ食卓。 写真の出典

ご飯に合わせる、熱いキムチチゲ。

ご飯に合わせる、熱いキムチチゲ。 写真の出典

煮る前の仕事
03

豚肉とキムチを炒め、
その味を汁へ。

韓国観光公社の紹介では、豚肉とキムチをごま油やえごま油などで炒めてから、水分、玉ねぎ、豆腐を加えて煮る方法が説明される。最初からすべてを水へ入れるだけの話ではない。

肉とキムチを先に合わせることで、その味が後の汁へつながる。豆腐は白菜や肉とは違う食感を加え、ねぎなどの香りが鍋を仕上げる。

キムチチムは、キムチなどを汁少なめに煮る別の料理。チゲは汁と具を食べる鍋として見れば、同じキムチを使う煮物でも違いが分かりやすい。

豆腐やきのこを並べた、煮始める前の鍋。

豆腐やきのこを並べた、煮始める前の鍋。 写真の出典

ご飯や副菜とともに出す、キムチの鍋。

ご飯や副菜とともに出す、キムチの鍋。 写真の出典

酸っぱくなったキムチが、
熱い鍋のおいしさになる。

具と店の違い
04

豚肉の一杯、
魚介を合わせる一杯。

豚肉入りは代表的な型だが、ツナを使うキムチチゲなども知られる。写真では魚介を加えた鍋もあり、肉や魚の種類で食べ応えと汁の印象が変わる。

豆腐をきれいに並べる型も、白菜と肉を前に出す型もある。盛り付けの違いはあっても、キムチが汁と具の中心にある点は共通する。

辛味が強いものと、キムチの酸味が目立つものでも方向は変わる。単に赤い色の濃さを比べるより、何をキムチへ合わせたかが店の個性になる。

金属の鍋で煮る、赤いキムチチゲ。

金属の鍋で煮る、赤いキムチチゲ。 写真の出典

魚介も入れた、キムチチゲの一例。

魚介も入れた、キムチチゲの一例。 写真の出典

ご飯と合わせる
05

赤い鍋の隣に、
白いご飯と卵焼き。

キムチチゲは、ご飯と一緒に食べる料理として身近だ。汁を含んだ白菜、肉、豆腐を取り、ご飯と交互に味わうと、辛味や酸味のある鍋が一食にまとまる。

韓国観光公社は、卵焼きとの取り合わせも紹介する。赤い鍋の強い味と、黄色い卵のやわらかな一口は、見た目だけでなく食べ進める上でも違いを作る。

生のキムチで感じる発酵の酸味が、煮ることで肉や汁と合わさる。慣れ親しんだ副菜を、別の料理へ変える工夫が詰まった鍋なのだ。

豚肉とキムチを合わせた鍋。

豚肉とキムチを合わせた鍋。 写真の出典

大きな鍋で、具をたっぷり煮るキムチチゲ。

大きな鍋で、具をたっぷり煮るキムチチゲ。 写真の出典

キムチの時間
06

熟成の酸味は、
鍋のための材料にもなる。

漬けたてのキムチと、熟成して酸味が出たキムチは、同じ野菜でも味が違う。キムチチゲは、その時間による変化を煮る料理へ生かす。キムチを副菜として生で食べるだけではない、使い方の広がりだ。

肉とキムチを炒め、汁を加える方法では、鍋の前半から二つの材料が出会う。最後にキムチを少し載せる料理とは違い、白菜の味が汁全体へ入る。豆腐やねぎは、その味を受ける具として加わる。

キムジャンは、作ることに加えて、分かち合い、知識を受け継ぐ文化としてUNESCOに登録された。家庭や地域で作ったキムチが、その後の食事の材料になる。保存の文化と毎日の鍋は、別々の場所にあるものではない。

同じ赤い汁でも、ハムなどを使うプデチゲと、キムチを中心にするキムチチゲでは組み合わせが違う。赤い色を料理名の代わりにせず、何が汁の中心を作っているかを見ると、韓国の鍋の違いが分かりやすい。

ねぎを添えた、家庭のキムチチゲ。

ねぎを添えた、家庭のキムチチゲ。 写真の出典

発酵から加熱へ
07

熟成した野菜を、
鍋の味の中心にする。

キムジャンは、大量に仕込むキムチと、それを人と分ける知識や習慣の文化。キムチを副菜として食べる時間と、熟成したものを煮る料理へ使う時間は異なる。保存の仕事が、後の料理の材料の選択へつながる。

キムチチゲでは、白菜の葉や茎が鍋の中へ残る。葉のやわらかい部分と厚い茎の部分では、煮たあとの形が違う。酸味のある野菜の味を汁へ入れるため、キムチは最後の飾りではなく、鍋の中心の材料になる。

