
アナナ・ヴィクトリア
Ananas Victoria
世界でただひとつ、ラベル・ルージュのパイナップル
市場のパイナップルを見て、まず驚くのは小ささだ。スーパーで見慣れたものの半分もない。葉の冠をつけたまま、片手で持てる。これがアナナ・ヴィクトリア(ananas Victoria)。レユニオンとモーリシャスで栽培されている品種で、島でいちばん有名な果物のひとつだ。
小さいぶん、味は詰まっている。酸が少なく、甘みがはっきりしていて、香りが強い。「特に果実味が濃く甘い味で、世界一と言われている」と地元の媒体は書く。芯までやわらかいので、そのまま食べられる。
レユニオン産のヴィクトリアには、2006年からラベル・ルージュ(Label Rouge)が付いている。フランスの品質認証で、これを持つパイナップルは世界でこれだけだとされている。同じヴィクトリアでも、モーリシャス産やほかの産地のものと区別できる根拠がここにある。
栽培は島の東側と北側の畑が中心だ。サント・アンヌのあたりでは、道路脇からパイナップルの列が続いているのが見える。地面すれすれに生える背の低い植物で、1株から実がひとつだけ育つ。
食べ方は、切ってそのままがいちばん多い。ホテルの朝食にも、市場の店先にも、切り分けたものが並んでいる。ジャムやシャーベット、ロム・アランジェの材料にもなる。
1個を見る

市場の売り台に並ぶところ葉つきのアナナ・ヴィクトリア2個。大きさは手のひらほど(2005年撮影)
一口目
味
酸が少なく、甘みが立つ
口に入れてすぐ甘い。舌を刺すような酸がほとんどない。だから食べたあとに口の中がひりつかない。地元の媒体では「特に果実味が濃く甘い」と表現されている。
香り
切った瞬間に立つ
包丁を入れると香りが広がる。パイナップル特有の甘い香りが、小さい実に凝縮されている。市場で切り売りしている店の前を通ると、香りで分かる。
食べ方
芯ごと切るだけ
芯までやわらかいので、輪切りにしてそのまま食べられる。皮をむいて、切って、終わり。朝食にも、食後にも、暑い日のおやつにも。

畑から皿まで
1島じゅうの市場で見かける。葉の冠をつけたまま積まれていることが多い。切り売りしている店もある。
葉がしなびていないものが新しい目が黄色く色づき、持つとずしりと重いものを選ぶ。押してわずかに弾力があればよい。根元の香りを嗅ぐと熟し具合が分かる。
青いままだと酸が強い
3葉を落とし、皮をむいて輪切りにする。芯はやわらかいので抜かなくていい。ここが大きなパイナップルとの違い。
芯まで食べられるので歩留まりがいいホテルの朝食にも、食堂のデザートにも、切ったものが出てくる。市場では紙の器に入れて売っている。
暑い日にいちばんおいしいジャム、シャーベット、ロム・アランジェの漬け込み材料。カリに入れる家もある。
漬け込むと瓶の色が黄色く濁るこの果物の来歴
南アメリカから
パイナップルは南アメリカ原産。大航海時代以降、世界の熱帯に広がった。
レユニオンとモーリシャスで栽培される
ヴィクトリアという品種が、この2つの島で育てられるようになる。
島の代表的な果物に
小さく、甘く、酸の少ない実が島の市場の定番になる。ホテルの朝食にも欠かせない果物になった。
ラベル・ルージュ取得
レユニオン産のヴィクトリアがフランスの品質認証ラベル・ルージュを取得する。この認証を持つパイナップルは世界でこれだけとされる。
産地の競争のなかで
南アフリカ、モーリシャス、マダガスカルなどの産地と競合するなか、レユニオン産は品質で差をつける形になっている。
小さい果物のほうがおいしい、という話はよく聞く。ヴィクトリアはその代表例だ。一般的なパイナップルの半分ほどの大きさで、そのぶん味が濃い。酸が少なく、甘みがはっきりしていて、芯までやわらかい。皮をむいて輪切りにすれば、捨てるところはほとんどない。
2006年に取得したラベル・ルージュは、フランスの品質認証だ。「世界でこの認証を持つパイナップルはこれだけ」という言い方が地元でされている。同じヴィクトリアという品種でも、モーリシャス産やほかの産地のものと区別できる根拠になっている。旅行者が市場で選ぶときも、この表示があれば島産だと分かる。
栽培は島の東側と北側が中心で、サント・アンヌのあたりでは道路脇からパイナップルの列が続いているのが見える。パイナップルは背の低い植物で、地面すれすれにとげのある葉を広げ、その中央から実がひとつだけ育つ。1株から1個。畑を見ると、この果物が手間のかかるものだと分かる。
旅行者にとっては、いちばん買いやすい島の味かもしれない。安く、市場のどこにでもあり、切ればすぐ食べられる。ホテルの部屋でも食べられる。バニラやコーヒーのように「高価な島の産品」ではないが、島にいる間に毎日食べても飽きない。
持ち帰りについては、生の果物には国ごとの持ち込み制限があるので確認が要る。土産にするならジャムやシャーベット、あるいはヴィクトリアを漬け込んだロム・アランジェのほうが確実だ。
「世界一おいしい」「世界で唯一のラベル・ルージュ取得パイナップル」は地元媒体の表現をもとにしている。生の果物の持ち帰りには国ごとの制限があるので、必ず確認すること。
この果物の余話
世界でただひとつ、ラベル・ルージュのパイナップル
ラベル・ルージュはフランスの品質認証で、味と生産方法の両方を見る。レユニオン産のアナナ・ヴィクトリアは2006年にこれを取得していて、地元では「この認証を持つパイナップルは世界でこれだけ」と説明されている。同じヴィクトリアという品種はモーリシャスでも作られているので、市場で「これは島のものか」と迷ったときは、この表示が判断の手がかりになる。パイナップルに認証があるという発想自体が、少し珍しい。
1株から、実はひとつだけ
パイナップルは木になる果物ではない。地面すれすれにとげのある葉を広げる背の低い植物で、その中央から実がひとつだけ育つ。だから畑を見ると、緑の葉のかたまりが延々と並んでいて、そこにぽつぽつと実が乗っている。サント・アンヌのあたりでは道路脇からこの光景が続く。1株1個という効率の悪さが、この果物の値段の理由でもある。
芯を抜かなくていい
大きなパイナップルは中心の芯が硬くて筋張っているので、切り落とすのが普通だ。ヴィクトリアは芯までやわらかいので、輪切りにしてそのまま食べられる。皮をむいて、切って、終わり。捨てる部分がほとんど出ない。小さいのに歩留まりがいいので、実際に食べられる量は見た目ほど少なくない。ホテルの部屋で食べるにも向いている。
短い話
- 1大きさは半分ほど一般的なパイナップルの半分くらい。片手で持てる。
- 2酸が少ない食べたあとに口の中がひりつかない。子どもでも食べやすい。
- 3葉の冠を見るしなびていないものが新しい。目が黄色く色づいていれば熟している。
- 4ラベル・ルージュは2006年から島産かどうかの手がかりになる。
- 5ロム・アランジェにも入る漬け込むと瓶の色が黄色く濁る。棚で見分けやすい瓶のひとつ。
- 6生の持ち帰りは要確認果物には国ごとの持ち込み制限がある。土産ならジャムやシャーベットが確実。

