蝦仁焼売

世界の料理図鑑 台湾

蝦仁焼売

蝦仁燒賣 シャーレンシャオマイ Shrimp Shumai

ぷりぷりの海老が皮からはみ出している。小籠包の甘さの合間に、この歯ごたえが効く。

小籠包を10個食べると、途中で味が単調になります。そこに頼むのがこれ。

台湾の点心店で蝦仁焼売を頼む人は、たいてい小籠包も同時に頼んでいます。単独で食べる料理というより、組み立ての一部として存在している一品です。

それでも、これだけを目当てに通う人がいるくらいには、うまい。

国・地域
台湾全土。点心店・飲茶店の定番
分類
点心(蒸し物)
相場
10個でNT$200前後(約940円)
主な材料
小麦粉の皮、豚挽き肉、海老(蝦仁)、椎茸、筍、飛び子や蟹卵をトッピング
辛さ
辛くない
食べる場所
点心専門店。小籠包の店にはほぼ必ずある
ベスト時間
昼。小籠包と一緒に
一人前
2人で1蒸籠(8〜10個)。これだけで満腹にはならない
支払い
カード可の店が多い
冷めやすさ
小籠包より冷めに強い。持ち帰りにも向く

01一口目に来るもの

歯を入れた瞬間、海老が跳ね返してくる。これが小籠包との決定的な違いです。

小籠包の餡はほろほろと崩れる。蝦仁焼売は、ぷりっと弾けてから崩れる。同じ蒸籠から出てきたとは思えないほど食感が違う。

皮は上が開いているぶん、蒸気が直接当たって少し歯ごたえが残ります。もちもちというより、ふんわり。

味つけは薄めで、海老の甘みがそのまま出てくる。タレなしでも成立する数少ない点心です。

蝦仁焼売
蝦仁焼売。皮の上から海老と魚卵がのぞく。頂点を開けて具を見せるのが焼売の形

02味と食感

餡は豚挽き肉と海老の二層構造になっている店が多い。下半分が肉、上に海老を載せて蒸す。だから一個のなかで食感が二段階に変わる。

刻んだ椎茸や筍が入ると、そこだけ歯ごたえが立って、単調さが消える。名店ほどこの脇役の切り方が細かい。

上に載る橙色の粒は飛び子(トビウオの卵)や蟹の卵。プチプチという第三の食感が加わります。見た目の華やかさのためだけではありません。

塩気は控えめ。醤油をつけると海老の甘さが消えるので、まずは何もつけずに食べたほうがいい。

蝦仁焼売
竹の蒸籠で蒸される。上が開いているので蒸気が餡に直接当たる
蝦仁焼売
橙色の魚卵を載せた焼売。プチプチという第三の食感を足すためのもの

海老をぷりぷりに保つ技

台湾や香港の点心店で海老が跳ね返してくるのは、偶然ではありません。

下ごしらえで塩と片栗粉で揉んでから冷水にさらし、水気を切って冷やす——この工程で海老の身が締まります。さらに重曹をごく少量使う店もある。

そのうえで蒸し時間は7〜8分。長いと海老が縮んでゴムのようになり、短いと生臭さが残る。皮より餡のほうが火加減にシビアな点心です。

だから、海老がぷりっとしている店は、それだけで信用できます。

蝦仁焼売
蒸籠に並んだ蝦仁焼売。大ぶりの海老と魚卵が頂点にのる(香港で撮影)
蝦仁焼売
蒸籠の中の焼売。黄色い皮の上に海老と魚卵がのる(香港で撮影)
蝦仁焼売
頂点に載る具。ここを見れば店のグレードがだいたいわかる
蝦仁焼売

第 二 章

主役ではないが、これがないと組み立てが崩れる

蒸籠から取り出す直前。皮の縁が乾かないよう手早く出す

03食べ方の作法

小籠包と違ってスープが入っていないので、そのまま一口で食べて構いません。レンゲも不要。

ただし蒸したては熱い。一度レンゲに置いて数秒待つと安全です。

タレをつけるなら、黒酢ではなく醤油を数滴。黒酢の酸味は海老と喧嘩します。生姜も海老には不要。

小籠包と交互に食べると、甘い→ぷりぷり→甘い、と味が回って最後まで飽きません。これが蝦仁焼売の本当の役目です。

蝦仁焼売
れんげに取った焼売。黄色い皮の中に豚肉の餡が詰まる(香港で撮影)
蝦仁焼売
れんげに取った黄色い皮の焼売。卵を練り込んだ広東式の皮(香港で撮影)