発酵した野菜は、ホンオサマプで肉や魚へ合わせる食べ方もある。煮込むチゲと、切り身へ重ねる料理では、同じキムチが別の役割を持つ。発酵の歴史を一つの料理の発明年に縮めず、今の食卓の使い分けまで知ると面白い。

肉と豆腐の位置
08

豚の脂と、
白い豆腐を赤い汁へ。

豚肉入りの型では、肉の脂とキムチの酸味が同じ鍋へ入る。肉を一切れずつ焼いてキムチを添えるサムギョプサルとは違い、汁の中で材料を一緒に加熱する。豚の部位や厚さは、一口の食べ応えを変える。

豆腐の白い塊は、赤い汁の中で形が見える。豆腐の量が多い一杯でも、スンドゥブチゲと同じとは限らない。主役がキムチで、豆腐を具として加える料理か、やわらかい豆腐を中心にする料理かという違いがある。

ブデチゲも、キムチと肉の材料を赤い汁で煮るが、ハムやソーセージなどの形が見える。キムチチゲの豚肉、ブデチゲの肉加工品、コンビジチゲのすり豆。赤い鍋同士を比べると、中心となる材料の違いがはっきりする。

英国ブライトンの食堂で出されたキムチチゲと飯。

英国ブライトンの食堂で出されたキムチチゲと飯。 写真の出典

キムチの色が変わるまで
09

赤い白菜になる前、
きゅうりと雉も漬けていた。

キムチの歴史は、最初から赤い白菜だけで始まったわけではない。韓国学中央研究院の解説が挙げる1670年ごろの『飲食知味方』には、冬瓜の塩漬けや、きゅうりとゆでた雉の肉を合わせて熟成させる方法が載る。その料理の説明には、現在のキムチを特徴づける唐辛子が登場しない。

野菜と動物性の材料を合わせる発想は、赤い色が広がる前からあった。唐辛子の導入と利用が進み、19世紀には現在につながるキムチの姿が整っていく。キムチチゲの赤い汁には、野菜の保存、香辛料の普及、熟成した材料を煮る調理が重なっている。

家庭料理

Kimchi-jjigaeキムチチゲ

김치찌개

熟成して酸味が出たキムチを豚肉や豆腐と煮る。キムチが具であり汁の味の中心。

味噌の鍋

Doenjang-jjigaeテンジャンチゲ

된장찌개

発酵した大豆の味噌で汁を作る鍋。キムチの酸味ではなく味噌の味が中心になる。

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豆腐の鍋

Sundubu-jjigaeスンドゥブチゲ

순두부찌개

やわらかい豆腐を主役にした辛い鍋。同じ赤い汁でも中心の具が違う。

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おからの鍋

Kongbiji Jjigaeコンビジチゲ

콩비지찌개

粗く挽いた大豆にキムチと豚肉を合わせる鍋。キムチが脇へ回り、大豆が主役になる。

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基本情報

国・地域
韓国
分類
熟成したキムチを肉や豆腐と煮て食べる鍋料理
主な材料
熟成した白菜キムチ、豚肉、豆腐、野菜
味の軸
熟成で出た発酵の酸味が中心。唐辛子の辛さだけでは説明できない
調理
キムチを豚肉、豆腐、野菜などと一緒に煮て、赤い汁の鍋に仕上げる
食べる場面
キムチを生で食べるのとは別の形で味わう、日常の鍋
型・地域差
酸味が出たキムチを使う型がよく紹介されるが、熟成期間の一律の決まりはなく店や家庭による
現地名
김치찌개(Kimchi-jjigae)
記録・注記
キムチは最後の飾りではなく、具であり汁の味を作る中心でもある

出典

写真(13枚)

  • 1. 赤いキムチのスープに、豆腐とねぎを合わせたキムチチゲ。 / by miyagawa / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 2. 白菜キムチと豆腐が入った、赤い鍋。 / by foolishmoon2 / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 3. 豆腐を並べた、キムチチゲの盛り付け。 / Teemeah / CC BY-SA 4.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 4. 卓上の火で煮るキムチチゲを囲んだ食卓。 / by cocoAbaen / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 5. ご飯に合わせる、熱いキムチチゲ。 / by avlxyz / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 6. 豆腐やきのこを並べた、煮始める前の鍋。 / by The Wong Family Pictures / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 7. ご飯や副菜とともに出す、キムチの鍋。 / Alpha / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 8. 金属の鍋で煮る、赤いキムチチゲ。 / pcamp / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 9. 魚介も入れた、キムチチゲの一例。 / Alan Chan / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 10. 豚肉とキムチを合わせた鍋。 / chomjong / CC BY 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 11. 大きな鍋で、具をたっぷり煮るキムチチゲ。 / travel oriented / CC BY-SA 2.0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 12. ねぎを添えた、家庭のキムチチゲ。 / Daderot / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。
  • 13. 英国ブライトンの食堂で出されたキムチチゲと飯。 / Andy Li / CC0 / 原典。表示時に明るさを調整。

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