リヴェラ

世界の料理図鑑 スイス

リヴェラ

Rivella リヴェラ Rivella

チーズを作るときに出る乳清(ホエイ)が原料。山歩きの後がいちばんうまい。

スイスのスーパーの飲料棚で、青いラベルのペットボトルが必ず目に入ります。

リヴェラ。スイス人なら誰でも知っていて、スイスの外ではほとんど売られていない飲みものです。

原料を知ると少し驚きます。チーズを作るときに出る乳清(ホエイ)。捨てられていたものが、国民的飲料になった。

国・地域
スイス。国外ではほとんど流通していない
分類
清涼飲料(乳清ベースの炭酸)
相場
CHF 3.5〜5(約700〜1,000円)。スーパーなら1.5LでCHF 2前後
主な材料
乳清(ホエイ)、水、砂糖、ハーブ・果実のエキス、炭酸
甘さ
控えめ。後味がすっきりしている
飲む場所
スーパー・キオスク・レストラン・山小屋
ベスト時間
山歩きの後。喉が渇いたとき
一人前
500mlか1.5Lのペットボトル
種類
赤(標準)・青(低カロリー)・緑(緑茶入り)など
創業
1952年。ロートクロイツ(ルツェルン州)で誕生

01一口目に来るもの

ひと口飲むと、まず炭酸の刺激。それから、はっきりとは名指しできないほんのり乳っぽい甘さが来ます。

コーラでもサイダーでも乳酸菌飲料でもない。どれにも似ていない——これがリヴェラを初めて飲んだ人の共通した感想です。

味の輪郭は、りんごジュースを薄めて炭酸を入れて、そこに牛乳を数滴垂らしたような。ハーブの香りもうっすらある。

そして後味が妙にすっきりしている。乳っぽいのに、口の中に残らない。この引き際の良さが、山を歩いた後にちょうどいい。

リヴェラ
レマン湖畔で手にした赤ラベルのリヴェラ(ローザンヌ)

02味と成分

原料の中心は乳清(ホエイ)です。チーズを作るとき、牛乳が固まって分離した液体のほう。かつては家畜の餌にするか捨てるかしかなかった副産物。

これを発酵・精製して、水と砂糖とハーブ・果実のエキスを加え、炭酸を入れる。正確な配合は非公開で、コカ・コーラのレシピと同じく企業秘密になっています。

乳清由来なので、乳糖とミネラルが含まれます。運動後の水分補給に向くと言われるのはこのため。

ラベルの色で種類が分かれます。赤が標準、青が低糖、緑が緑茶入り、ほかに期間限定のフレーバーも。ツェルマットの店でよく見るのは青と赤。

アルコールは入っていません。子どもから大人まで飲む国民的飲料です。

リヴェラ
ボトル。ガラス瓶で出す店もある
リヴェラ
1960年ごろのリヴェラの専用グラス(オランダの製造元のもの)

なぜスイスの外で売られていないのか

リヴェラはスイスでほぼ100%消費されます。輸出はごくわずかで、日本ではまず手に入らない。

理由はいくつかあります。乳清という原料が新鮮さを要すること、味が独特で他国の消費者に馴染みにくいこと、そして何よりスイス国内で十分に売れていること。

スイスの清涼飲料市場でリヴェラは常に上位にいます。コカ・コーラと並ぶ棚を確保している国産ブランド——これは世界的に見ても珍しい。

つまりこれは現地でしか飲めない飲みものです。旅行者にとっては、それだけで飲む理由になります。

リヴェラ
ブランドのロゴ。スイスでは誰もが知っている
リヴェラ
青いラベル(低カロリー)のリヴェラ
リヴェラ
オランダで売られていたリヴェラ・ライトのペットボトル
リヴェラ

第 二 章

捨てられていた副産物が、国民的飲料になった

スーパーの棚に並ぶ青・緑・赤のリヴェラ

03どこで買うか

スーパーが圧倒的に安い。CoopやMigrosで1.5LのペットボトルがCHF 2前後。500mlならCHF 1.5前後。

キオスクや駅の売店では500mlでCHF 3前後。レストランや山小屋ではCHF 3.5〜5。

ツェルマットの物価を考えると、スーパーで買って持ち歩くのが賢い。登山鉄道に乗る前に買っておくと、山の上で買うより半額以下で済みます。

自販機にもあります。駅や公共施設に設置されている。

山小屋のメニューにはほぼ必ずあります。ビールを飲みたくないとき、水では物足りないときの選択肢として。

買う場所500ml の値段備考
スーパー(Coop / Migros)CHF 1.5前後/約300円1.5LならCHF 2前後
キオスク・駅売店CHF 3前後/約600円冷えているのが利点
山小屋・レストランCHF 3.5〜5/約700〜1,000円グラスで出ることも
自販機CHF 3前後/約600円駅や公共施設に
リヴェラ
コーヒーとぶどう、リヴェラの小瓶(スイス・ティチーノで撮影)
リヴェラ
店頭に並ぶ様子。ラベルの色で種類を選ぶ