食べに行く前に
注文のことば
島じゅうの市場、露天市、スーパー。切り売りしている店もある。サント・アンヌなど東側を車で走ると、道路脇にパイナップル畑が見える。
値段と覚え書き
| 1個(市場) | 2〜4€約350〜700円 |
| 切り売り(1パック) | 3〜5€約500〜900円 |
| ジャム1瓶 | 5〜9€約900〜1,600円 |
- 小さいが味は濃い。酸が少なく甘みが立つ
- 芯までやわらかいので抜かなくていい
- ラベル・ルージュの表示があればレユニオン産
- 葉の冠がしなびていないものを選ぶ
- ホテルの朝食にも必ず出てくる
- 生の果物の持ち帰りは国ごとの制限を確認
値段は2026年9月時点の目安。1€=約175円で換算。営業時間・価格は変わることがあるので、行く前に確認を。
参照資料
- Réunionnais du Monde「Ananas Victoria : à quelle origine se fier ?」 2006年のラベル・ルージュ取得、世界で唯一この認証を持つパイナップルとされること、味の評価、他産地との比較
- Wikipédia(fr)「Ananas Victoria」 レユニオンとモーリシャスで栽培される品種であること
写真の出典(11枚)
写真は原典のライセンス(CC BY/CC BY-SA/CC0)に従って掲載しています。作者名・ライセンス・原典リンクを1枚ずつ表示しています。明るさ・彩度・コントラストを調整した写真には、その旨を併記しています。
- サント・アンヌのパイナップル畑|regulator974/CC BY-SA 3.0/2013年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 葉つきのアナナ・ヴィクトリア(小ぶりのパイナップル)2個|David Monniaux/CC BY-SA 3.0/2005年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 小ぶりなアナナ・ヴィクトリアが並ぶ市場の売り台|David Monniaux/CC BY-SA 3.0/2007年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 赤いテントの下に花や野菜が並ぶサン・ピエールの露天市|Guallendra/CC0 1.0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 「oranges pays 1€ kg」の札を立てたオレンジの山|Sarah Duprat1/CC BY-SA 4.0/2019年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 市場の台に山と積まれたシュシュ(ハヤトウリ)と切ったパパイヤ|Guallendra/CC0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 露天市の葉物野菜と唐辛子、レモンの売り台|Guallendra/CC0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- パラソルが並び買い物客であふれるサン・ピエールの露天市|Guallendra/CC0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- サン・ピエールの屋根付き市場の外観|Thierry Caro/CC BY-SA 4.0/2011年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- サン・ドニの小市場(プティ・マルシェ)の入口|Olaf2/CC BY-SA 4.0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
- 緑と黄色の小ぶりなバナナの房|David Monniaux/CC BY-SA 3.0/2005年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)