04焼売の種類

台湾の点心店で「燒賣」と書かれていても、中身は何種類かあります。

名前中身値段の目安
燒賣豚肉のみNT$160前後/約750円
蝦仁燒賣豚肉+海老NT$200前後/約940円
蟹黃燒賣豚肉+蟹味噌NT$280前後/約1,315円
魚翅燒賣高級店の看板。具は店により異なるNT$350〜/約1,645円〜

海老が歯を押し返した瞬間に、その店の評価は決まる。点心店にて

05注文のしかた

「蝦仁燒賣(シャーレン シャオマイ)」。伝票に数を書くだけで通じます。

量は1蒸籠8〜10個が標準。2人ならこれで足ります。

小籠包1蒸籠+蝦仁焼売1蒸籠+青菜炒め+酸辣湯。これが台北の点心店における最も安定した注文です。

香港式の飲茶(ヤムチャ)店ならワゴンで回ってくる形式のところもあり、こちらは指さしで選べます。

蝦仁焼売
ラー油を添えて。台湾では醤油より辣油を好む人も多い
蝦仁焼売
蒸籠に詰めて出された海老焼売。魚卵を頂点に飾る(香港で撮影)
蝦仁焼売
蒸籠にひとつ。皮の縁が乾いていないのが良い状態
焼売と一緒に頼むもの(2026年8月時点の目安)価格
蝦仁焼売 10個NT$200前後/約940円
蟹黄焼売(蟹味噌)NT$280前後/約1,315円
小籠包 10個NT$220前後/約1,035円
蝦餃(海老蒸し餃子)NT$220前後/約1,035円
台湾茶(ポット)NT$60〜100/約280〜470円

06どこで食べる

小籠包を出す店ならほぼ確実に置いてあります。台北の永康街・東門周辺、デパート地下、駅ビルの点心店。

香港式の飲茶店は種類が多く、指さしで選べるので言葉がいらない。台北駅周辺と信義区に何軒かあります。

夜市では焼売はあまり見かけません。これは座って食べる料理です。九份の屋台街にもほぼ出ていないので、台北で食べておくこと。

蝦仁焼売
点心の盛り合わせ。焼売は必ずこの中に入る
蝦仁焼売
夜市に焼売の屋台はまず出ない。座って食べる点心店の料理

07歴史と背景

焼売そのものの起源は古く、元代の文献に「稍麦」として登場します。当時は麦の皮で肉を包んだ北方の粉食でした。

それが南下して広東で飲茶の一品になり、海老を入れる広東式が生まれます。台湾の点心店で出される蝦仁焼売は、この広東系の流れを汲むものです。

台湾へは、上海系の点心とともに戦後に持ち込まれました。小籠包の脇役として輸入されたと言っていい。実際、台湾で焼売を専門にする店はほとんどありません。

日本の焼売が「主役として弁当に入る」のに対し、台湾では最後まで脇役。同じ料理でも国によって立ち位置が変わる好例です。

08似ている料理

日本の焼売は豚肉と玉ねぎが主体で、皮が薄く、辛子醤油で食べる。海老を入れるのは「海老焼売」として区別されます。

広東の蝦餃(ハーガウ)は、澄粉(浮き粉)の透ける皮で海老だけを包んだもの。焼売より高級で、皮の透明感が命。

小籠包とは皮の閉じ方がすべて。閉じればスープを閉じ込められ、開ければ蒸気が餡に届く。この一点の違いが二つの料理を分けています。

東南アジアのシオマイはフィリピンなどで独自進化したもので、揚げることもあります。

09豆知識

・焼売の「開いた頂点」は装飾ではなく機能です。蒸気を直接餡に当てて火の通りを均一にするため。

・小籠包に比べて冷めに強く、持ち帰りに向きます。ホテルで温め直しても食感がほとんど落ちない数少ない点心です。

・「燒賣」の読みは地域でばらつきます。広東語ではシウマイ、北京語ではシャオマイ。日本語の「シュウマイ」は広東語由来です。

・台湾では焼売にグリーンピースを載せません。あれは日本の学校給食から広まった習慣です。

為替レート:1台湾ドル(NT$)=約4.7円で換算しています(2026年8月時点)。価格・営業時間は変動します。現地で必ずご確認ください。

写真はすべて Wikimedia Commons より。各画像の作者とライセンスは以下のとおりです。

価格は2026年8月時点の現地相場の目安です。

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