畑で下がっているババフィグ(バナナの花)
レユニオン / フランス海外県

ババフィグ

Baba figue

バナナの花を、野菜として煮込む

RÉUNION25
実の先に、これがぶら下がっている。

バナナ畑を歩くと、実の房の先に、濃い赤紫色をした大きな涙のかたちのものがぶら下がっている。バナナの花だ。レユニオン島ではこれをババフィグ(baba figue)と呼び、野菜として食べる。

市場では赤紫の塊のまま売られていて、初めて見た人にはどこを食べるのかまず分からない。家庭ではたいていカリ(黄色い煮込み)にする。

旅行者が食堂で出会う確率は、カリ・プレやルガイユ・ソシスほど高くない。見かけたら頼んでみたい、この島らしい一皿だ。

バナナの花の芯一皿 10〜16€(約1,800〜2,800円)家庭のカリ

30秒でわかる、この料理

なにか
バナナの花の、苞をはがした中心を煮込む家庭料理
味と食感
淡く、かすかに渋い。繊維が残って、煮ても崩れない
名前
クレオール語で figue(フィグ)はバナナ。フランス語のイチジク(figue)とは別もの
定番
燻製豚ブカネと炊いた「カリ・ババフィグ・ブカネ」
どこで・いくら
家庭料理を出す食堂やバナナ産地の店。一皿10〜16€(約1,800〜2,800円)
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花を見る

開きかけたバナナの花のアップ
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緑と黄色の小ぶりなバナナの房同じ株にできる実

開きかけたバナナの花のアップ(2005年撮影)

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外側の苞les bractées濃い赤紫の硬い葉。一枚ずつはがしていく。ここは食べない
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小さな花les fleurs苞の内側に並ぶ細い花。かき出して落とす
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淡い色の芯le cœurはがしていくと出てくる柔らかい部分。ここを切って料理に使う
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実の先にぶら下がるau bout du régimeバナナの房の先端。畑では下向きに垂れている
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一口目

味

淡く、わずかに渋みが残る

ほとんど主張しない野菜で、かすかな渋みが後ろにある。そのぶん、ターメリックとクミンの香り、トマトの酸、燻製肉の塩気がそのまま前に出る。

食感

繊維が残って、崩れない

煮ても完全には崩れず、フォークで持ち上げられる程度に形が残る。噛むと繊維に沿って裂ける。竹の子とアーティチョークの中間のような歯ざわり。

合わせるもの

ブカネと一緒が定番

燻製豚と炊き合わせる「カリ・ババフィグ・ブカネ」が島の定番。肉なしでも、白飯と豆を添えれば一皿として成立する。

ブラ・ド・ラ・プレーヌ渓谷の斜面を埋めるバナナ畑
ブラ・ド・ラ・プレーヌ渓谷の斜面を埋めるバナナ畑(2019年撮影)
市場の台に山と積まれたシュシュ(ハヤトウリ)と切ったパパイヤ
市場の台に並ぶ野菜。ババフィグもこうした売り場に出る(2016年撮影)
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作り方

露天市の葉物野菜と唐辛子、レモンの売り台1
市場で買う

バナナ畑のある地域の市場に、赤紫の花のまま並んでいる。1個が手のひらより大きい。

畑を持っている家では自分で切ってくる
2苞をはがす

外側の硬い赤紫の苞を一枚ずつはがし、内側に並ぶ細い花をかき出して落とす。中心の淡い色の柔らかい部分だけを残す。

手が黒くなるので、気になるなら手袋を
3切って、水にさらす

2〜3センチに切る。切ると変色しやすいので、レモン水や塩水にさらしておく家が多い。

渋みも少し抜ける
赤いテントの下に花や野菜が並ぶサン・ピエールの露天市4
香辛料で炒める

玉ねぎ、にんにく、生姜を炒め、ターメリックとクミンを加える。トマトを入れて煮汁を作る。

カリの基本と同じ手順
サン・ドニの小市場(プティ・マルシェ)の入口5
煮込む

切ったババフィグを入れて煮る。ブカネを一緒に炊くのが島の定番。柔らかくなっても形が残る程度で止める。

白飯と豆を添えて出す
ババフィグ(バナナの花)ブカネ(燻製豚・好みで)玉ねぎにんにく生姜トマトターメリッククミンレモン(下処理用)塩・こしょう
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なぜ、この島で食べられているか

畑

バナナは島じゅうにある

ブラ・ド・ラ・プレーヌ渓谷など、島の斜面にバナナ畑が広がる。実だけでなく花も食材として使われてきた。

料理

カリとアシャール

黄色い煮込みのカリにするのが基本。酢漬けのアシャールにする作り方もある。

現在

市場に並ぶ

バナナ畑のある地域の市場に、花のまま並ぶ。家庭料理としてよく作られる。

花の芯は、取れる量が見た目よりずっと少ない。手のひらより大きな塊から、使えるのは中心の一部だけだ。だから畑を持っている家か、市場で安く手に入る土地でないと、日常の料理にはなりにくい。バナナ畑が身近なこの島は、その条件がそろっている。