どれにも似ていない。それがリヴェラの説明として、いちばん正確かもしれない。スイスの飲みもの

04何と合わせるか

山歩きの後——これが最も正しい飲み方です。汗をかいた体に、ミネラルと糖分と炭酸が同時に入る。

食事と合わせるなら、チーズ料理と相性がいい。乳清由来なので、フォンデュやラクレットと喧嘩しません。ビールやワインを飲まない人の選択肢としても優秀。

アルプラーマグローネンやゲルステンズッペのような山小屋の重い料理にも合います。甘さが控えめで、後味が切れるから。

朝食に飲む人はあまりいません。これは日中の飲みものです。

05注文のしかた

「Rivella(リヴェラ)」。それだけで通じます。

色を指定します。「rot(赤)」が標準、「blau(青)」が低糖、「grün(緑)」が緑茶入り。

レストランでは瓶かグラスで出てきます。氷は入りません。スイスでは飲みものに氷を入れる習慣が薄い。

スーパーではペットボトルの棚を探せばすぐ見つかります。青いラベルが最も目立つ。

ペットボトルはデポジット制ではありませんが、リサイクル回収箱がスーパーの入口にあります。

飲みものの相場(2026年8月時点の目安)価格
リヴェラ(レストラン・500ml)CHF 3.5〜5/約700〜1,000円
リヴェラ(スーパー・1.5L)CHF 2前後/約400円
山小屋のビール(0.5L)CHF 7〜10/約1,400〜2,000円
ミネラルウォーター(レストラン)CHF 5〜8/約1,000〜1,600円
ホットチョコレートCHF 7〜9/約1,400〜1,800円

06歴史と背景

リヴェラを作ったのはロベルト・バルトという若い実業家です。1952年、ルツェルン州ロートクロイツで創業しました。

当時、スイスのチーズ工場では大量の乳清が廃棄されていました。彼はこれに栄養価があることに着目し、飲料化を試みる。

名前はイタリア語の「rivelazione(啓示)」から取られたとされます。

発売当初は苦戦しました。「チーズの搾りかすを飲む」というイメージが強かったから。広告に多額を投じ、スポーツとの結びつきを強調する戦略で、1960年代以降に一気に普及します。

現在はスキー連盟のスポンサーを務めるなど、スイスのスポーツと切り離せないブランドになりました。山歩きの後に飲むのがふさわしい、というイメージは意図的に作られたものでもあります。

捨てられていたものを商品にする——この図鑑に並ぶ料理の多くと、発想は同じです。

リヴェラ
かつての広告。ブランドの歴史は70年を超える
リヴェラ
古い意匠。ロゴは時代とともに少しずつ変わっている
リヴェラ
路面電車の車体広告。街なかでも目に入る

07似ている飲みもの

ドイツ・オーストリアのモルケゲトレンク(乳清飲料)が最も近い。ただし炭酸が入らないことが多く、ヨーグルト飲料に近い。

日本のカルピスソーダは、乳由来の甘みと炭酸という点で構造が近い。ただしカルピスは乳酸菌発酵で、リヴェラは乳清そのもの。

スポーツドリンクとは、ミネラル補給という機能面で重なります。

オーストリアのアルムドゥードラーはハーブの炭酸飲料。「その国でしか売られていない国民的炭酸」という立ち位置がリヴェラとそっくりです。

08豆知識

・リヴェラの製造には年間数千トンの乳清が使われます。スイスのチーズ産業と直結した飲みもの。

・レシピは創業以来ほぼ非公開。数人しか知らないと言われています。

・スイス国外で見かけたら珍しい。日本ではほぼ流通していません。

・「乳清が原料」と聞いて身構える人が多いですが、味に乳臭さはほとんどありません。飲んでから原料を知るほうが素直に楽しめます。

・空港の売店でも売っています。飲みものなので機内持ち込みはできません——預け荷物へ。

為替レート:1スイスフラン(CHF)=約200円で換算しています(2026年8月時点)。価格は変動します。現地で必ずご確認ください。

写真はすべて Wikimedia Commons より。各画像の作者とライセンスは以下のとおりです。

価格は2026年8月時点のツェルマット周辺の相場の目安です。