もうひとつの理由は、島の料理の型にぴったり収まることだ。この島には味の淡い食材が多い。シュシュも、シュー・ド・ヴァコアも、そしてババフィグも。そういう素材に対して、島の料理は決まった答えを持っている。ターメリックとクミンで香りをつけ、トマトで酸を足し、ブカネ(燻製豚)を一緒に炊く。淡いものと濃いものを組み合わせる型が、何度も繰り返し出てくる。

サン・ピエールの屋根付き市場の外観
サン・ピエールの屋根付き市場(2011年撮影)
パラソルが並び買い物客であふれるサン・ピエールの露天市
パラソルが並ぶサン・ピエールの露天市(2011年撮影)

下処理(苞をはがす・花をかき出す・水にさらす)と調理の手順は、島で一般的に語られている作り方をもとにしている。配合や煮込み時間は家庭・店によって幅がある。

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世界のバナナの花料理と比べる

バナナの花を野菜として食べるのは、この島だけではない。南アジアと東南アジアでも広く食べられていて、味はアーティチョークに似ると言われる。ここでは、写真の島の食べ方と、ほかの土地の食べ方を並べてみる。

レユニオン島

カリ・ババフィグ

cari baba figue

ターメリックとクミン、トマトで煮込むカリにする。燻製した豚肉と炊き合わせて、淡い花に塩気と香りを移す。

フィリピン

カレカレ

kare-kare

落花生のとろりとしたソースで、牛テールなどを煮込む料理。具の野菜のひとつが、若いバナナの花(puso ng saging)だ。

フィリピン

ギナターン・プソ・ン・サギン

ginataang puso ng saging

ギナターンは「ココナッツミルクで煮たもの」を指す呼び名。バナナの花をココナッツミルクで煮る。

フィリピン

キラウィン・ナ・プソ・ン・サギン

kilawin na puso ng saging

キラウィンは酢で和える料理の呼び名。バナナの花を酢で和えて、さっぱりと食べる。

ベトナム

ラウ・ソン

rau sống

料理に添える生野菜の盛り合わせ。レタスや香草と一緒に、細く削いだバナナの花が入る。

煮込む(レユニオン、カレカレ)、ココナッツミルクで煮る、酢で和える、生のまま添える。同じ花でも、土地によって火の入れ方がこれだけ違う。燻製肉と組み合わせるのは、ここに挙げた中ではレユニオンだけだ。

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食べに行く前に

注文のことば

Vous avez du cari baba figue ?ヴ・ザヴェ・デュ・カリ・ババ・フィグ?/カリ・ババフィグはありますか?
C'est avec du boucané ?セ・タヴェック・デュ・ブカネ?/ブカネと一緒ですか?
C'est la fleur de bananier ?セ・ラ・フルール・ドゥ・バナニエ?/バナナの花ですか?
C'est sans viande ?セ・サン・ヴィアンド?/肉なしですか?
Avec du riz et des grains.アヴェック・デュ・リ・エ・デ・グラン/ご飯と豆を添えて

バナナ畑のある地域の市場に、花のまま並んでいる。食堂では、家庭料理を出す店やバナナ産地の店でメニューに載っていることがある。常設ではないので、あれば頼む。

値段と覚え書き

カリ・ババフィグ(一皿)10〜16€約1,800〜2,800円
ブカネと合わせた一皿14〜20€約2,500〜3,500円
ババフィグ(市場・1個)2〜4€約350〜700円
  • ブカネ入りか肉なしかは、左の注文のことばで店に聞ける
  • 市場で買うなら、苞がしおれていない、固く締まったものを

値段は2026年9月時点の目安。1€=約175円で換算。営業時間・価格は変わることがあるので、行く前に確認を。

参照資料

写真の出典(10枚)

写真は原典のライセンス(CC BY/CC BY-SA/CC0)に従って掲載しています。作者名・ライセンス・原典リンクを1枚ずつ表示しています。明るさ・彩度・コントラストを調整した写真には、その旨を併記しています。

  • 畑で下がっているババフィグ(バナナの花)|Ex Machina 007/CC BY-SA 4.0/2019年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • 開きかけたバナナの花のアップ|Thierry Caro(author assumed from copyright claim; source Bouba)/CC BY-SA 2.5/2004年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • 緑と黄色の小ぶりなバナナの房|David Monniaux/CC BY-SA 3.0/2005年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • ブラ・ド・ラ・プレーヌ渓谷の斜面を埋めるバナナ畑|Rémih/CC BY-SA 4.0/2026年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • 市場の台に山と積まれたシュシュ(ハヤトウリ)と切ったパパイヤ|Guallendra/CC0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • 露天市の葉物野菜と唐辛子、レモンの売り台|Guallendra/CC0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • 赤いテントの下に花や野菜が並ぶサン・ピエールの露天市|Guallendra/CC0 1.0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • サン・ドニの小市場(プティ・マルシェ)の入口|Olaf2/CC BY-SA 4.0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • サン・ピエールの屋根付き市場の外観|Thierry Caro/CC BY-SA 4.0/2011年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)
  • パラソルが並び買い物客であふれるサン・ピエールの露天市|Guallendra/CC0/2024年撮影/明るさ・彩度・コントラストを調整(原典)